表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

元カレとの最後

作者: 白井翼の厨二病

私には彼氏がいた。つい先月別れてしまった。

音信不通になってからはもっと経っていると思う。


理由は彼氏が突然どこかにいってしまったのだ。連絡をしても返事はなかった。


そんな彼氏から今日、連絡が来た。今さら何があるというのか。


「やあ、元気かい?」


いつものように彼は会話を始めた。


「今日は晴れかな?そっちはどうだい?」


窓の外は晴れている。しかし…こちらは雨が降っている。おかしいな。


「……いいや。伝えたいことが多いのだけど。…とりあえず言いたいことを伝えてくね。


ありがとう、そしてさようなら。」


「何でよ。何でなのよ!!」


そんなことを呟いてしまった。それもそうだろう一方的すぎる。


「君と出会ったのは…まあ、幼なじみだし覚えてないや。でも、色々な思い出がある。


だから、本当は面と向かって言いたいのだけどそう言うわけにはいかなくてね。」


「そんなこと言うなら、今すぐ来てよ。話したいよ。」


無理なことだって分かっている。


「…ごめんね。僕はもっと一緒にいたいんだけど、こうなってるってことはね。念のために言っておくよ、僕は君を愛している。」


「そんなこと言うなら、いかないでよ。」


無理だって知ってる。それでも言ってしまう。


「付き合い始めたのはちょうど半年前か。いや、それよりも過ぎているか。僕にとって君との日々はとても……とても素敵な日々だった。でも最近は会えなくて寂しいな。」


「……私も会いたいわ。」


「僕は君と会ってもう一回話をしたい、でも………時間がない。最後に、僕のことは忘れて下さい。無理でも忘れて下さい。」


「何でそんなこと言うの!!」


分からない。なぜ、私は怒っていない。あなたにいっぱい色々なものをもらった。あなたは私にとっての光なの。


「きっと、君はこの先も好い人にも出会う。それはきっと僕よりも好い人だって、僕よりも君を愛す…いや、これはないね。だから、僕のことは忘れて生きていって。」


「それ以上は言わないで。」


「そして、僕に幸せな人生だったって伝えてくれ。あっ、でもすぐにはこないでくれよ。いいね?」


「いかないでよ。」


「またね。」


彼の声はいつもより広くなった部屋で虚しく残響した。


「またね。愛しの貴方。」

雨は強く降り出し、狭い部屋に木霊する。

初めて投稿しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ