元カレとの最後
私には彼氏がいた。つい先月別れてしまった。
音信不通になってからはもっと経っていると思う。
理由は彼氏が突然どこかにいってしまったのだ。連絡をしても返事はなかった。
そんな彼氏から今日、連絡が来た。今さら何があるというのか。
「やあ、元気かい?」
いつものように彼は会話を始めた。
「今日は晴れかな?そっちはどうだい?」
窓の外は晴れている。しかし…こちらは雨が降っている。おかしいな。
「……いいや。伝えたいことが多いのだけど。…とりあえず言いたいことを伝えてくね。
ありがとう、そしてさようなら。」
「何でよ。何でなのよ!!」
そんなことを呟いてしまった。それもそうだろう一方的すぎる。
「君と出会ったのは…まあ、幼なじみだし覚えてないや。でも、色々な思い出がある。
だから、本当は面と向かって言いたいのだけどそう言うわけにはいかなくてね。」
「そんなこと言うなら、今すぐ来てよ。話したいよ。」
無理なことだって分かっている。
「…ごめんね。僕はもっと一緒にいたいんだけど、こうなってるってことはね。念のために言っておくよ、僕は君を愛している。」
「そんなこと言うなら、いかないでよ。」
無理だって知ってる。それでも言ってしまう。
「付き合い始めたのはちょうど半年前か。いや、それよりも過ぎているか。僕にとって君との日々はとても……とても素敵な日々だった。でも最近は会えなくて寂しいな。」
「……私も会いたいわ。」
「僕は君と会ってもう一回話をしたい、でも………時間がない。最後に、僕のことは忘れて下さい。無理でも忘れて下さい。」
「何でそんなこと言うの!!」
分からない。なぜ、私は怒っていない。あなたにいっぱい色々なものをもらった。あなたは私にとっての光なの。
「きっと、君はこの先も好い人にも出会う。それはきっと僕よりも好い人だって、僕よりも君を愛す…いや、これはないね。だから、僕のことは忘れて生きていって。」
「それ以上は言わないで。」
「そして、僕に幸せな人生だったって伝えてくれ。あっ、でもすぐにはこないでくれよ。いいね?」
「いかないでよ。」
「またね。」
彼の声はいつもより広くなった部屋で虚しく残響した。
「またね。愛しの貴方。」
雨は強く降り出し、狭い部屋に木霊する。
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