僕と名探偵と時々商人(豚ちゃん)
初めての異世界での戦闘でゴブリン5匹を倒した。
そんな輝かしい状態の僕は、ゴブリンの放つ血の臭いに、ムセ返りすぎて...嘔吐していた。
オロロロロロッ!
ゴブリンめぇぇぇ!!!
マジクッセェよ!!!
死してなお、この僕に牙を突き立ててくるなんて!!
せっかく異世界での戦闘で生き延びたのに、嘔吐してるなんてカッコ悪い。ゴブリンの血が臭いんだってばよ!!
起き上がり手の甲で口を拭っていると、ふと思い出す。
そういえば、ゴージャスな豚いたよな?
この危機的状況を見事救い、窮地から助けてあげたんだし、報酬とかはずんでくれるよね!?
ですよね!?
そうですよね!?
そっから腕利きの傭兵とか。。。
いや、やめよう。
そのルートは何か危険な香りがする。
普通に報酬貰って帰るべきだわ。そうするべきだわ。
そうと決まれば早速!!
待っててください豚ちゃん!
足がガクガク、腰もガクガクして怯えてるんでしょ?
その引き締まったお腹の脂肪も、小刻みに小粋なビート刻んでるんでしょ?
待ってて下さい。
今、僕が!
報酬という名のお金に目が眩んだ、偽善野郎が助けに行きますよ!
辺りには壊れた馬車の積み荷が散乱しており、高そうな壺や宝石に衣類があった。捜索を続けていると、豚さんを発見した!!
額の中心に矢を受けて白目向いてる豚さんを発見したのだった。。。
oh...
こ、これは…
れ、冷静に考えよう。
今回の事件。
とてもシンプルなんです。
そう!シンプル克つ大胆な犯行なんです!!
まず言えることは、僕が犯人ではないということ。
弓矢使ってないし。
ん?弓矢?
ピシャァァァン!!
脳天にニュー○イプばりの稲妻が落ちる。
わ、わかってしまった!!
今回の事件の犯人が!?
弓矢使ってたのゴブリンしかいねーし!!
はい、撤収!撤収!
眼鏡の探偵呼ばなくても、サクッと解決だわ。ゾ○リも真っ青な程に。
あーあ、豚さん死んじまったから、これでお礼の件は無しかよ...
ちょっとふてくさていると、遠くの方からすごい勢いで迫る土煙があった。
ん?なんだ??
目を凝らして見てみると、騎乗した騎士の姿が2~3人見えた。
ははーん。
これはあれだね?
近くの町の警備兵だな?
ゴブリン襲撃の知らせがあって現在急行中ってやつだなこれは!
HEY!
そこのお巡りさん!
この名探偵克つスーパーヒーローのヨシさんが、この悲しき事件の一部始終を雄弁に語ってあげるYO!
そして俺も保護してもらえるな。
僕の名はヨシ。
またの名を名探偵ヨシ。
ひょんな事からダ女神により異世界に来てしまった悲しき者。
僕の活躍により、ゴブリンの集団に襲われていた商人(豚ちゃん)を華麗に撃退した、言わばヒーロー。
その名探偵のヒーローヨシは今、商人(豚さん)襲撃の犯人として牢獄に入っていた。
この調子でどんどん出していきたい。