僕とダ女神と欲しかったトリセツ
「そもそも傘限定の具現化ってなんだよ。取扱説明書ぐらい用意しとけっての」
傘の取っ手を中心に、傘をグルグル回転させながら歩いていると前の方で悲鳴が聞こえた。
ん?ずいぶん野太い声だったな。
あっちは危ないのか?
なら、回れ右だな。
元来た道を戻るか?
まぁ非武装な状態で僕が人助けとか、無理ゲーにも程がある。
せめて具現化の謎が判ればな。
一応悲鳴の聞こえた方向へ用心しながら進んでいった。
んー…あの緑色の小さいのはゴブリンか?
1.2.3.4。4匹いるのか。ん?ちょっと奥の方に杖持ってるゴブリンもいるな。さしずめメイジゴブリンって奴か。って事は魔法を使うのか…てことは全部で5匹。
壊れた馬車の近くに積み荷が散乱としていて、傭兵?なのが2名ほど剣を振り回しているけど、易々とゴブリンにかわされている。
「なにしてんだ!!高い報酬払って雇ったんだ!!早く始末しろ!!!」
馬車の影からゴージャスな豚が騒いでいる。
なるほどねぇ。
テンプレよろしくって感じ。商人か貴族って所だな。
様子を見ていると、どうやら短剣ゴブリン2匹でヘイトを稼いで、弓ゴブ2匹とメイジゴブがトドメ役なのか。
知能はそこまで高くは無さそうだけど、司令塔のメイジゴブが消えたら、総崩れ出来そうだけどな。
「まっ今の俺には何も出来ないけどね」
傭兵二人が倒されていくのは時間の問題で、あっという間に弓と魔法に蹂躙された。
「ゲームとかでグロ耐性ついてたつもりだけど、これは中々キツイものだな」
辺りに血の海を作り出している光景は中々メンタルにくるものがある。
そうは言っても、こういう世界は弱肉強食が全てである。
どっかの全身包帯男も言ってたっけな。
「ヒィィィィ!!!くるな!!!か、金ならいくらでもやる!!!だっ誰かっ!たっ助けてくれー!!!」
いや、ね、助けてあげたいのは山々よ?でもさ、短剣・弓矢・魔法VSビニール傘。
もうさ、YOULOSING!もしくはYOUDEADって血文字が出てくるよ。
どうしようもない。
ごめん。
恨むなら、テキトーに俺を異世界に送りやがったダ女神を恨んでくれ!
そんな事を思っていると目の前に一枚の紙きれが落ちてきた。ん?空から?
紙を広げると丸文字でこう書かれていた。
「モード:〇〇」←具現化したい物を言いなさい。超絶可愛い女神より」
最後の書いていた文字にイラっとしてしまい、思わず広げた紙をグシャッとしてしまったが、ありがとダ女神!
さて、そうと解れば、男は度胸!女は愛嬌!ゆっくり立ち上がり言ってみた。
『モード:剣』
シーン…
はぁ!?
おいおいおい!!あんのクソダ女神!!今度は詐欺罪か!?絶壁の上に詐欺罪とかもう終身刑じゃん!!
ふざけんなよ!こっちは立ち上がってしゃべったもんだからゴブリン共にも見つかってんじゃん!
矢が飛んでくるしよ!!
ちっくしょー!!
「ギャギャギャギャ」
ゴブリン達が興奮してる。日本語でどーぞってんだよ!!
ん!?日本語!?
まさか!!!
『モード:ブレイド』
手に持っていたビニール傘が淡い青色に包まれると刀の形に変形した。
まじかよ!!
これで勝つる!!
いや、ちょっと待て。まずは助けに行かないと。使い方は理解した。でも理解した所でステータスは貧弱だ。武器だけで補うのは難しい。
守るが勝ちよ!
『モード:シールド』
伝えたいことを、伝えられているか、不安。
がんばるぞー!!