僕とフランの街と時々ミスターポポ
「本当に危ない所を助けて頂いてありがとうございました」
黒縁眼鏡は深々とお礼をしてから、荷物を片付けていた。
「いえいえ。でも良かった。えーと、」
「あぁ!私の名前はポポ。ポポと言います」
「あ、僕の名前はヨシっていいます」
「ありがとうございます。ヨシさん」
簡単な自己紹介を終えて、荷物を片付けて行軍を開始する行商人。その馬車に同乗するヨシとギン。
「これから向かうのは、南にあるフロンという街になります。そこでは冒険者ギルドもありますので、登録が可能ですよ」
「ハイ!ありがとうございます。街だから衣類とかもありますよね?ちょっと僕の一張羅、さすがに泥だらけで」
転生時に来ていたリクルートスーツもボロボロでゴブリンの血や泥で、見た目的に最悪な状態であった。
「それにしても、ヨシさんの武具は変わった形ですね。僕は初めてみましたよ」
「ま、まぁこれは先祖からの形見な様なマジックアイテムなんです」
(もうこれ以上聞くなよミスターポポ。マジ張ったおすぞ)
{主?我が子奴を噛み砕こうか?}
{人の感情読み取らんでもらいませんかねぇ。ギンさんや。あと見た目もグロそうなので却下な方向で}
そうこうしている間に、馬車は帝国領と王都領の境目にあるミドルラインと呼ばれる均衡状態地点を抜け、南側に位置する王都領であるフロンの街に到着する。
ヨシが女神よりこの世界に召喚された地点はミドルラインの中枢であった。幸か不幸か、ヨシとギンはギルドがある王都領へ足を踏み入れたのだった。
「へぇ~。大きな町なんだね!」
ヨシは街が見えてくるとワクワク感が出てきた。異世界に飛ばされて、危機的状況に何度か足を踏み入れる状態が多かった為か、このようなアークの世界の人たちには当たり前な光景が新鮮であった。
門には衛兵らしき槍兵が立っていた。
「おっ!ポポ!!無事だったか!?商団から遅れたと聞いて肝を冷やしたぞ」
気さくそうな衛兵が声を掛けていた。
「危ないところだったよ。このヨシさんに助けてもらったんだ。これからギルドに報告するよ」
「ありがとうな。旅の人。俺の友人を救ってくれて」
真顔でお礼か。恥ずかしいが、嬉しいもんだな。
「いえ、いいんです。無事でよかったです」
「ヨシさんは山籠もりの自給自足生活してたから身分証はないんだ。だからギルドに登録したいんだってさ。これから案内するからね」ポポがそういうと
「おう!んじゃ夜に例の場所でな!」片手をあげた槍の衛兵が答えた。
「あぁ!」再び馬車を動かずポポ
二人の会話を聞きながら、ヨシは街を色々と観察していた。
予め馬車の奥にギンさんを隠していた。街の中では騒ぎになったら大変だからという事で。
「さぁヨシさん着きました。ここが冒険者ギルドです」
昔の西部劇に出てくるような酒場みたいな外観だな。味があってええやん。
「へぇ~。なんかいい感じな所だね。ギンさん。さぁ行こうか」と言いつつギンに念話を飛ばすヨシ。
{ギンさんはくれぐれも喋っちゃダメだからね}
{主よ。大丈夫だ。多分}
{多分じゃねぇーよ!頼むでギンさんや!!}
ウエスタン調の扉を開けると丸いテーブルが4つ程あり、既に先客が座っていた。中央の奥にはカウンターがあり、受付嬢と思われる女性がこちらに気がついて笑顔で会釈したが、僕の奥からやってきたギンさんを見てギョッとしていた。
ギルドに居た面々は、ギンさんにギョッとして小さな声で(なんで銀狼種!?)(初めて観たぞ銀狼種なんて)と聞こえてきた。
そんな声を聞いたせいか、ギンさんはドヤ顔で僕のあとを悠々と付いてきていた。
最初僕に気がついて挨拶してくれた。お姉さんに声を掛けよう。
ターゲットは自分!?そう思ったお姉さんは顔を引きつらせながら、笑顔をなんとか絶やさずにカウンター越しで待ち構えていた。
「あのすいません。ギルドに登録したいのですが・・・」ちょっと緊張してオドオドしてしまった。
{主よ。こんな事で緊張するな。舐め回すぞ。そこの受付嬢を}
{やめて差し上げて!?このお姉さん気絶しそうになってるから!?そして何気にセクハラ親父の発言やめーや}
「は、ハイ!ギルド登録ですね!ありがとうございます。それではギルド登録致しますので、そちらの水晶に手を置いてください」お姉さんも負けじとギルドの受付魂を燃やしていた。




