竜の山(調査)
僕は緋、紅、茜、小狼をつれて、東の竜の山へ向かった。
竜の山が噴火したと聞いて、僕は怪獣映画の火柱が上がり、溶岩が流れる山を想像していたが、普通に煙が上がるだけだった。
公爵が大慌てだったのが、今一判らない。
紫電:『緋や小狼は 火山の調査とかをした事が有るかい』
緋:『いえ 火山を初めて見ました』
小狼:『火山が火を吹く山とは 聞いていました』
紫電:『じゃあ 注意事項から話すね 紅や茜も良く聞いてね』
紫電:『一番目は 火山が噴火した時は 絶対近付か無い事』
本来火山が噴火したら、危ないから逃げるけどね。
紫電:『二番目は 火口から出ている煙の風下には 絶対居ない事 変な匂いがした時は 直ぐにその場を離れる事 これも風下には逃げ無い事 有毒ガスが出ているかも知れ無いからね』
紫電:『三番目は 今回の噴火は煙だけの小さな物の様だけど 凄い物だと 火柱が上がったり 岩石が飛んできたり 溶岩が流れたり 土石流が発生したりするから 撒かれたりしないように 注意する事』
僕の火山のイメージを【テレパシー】でみんなに見せたら、びっくりして、おびえていた。
緋:『調査するには 近付か無い訳には いきませんが』
紫電:『装備するのは ヘルメットとゴーグルと防塵マスクと手袋は 着用義務だ 火山灰には 小さな溶岩石の粉が混ざっていて 目を傷めるから ゴーグルを着ける 防塵マスクは場合によって防毒マスクを着用する』
紫電:『今回は小さな噴火の様だし有毒ガスも出ていない 特別に調査に入る みんな装備を着用して』
茜:『紫電のヘルメットと違う形状』
紫電:『君達のは 耳の位置が ヘルメットの中になるから 僕の改良を加えて ヘルメットの中に音が聞こえる要にした』
まずは【テレパシー】と【透視】で本当に竜が居無いか確認する。
紫電:『ん? この山は火山じゃ無い』
緋:『大変です 山の中腹に人が倒れています 怪我をしている様です』
紫電:『みんな【テレポート】するよ』
紅:『大丈夫〜』
茜:『何処を怪我している です』
緋:『立てますか 足首を傷めて居る様です』
紫電:『これを飲んで 回復薬です』
紅:『歩ける〜』
フラ:『助けていただき 有難う御座います』
紫電:『いかん 又地震だ みんな捕まって【テレポート】』
フラ:『何が起こったんです ここは何処』
紫電:『落ち着いて あそこに見えるのが さっき居た所です』
フラ:『どう言う事でしょう』
茜:『お山が怒った です』
再度噴煙をはいていたが、今回も小さな噴煙の様だ。
紫電:『貴方は あんな所で 何をしてたんです』
フラ:『私は 火竜の調査に 来ていたんです』
紫電:『貴方は 竜使いですか』
フラ: 『いえ 只の冒険者です 火山の火口から 火竜が見えるか 確認に来ました』
紫電:『貴方は 何の知識も無く 装備も考えず 火山へ登ったと言うんですか』
小狼:『紫電様 この者は馬鹿なのか 死にたいだけなのか どっちですか?』
フラ:『犬が喋った』
茜:『小狼はフェンリル(神狼)なんです です』
紅:『紫電の契約獣〜』
紫電:『本来 火山に登るなら 私達が今着けて居る物は 最低装備だ 覚えて置きなさい』
紫電:『竜の山が 火山では無い事は【透視】で確認できた 煙りの中に 火山灰が混じって無い事でも解る なのになぜ噴煙をはくのか』
緋:『紫電様 とりあえず夜を待ちますか』
紫電:『みんなは 夜の調査に備えて 休んでいてくれ』
紫電:『ちょっと行って来る【テレポート】』
やはり何も無いな、なのに噴煙をはくって、おかしいだろ。
地震が起こったのもおかしい、誰かが噴火を再現しているみたいだ、だけど地脈とかマグマをどうにかするとは、考えて無いみたいだ。
山の中は、完全に空洞だし中は暑くも無い、火口迄煙も無い。
誰かが地震を起こす研究をしているか 地震魔法でも練習しているのか、装置や機械的な物は無いから、一度帰って相談するか。
紫電:『みんな一度王都に帰るよ』
フラ:『私も王都の冒険者ギルドへ 連れて行って下さい』
紫電:『仕方が無い【テレポート】』
フラ:『有難う御座いました ギルドへ急ぎますので』
小狼:『どういう人だろう』
紫電:『王宮へ急ごう』
紫電:『王様 竜の山は火山では有りません 火口から煙は上がっていますが 山の中は空洞です 地震を発生する装置や 機械的な物は無いので 魔法を使って 地震を起こしているのかも 知れません』
紫電:『噴煙の中に 火山灰や火山岩の粉等は 含まれて居ませんし 有毒ガスも出て居ませんでした』
紫電:『昼間に噴煙が上がった時も 山の中は空洞でしたので 竜は住んで居ません 夜にもう一度確認してきますが 報告が先だと判断し 帰ってきました』
王様:『竜の山が火山では無いとはな 山の中が空洞だと言うのだな 地震と噴煙は起こったと言うのに』
紫電:『再度 夜に調査して見ます』
紫電:『さて 夜はみんなで 山の中と火口を調査する 今は中に人も魔物も居ないから おかしい所を見つけてくれ頼んだぞ【テレポート】』
紅:『おかしい所は無い〜』
茜:『おかしい事も無い です』
小狼:『特にどうと言う所は無いですね』
緋:『夜に火柱が上がる事も有るって 言っていましたよね』
紫電:『火口に問題が有るのかも 僕みたいに【テレポート】が出来れば 山の空洞に直ぐに来れるだろうけど 移動手段が必要だよな』
小狼:『紫電様 入口の火口で 煙の出ている原因を 調べた方が 良いのでは 無いでしょうか』
紫電:『そうだな 火口を調べるか【テレポート】』
紅:『あそこから煙が出てる〜』
茜:『くん くん あれ この煙り 焦げ臭く無い です』
紅:『くん くん 本当〜』
小狼:『紫電様 本当です 焦げ臭く無い煙て どういう事です』
紫電:『穴の奥に機械が埋め込まれているよ ファンの様な物だから更に奥から 流れている』
緋:『紫電様 誰か近付いてきます 三名います』
紫電:『みんな集まって 隠れるよ』
ライ:『我等の一族から 火竜使いが出なく成って百年 竜の山に火竜が居なく成って七十年 地震の魔法とこの煙の発生装置で みんなを騙して 火竜が居る様に見せて来たけど もう限界だ』
ドラ:『フラも何処かに 姿を消したし もう終わりにしましょう』
フドラ:『では 領地と侯爵位を返上して 父上無念です』




