都会と島の音
おじさんは魚をあっという間に捌いてキラキラと輝く刺身へと変化させた。
『食べてみっ!!ほらっ!!』
おじさんがキラキラと目を輝かせてこちらを見ている。
…ちょっとキモい。
あぁ!!ウソウソ!!そんな失礼な事俺は思わない。
俺はせっかくだし…と写真を撮ってからまな板に並べられた刺身を口にした。
「え?!なんですかこれ?スーパーの刺身と全然違う…」
俺の反応を見た2人は顔を見合わせてニヤニヤとしている。
『でっしょー??これだから東京モンは味音痴なんだよ♪ボクたちはこの味で育ってんだぞ?いいだろッ??』
ちょっとムカつくが、確かに羨ましい。
あまりの美味しさに丸々1匹分の刺身を一瞬にして食べ終えてしまった。
「いや、マジでうまいですよコレ。プリプリ感が凄かったです!!ご馳走さまでした!!」
俺の反応が余程嬉しかったのか、"今度家に届けてやっから場所教えなっ!"と俺の家の場所を教えると、さすがは島民。"あぁ!アソコの空き家だったトコな!"と少し説明しただけで家が分かってしまった。
「それじゃぁ、ありがとうございました。」
『おうっ、期待して待ってろよ!がんこ新鮮なヤツくれてやっからな!それと…海美ちゃん、いつでもいいからまた乗りたくなったら来なよ。』
港を後に緩やかな道路を上っていく。
「こっちの道あんならこっちから降りりゃぁよかったわ。」
『冒険心のないヤツだなぁ…それでもオトコか?』
こんな嫌味ばっか言う美雨だけど、なんかこの短時間で少しだけ美雨ってヤツが分かった気がした。
「そんな言葉遣いでお前はそれでもオンナかっ?」
『うっせー!!ニヤニヤしてキモい!!』
港の上空を舞う鳥たちが楽しそうに声を上げている。静かな波の音と樹々の擦れ合う音だけが聞こえるこの島は、都会の雑踏から聞こえる騒音とはまるで逆で…
こんなにも心地よい音が存在していたなんて俺は知らなかったなぁ…
なんてシミジミしてると…
やっぱり…
コイツの軽蔑した視線がすぐ横から突き刺さってくんだよなぁ…ははは…




