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生贄竜の見る色は・・・・・  作者: 終夜イブキ
アクマの森の仔〜暁〜編
41/45

【十六話 悪魔の森の仔~灰色はそこにいた~】

ホラーじゃないホラーな話

そして、全く話が進んでくれない話

─────覚悟はしていた。

最悪の事態に備えて、俺はこの世で最も危険なモノに全てを賭けた。

しかし、ソレは今だ使い物にならない状態だった。

それでも俺は一抹の望みを賭けて、ソレが動くのを出来るだけ時間を稼ぎながら待ったのだ。

案の定、俺は窮地に陥り最早之までかのところで・・・・・賭けに勝った。


ソレは俺の望み通り・・・・・・・・・否、それ以上に斜め上を暴走しながら叶えてくれやがったが。



──────覚悟はしていた・・・・・していた。

だが、あんなモノ(・・・・・)直に見てしまったら、強固な覚悟は一欠片の形も残さず、無惨に、無慈悲に、粉々に、粉砕された。


同時に、ここで俺は目の前が真っ黒に染まった。



「・・・・・ここまで本当によく頑張ったね、兄よ。

キミのとてつもない覚悟と勇気は周りに最大限の称賛を受けるだろう・・・。


でもっ!どんなに彼らがキミの覚悟と勇気を讃えようと私はキミを一生恨んでやる・・・!


キミの行動で恐ろしい光景をリアルタイムで私に見る羽目になったんだ!!

何アレ!?何でそうなったっ!?暫くおトイレ行けなくなっちゃうよぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁ!!!」


ガタブルしながら見守っていた、【ナマモノ】はガチ泣きしながら兄に恨みの言葉を送っていたとか。


二人が恐れるほどのモノ、彼らは一体何をミテシマッタノダロウ、ネェ?




* * * * *




マーリンの“香り”により強制的に発情・酩酊状態にされた兄。

更に彼の飢餓と情慾でドロリと濁った橙色の瞳に、身体・意識・五感を掌握されてしまった。

情けないがもう抗うことも逃げることも出来ない。


「(あぁ・・・このまま殆ど何もできずこの幼い姿をした半魔の子供に(性的に)食われてしまうのか・・・・・せめて、彼奴・・・が・・・・・)」




キィ・・・・・




何処かで、微かに何かが開く音がした。


「(・・・・・?)」


何が開いた音だか分からなかったが、この音で兄は少しだけ意識が回復。そして目が少しだけ自由動かせる様になった。

一方マーリンの方は、虫の息であろう兄の理性にトドメを刺す言葉を、頭の中に甘い毒を注ぐ為顔を彼の耳元に顔を寄せた。


そうするとどうなると思う?


妖艶なマーリンの顔が横に動いたことで、兄の見る景色が変わった。

彼の緑柱石色の目に映ったものそれは、




大きなクローゼットだった。




何の変哲もない、朝昼晩毎日見るただの大きな家具。

自分の着る服やその他の道具等を仕舞う大型家具。


今日だって朝には寝間着から、剣の鍛錬でも汚れても良いような服に着替える時に使った。

鍛錬途中エムリスからの呼び出しで、例の緊急会議に出る時だって、そのままの格好ではなく着替える為に使ったりもした。

そして、今実行して失敗した計画の前にも・・・・・。


クローゼットは今日一日で三回世話になった。

全部開けた後はちゃんと扉を閉めて・・・・・。

特に最後に使った時は、扉が閉まっているのをしっかり十回も徹底的に確認した。


・・・・・した、ハズなのに




今、クローゼットの扉は、開いている。




僅か10cm程度だが開いていた。

先程の音はクローゼットの扉が開いた音。

兄があんなに閉まっているのを確認した扉が、勝手にに開いた。

否、勝手に開いたのではない。

アレ(・・)が開けたのだ。




扉の中、真っ黒な暗闇から出た白くて小さな手が・・・・・。




兄は完全に正気に戻った。

アレ(・・)はエムリスに黙って連れて、クローゼットに隠したさっきまで死んでたけど何かの拍子で生き返ってしまった最凶の最終兵器。



「(・・・・・勝った)」


兄は安堵した。

なんとか自分がマーリンに骨の髄まで食われる前に、動いてくれた。

これで自分の童貞は守られる。

しかし安心したのは一瞬、その後に莫大な不安が支配する。


不安の原因。此れから起こる事は予測の出来ない、最凶最終兵器────ウーサーによる敵味方関係なく襲いかかる恐怖の時間が始まってしまった・・・・・。




* * * * *




一方、マーリンは兄が自分の術が解けているのに気付かず、そのまま彼の耳元で甘く囁く。


「体が熱くなってきたんでしょう?」

「(熱くない。悪寒で身体どころか精神も冷えて風邪ひきそうたわっ!)」


兄が正気に戻り元気に脳内ツッコミをしている間、クローゼットの扉が更に開く。

手から始まり、腕、肩、灰色の髪の頭、胴体、下半身と暗闇から、


ズルリ・・・


っと這い出て


ボトリ・・・


と、静かに床に落ちた。


「その熱を早く解放したいでしょう?」

「(ついさっき(弟の出現で)開放された。

今はお前より後ろから来る恐怖から開放されたいっっ!!)」


ゆらり、ゆらり、と灰色の髪の子供が立ち上がる。

顔は下を向いているので、どんな表情をしているのか分からない。分かりたくない。


「ナカで暴れ渦巻く精気をココに注ぎ込みたいよね?」

「(安心しろ、滅茶苦茶大人しくなってどっかの片隅で縮こまってるよ。

代わりに暴れまくるのは俺の心臓っ!バクバクって、今まで聞いたことない音鳴らして爆発しそうっっ!!

もし爆発したらお前の余裕な顔面に臓器諸共ぶち撒けてやるよっっっ!!!)」


ヒタリ・・・ヒタリ・・・

不気味な足音が此方に少しずつ近付いて来る。

顔はまだ下に向いたまま。


「おにぃさんの熱も欲も精気もボクがぜーんぶ余すことなく食べてあげる」

「(熱も欲も精気も後ろの弟が全部まとめて瞬間冷凍してどっかにしまってったよ。

・・・・・大丈夫だ。まだ、俺は弟に(男としての人生)殺されてない、されてない!

ただ、一時的恐怖で大人しくされただけ・・・・・だよな?ウーサーぁ??)」


ギシリ・・・・・

ベットが軋む音。

嗚呼・・・とうとうここまで来てしまった・・・。

ズッ・・・ズッ・・・

と、シーツの波を這って進んで来る。


「だから・・・・・さぁ、怖がらずにボクに身を委ねて、ね?」


「(怖いのはお前じゃなくて、お前の真後ろにいる()だ。

あぁ・・・もうここまで(弟が)来てしまったら腹を括れ!

というかコイツの襲撃用の保険でウーサーをクローゼットの中に隠した時に覚悟しただろうっ!

もうコレが正真正銘最後のチャンスだ!

逃せば最後、確実に本当に俺(の童貞)が食われる!!

そうなる位ならコイツと共に生きた地獄に道連れにしてやるさっっ!!!)」


兄が恐怖で動かない体をなけなしの力を集めて、なんとか右腕だけ少しずつ上へと動かす。


そしてマーリンの直ぐ真後ろまで来た灰色の髪の子供───ウーサー。

うつ伏せた上半身だけを腕の力を使わずに、すーっと立ち上がらせる。

顔を上げた。


「・・・・・・・・・・」


彼の顔を見た兄は気絶。

でも何とか気絶する前にマーリンの肩を掴んだ。



そうそう、最初に【私】は【キミ】に問うたよね。


「一体何を見てしまったのだろう、ねぇ?」と。


それではここで答え合わせだ。

兄は何を見て気絶したのか?

この流れでもう解っているでしょ。

そうウーサーだ、ウーサーの顔だ。

彼はどんな顔をしていたと思うそれは───




笑顔。




笑顔だがいつものモノではない。

ハイライトの無い蒼い瞳孔が開いたままの状態・・・・・。

しかも笑っているのに全く感情が入ってない無の笑顔。

笑顔を崩すことなくウーサーはゆっくりマーリンの肩に

ポン・・・・・っと軽く手を置いて耳元で囁いた。




「捕まえましたよ・・・・・橙色の方のマーリンくん・・・・・」

「ぎに"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ーーーーーー!!!!!」




城中に幼い半魔の絶叫が響き渡った。

いつまで続くかわからないおまけ



【ナマモノ】

「今回も登場人物たちの今の状況だよっ!

ハイ!じゃあ早速ポイっとなっ☆」


↓↓お名前と状態↓↓


兄→最凶の守り(呪い)が無くなり理性が·····?→魅了強制解除→脳内ツッコミ→ウーサーの顔面兇器(狂気)により気絶→このメンバーの中で一番不幸な人


ウーサー→重度の胸焼けで絶賛屍中→クローゼットの中からズルリ→ボトリ→ゆらゆら→ヒタリ・・・ヒタリ・・・→ギシリ・・・→ズッ・・・ズッ・・・→すーっと→ポン→「捕まえました」→恐怖と地獄に落とした元凶


エムリス→黒いオーラに当てられ続け戦闘不能→メンバーの中で三番目に不幸な人


?????→屍を放っておいてお散歩中→メンバーの中で一番平和な人


赤紫マーリン(人間)→橙半魔により強制スリープ中→このメンバーで二番目に平和な人


橙マーリン(悪魔)→空腹の余り暴走チャーム全開発動→兄を誘惑中(背後気付かず)→ポン→

「ぎに"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!」→最凶最終兵器ウーサーを起動させてしまった元凶


【ナマモノ】→どっかの部屋の隅っこでガタブル中→最後まで頑張った兄に称賛の言葉を掛けまくった→なお、気絶は出来なかった→暫く一人でトイレに行けない未来が待っている→兄と同じ位一番不幸な人


作者→とりあえず何処かで生きている

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