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生贄竜の見る色は・・・・・  作者: 終夜イブキ
アクマの森の仔〜暁〜編
37/45

【三十二話 アクマの森の仔〜暁〜⑧】

別タイ:灰色が死んだ理由

※死んでません

「何で...何でこうなったんだっ!?」


兄は目の前の光景を認めたくなかった。

だってあの弟が、どんな困難()も黒い微笑を称え、目の前の悪霊や悪魔、不埓な輩を精神·物理共々地獄に落と(オーバーキル)してきたあの、弟が!兄の自分より数多の武勇()を上げ、


“空気の読めないお掃除人”

“人間辞めたお団子()職人”

“詰め詰めしちゃいますよ小僧”

“逃げてもそこにいる恐怖”

“生きた悪夢のトラウマ製造機”

“見た目詐欺”ets...


何一つ格好良くないダサい、まともなものが無い、羨ましいとは思わない、無い無い尽くしの通り名を獲得してきた最凶の弟が今、


「う、にゅ.........」


戦闘不能になって、ベッドとお友達状態になっているなんて...誰が予想できたか!?


「何故ウーサーがこんな状態になってしまったのですかっ!?」

「不幸な事故だったのよ...」


いつの間にか兄の隣にいたヴォーティガンが、手に頬を添え、溜息混じりにウーサーに何が起こったのかを語りだした。


◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇


私とウーサーちゃんはウーサーちゃんの私室で早速“護符”の製作準備を始めたの。

とは言っても、私達のご先祖様から代々受け継がれてる“教え”の一部が書き刻まれた凄い“護符”だけど、特別特殊な材料が必要と言う訳ではないのだけれどね。

ペンとインクと紙があれば直ぐ作れるものなのよ。

一番大事なことは書く紙にどれだけ思い(殺意と怨念)を籠った“黒いオーラ”を注ぐ事....。


「えーっと...これ、全部にですか?」


ウーサーちゃんの机の上には数百枚以上の紙の束が積んであったわ。因みに、あんまりの量に珍しくウーサーちゃん引いてたわね。


「そうよ。義兄(あに)は妹ちゃんがいるから省いてるけど、このお城に住んでいる子達の部屋の扉には全部貼る予定よ」

「なるほど、です...私たちの住む城の部屋はこんなにあったのですね...」

「小さくても城なのだから当たり前でしょう。でも私の所よりは少ない方よ?」

「それはそうでしょう。オネェさんは大国なのですから」

「まぁね。さぁ、時間がないから世間話はここまでにして、チャチャッと作っちゃいましょう!」

「作るの私なんですけど?」


ウーサーちゃんを椅子に座らして、ペンを持たせてあげて、はい、準備完了よ♪


「あっ、忘れてたわ」


私は懐からピンク色の可愛らしい小瓶を取り出したわ。


「そ、それは...!?」


小瓶を見たウーサーちゃんの顔色が面白い位、みるみる変わっていったわ。


「大丈夫よ、ウーサーちゃん。疲れたらこのエムリスちゃん特製“栄★養★満★点★スタミナ回復ジュースEX”を飲めばあっという間に、疲れなんて吹っ飛んじゃうから♡」

「確かに疲労は回復しますが!歯が溶けるのでは無いかと言う位、滅茶苦茶甘くて暫く物凄い胸焼けでまともに動けなくなったのですが!?」

「あら、飲んだことあったのね」

「剣の素振りの後知らずに飲まされました」


ウーサーちゃん曰く、その時は■人レベルで激甘なジュースを飲まされてしまった彼の体力は確かに全回復したみたい。

でも、余りの甘さに酷い胸焼けになっちゃったそうよ。暫くはバケツとベッドとお友達になってたって言ってたわ。


「今回は特別に十本用意してもらったわ」

「にゅっっ!?」


一本でも大変だったのに、それを十本も!?ってウーサーちゃんの表情が言いながら同時に、


「ペース配分に注意して作業しますので結構で「それじゃ間に合わないの。それにウーサーちゃんの体力は信用ならないから却下よ」うにゅ!?」


やんわり断ろうとしたしたウーサーちゃんの言葉を遮って、私は心を鬼にして笑顔で言った。


「さぁ!最初は(あに)ちゃん用の三枚を作ってもらいましょうか。その後は他の子の部屋の扉に貼る用の物□□(ピーー)百枚ね♡」

「にゅーーーーーーーーーー!!!」


その後、沢山“護符”を作って貰って、滅茶苦茶ジュースをガブ飲みさせたわ───。


◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇


「───と言う訳で、ウーサーちゃんはその身を犠牲にしてなんとか全ての“護符”を仕上げてくれたの。

でもやっぱり、終わって直ぐに栄養ジュースの副作用()が出てしまって、こんな状態になってしまったわ」


いけしゃあしゃあと言うヴォーティガンが指差す方には、ウーサーの机があり、その上にはあの禍々しい黒いオーラを放つ大量の“護符”の束が置かれていた。


「因みに何本飲ませたのですかのぅ?」


好奇心で勝てなかったのか、ウーサーの状態を心配してなのか、エムリスはベッドに横になっているウーサーの脈を測りながら聞いてきた。


「六本半よ」

「ふむ、少量ですな」

「エムリスちゃんだったらそうかも知れないけれど、普通の子は其れ位でも十分毒よ」


今サラッと毒とか言いやがったよこのオネェさん。

そして、今まで黙ってウーサーを見ながら二人の呑気な会話を聞いていた兄は、スラリと腰の剣を抜いたかと思うと、


「〜〜〜っ!何(最終兵器)駄目にしてんだぁ!!この馬鹿叔父ぃぃぃぃぃぃ!!!!」


物凄い形相でヴォーティガンに斬り掛かってきた。が、


「あらあら、(あに)ちゃん稽古するにはもう遅い時間よ」


と、難なく兄の剣をひらりと躱す。


「うおおおおおおお!!!」

「ウフフフ♪」

「お二人とも静かになさって下さいですじゃ。ウーサー様が安心して(夢の世界へ)旅立てぬではありませんか」

「.....にゅ...........」(※訳:死んでません)


ウーサーの意味不明な小さなうめき声は、怒りで剣を振り回す兄とそれを楽しそうに避けるヴォーティガン、そんな二人を呆れて見て注意するエムリス達の耳には届かなかった...。


───本当にこんなんで大丈夫なんだろうか?

いつまでつづくか分からないおまけ


〜語られなかった会話〜


「オネェさん、一ついいですか?」

「何かしら?」

「私の作った“護符”ですが、メルリヌスくんには効果がないと思いますよ。だってあれは───」

「ええ、知っているわ。でも、メルリヌスちゃんはウーサーちゃんの事が大の苦手だから、ウーサーちゃんの気配がする物があれば、まず簡単に他の子に手を出す事ははないでしょう」

「確かにそうかも知れませんが、それはメルリヌスくんが平静でいた場合でしょう?───オネェさん、兄さんの何を確かめようとしているのですか?」

「ウフフフ♪やっぱりウーサーちゃんには分かっちゃうのね。そうね、私が確かめたいのもあるけど、義兄に頼まれてね、兄ちゃんの精神力と理性がどれくらい強いか見てみたいのですって。

だから、今回の件を利用して試すことにしたの。

.....今のブリテンは生半可な精神と理性だけでは生きてはいけないからね」

「兄さんなら大丈夫ですよ」

「あら?言うわねウーサーちゃん。その自信の理由は何かしら?」

「私の兄だからです、と言うのでは駄目ですか?」

「!フフフフ!そうね、それなら全然大丈夫ね」

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