【十八話 アクマの森の仔〜黄昏〜⑤】
別タイ:黄昏と暁の悪夢
今回の回はマーリンの過去の話で視点もマーリン中心で語られますが、結構酷い目に合っていますので注意してみてください。
これはウーサーと出会うもっと前の話。
その子供はこの灰色の雲に覆われた世界に生を受けた直後、母親の元から離され【アヴァロン】に連れて行かれた。
なんでも母親の胎の中に子供の命が宿った時、【アヴァロン】から来たという妖精が母親に、
「その腹の中にいる赤子は半分悪魔の血が流れている。このままだと子供の中の悪魔の血が暴走し、世に災いを振りまく化け物となってしまう。そうならないようにその子供を直ぐに【アヴァロン】に連れていき、悪魔の血を浄化すれば、血は静まり赤子は普通の人間として現し世で生きていくことが出来る」
と言った。妖精の言葉を信じた母親は生まれたばかりの赤子を要請に託した......が、妖精の言った事の殆どが嘘だったのだ。
【アクマ】と人間にできた生命を偶然見つけた【アヴァロン】のある精霊が新しい玩具を見つけたとばかりにその子供を欲し、下僕の妖精に攫って来いと命じたのだ。
命じられた妖精は口八丁で母親を騙し、まんまと子供を奪い去り、壊れて狂った【楽園】へと連れ去ったのだった。一方、子供を奪われてしまった母親は子供を取り返そうとしたが、妖精に返り討ちにされて殺されてしまった。
そこから子供の地獄は始まったのだ......。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
子供は【アヴァロン】に連れてこられて早々、精霊の娘達に魂を二つに引き裂かれて【人間】と【アクマ】の二人に分けられた。
そこから無理矢理身体を成長させられ、膨大な知識と【ペット】と称した悍ましい化け物を【中】に捩じ込まれるが地獄は更に続く。精霊の娘達と【ペット】に嫐られるようになっていく中、奴等は新しい遊びを思いついたと称して子供の身体をバラバラ分けては強引に戻しまたバラすの繰り返しをして、あまりの激痛に悲鳴を上げる子供達を見て愉しんだり、飽きたら次は子供達の視覚を狂わせて視界には悍ましい極彩色しか見せないようにして発狂させたり、それにまた飽きたら今度は【中】を深く、暗く、痛くて吐き気を催す程の歪で気色の悪いモノに作り変えられ、その【中】に子供達を閉じ込めて【ペット】に口にするのも憚られる様な拷問と凌辱をされた。
子供達が悲惨で虐い目に遭う様子をケラケラと下卑た嗤い声をあげながら、愉しそうに見る娘達の顔が子供達の脳裏に魂に深く刻まれてしまい、娘達の顔・声・臭いを嗅いだだけでとてつもなく恐ろしくなって狂ってしまうほどトラウマになってしまった。
子供達がこうなる前、初めの頃は奴等に抵抗し【アヴァロン】から逃げようとした。
しかし、矢張り生まれたばかりの子供で、しかも無理矢理成長させられ知識を与えられただけでは到底数百年も生きている精霊である娘達とでは圧倒的な力の差があり、抵抗も逃走も失敗し無駄に終わってしまうのだが、ここで最悪なことに娘達は子供達の足掻くのが面白くてそれを遊びの一つに入れられてしまったのだ。それから態と隙を作りあと一歩という所で子供達の希望を絶望に染めては心を何度も折っていた。
抵抗心を幾度も踏みにじられ続けられた子供達はやがて抵抗する力を失い、全てを諦め娘達や【ペット】にされるがまま身体と心が抉られるような苦痛や破滅的な快楽と悪夢のような絶望を与えられる日々を送るのだった......。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
ある日のこと。子供達はいつものように奴等に蹂躙されつくされた後、いきなり現し世の知らない森の中へ放り出された。
最初は娘達が新しい遊びを思いついて、自分達を現し世に放り込んだと思い警戒していたが、何日経っても何も起こることはなかった。その間に森で暮らしていた【アクマ】という種族に拾われ、彼等に手厚い看病を受け、姿形はとても醜いにも関わらず心は純真で裏表のない【アクマ】達の優しさに触れた子供達は彼等に対して心を開けるようになった。
森に放り込まれてから数年の時が経ったが、子供達の身に何か異変が起こることはなった。
ここまで来て子供達は、もしかしたら娘達が自分達で遊ぶのに飽きて森に捨てたかもしれないと思い始めてはいたが、心の片隅ではこの平穏は自分達を油断させるためのものなのかもしれないとも思っていた。
そして、その不安は最悪な形で当たってしまった。
子供が【アクマ】達の手伝いをしていた時のことだった。急に視界が暗転する。
次に子供達の意識と視界が戻った時に眼の前に広がった光景は悪夢そのもののような凄惨なものだった。
森の木々が【アクマ】達の血で赤く染まり、【アクマ】達だったであろう肉塊が子供達の足元を中心に大量に散乱して転がっていた。
何が起こったのか分からず混乱していた子供達だったが、自分の口や両手、身体中にベッタリと血がついていたことに気が付き、徐々にこれは自分達が殺ったんだと漸く思い至ったと同時に、彼等は腹の底から大きく叫ぶ。
嘆き叫び続ける子供達の頭上から、クスクスと女達の嘲笑う声が響いた。そこにはあの精霊の娘達が立っていた。娘達は泣きながらこちらを見上げる子供達をさも可笑しそうにキャラキャラ嗤いながら言った。
「お前達を外に放おったのは、お前達の新しい反応が見たかったからなのよ。どう?自分達に優しくしてくれて穏やかで安心できる時間をくれた醜い【アクマ】共を、お前達がぜーんぶ壊して殺した気分は?」
娘の一人が喋り終えた瞬間、子供達は怒りの咆哮を上げながら娘達に飛びかかった。しかし、娘達が張っていた結界に阻まれ、傷一つ追わせることが出来なかったが、何度も何度も拳を結界に叩き続けた。それでも結界は壊れずただ子供達の拳が傷つくだけで罅一つも入らなかった......。
娘達の方はニヤニヤその様子を見物して、子供達の悲壮な顔で怒り狂う姿をたっぷり堪能していた。やがて満足したのか、結界を叩き続ける子供達の両手を魔術の縄で拘束し動きを封じる。
拘束されても尚娘達に飛びかかろうと威嚇する子供達を見下ろしていた娘の一人が、
「とてもイイ貌をしていたわよ。ここに放り込んだかいがあったわ」
と美しくも醜い顔で満足そうに言った後、急に何を思ったのか厭らしい顔になり、
「でも、もう少し躾が必要よね。そうだ!今ここでお前達が殺した【アクマ】共に私達といつものように遊ぶ姿を見せてあげましょうよ!」
襲いかかろうと暴れていた子供達が、娘の言葉を聞いた瞬間【アヴァロン】でされたことがフラッシュバックして、恐怖からか身体が無意識にガタガタと震え、歯の奥もガチガチと鳴らし始めた。
「それなら一のお姉様、【ペット】も起こして遊ばせましょう」
「それはいいわね!今の【ペット】ちゃん、ずーーーっとお預けされてたから、すっごく喜んで全力でコレと遊んでくれるわよ」
「まぁ!それは楽しみぃ♡」
「それじゃあ......」
拾八の悪意ある女の手が傷つき心も身体もボロボロの子供に伸ばされた───。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
───それからまたあの地獄のような日々が戻ってしまった。
違うのは今度は現し世で、しかも自分達に親切に優しく接してくれて、殺してしまった【アクマ】達の屍に見られながらだ。自分達の惨めで辱めを受ける姿を見られたくなくて、何度も止めて欲しい、許して見せないでくれと、懇願し許しを請うたが、逆にそれが娘達の加虐心を煽り責め苦が益々激しさを増してさせてしまっただけだった。
絶望と羞恥、後悔と罪悪の中、子供達の心が耐えきれなくなり壊れようとするも、娘達はそれを許さず、魔術で身体同様心が壊れないように呪いをかけた。呪いをかけられたことにより、子供達は壊れることも出来ないまま、【アクマ】達の屍に囲まれながら、娘達と【ペット】が
冷たい蒼い炎が奴等を燃やすまで弄ばれ続けるのであった。───。
その日々に終止符を打った蒼い炎が出現したのが、【ペット】に犯されている最中でそれを差も愉快そうに娘達に見られている昼の頃だったかもしれないと記憶している。
本当に突然、何処からともなく蒼い色の炎が出現し、子供達と【アクマ】の屍以外の森の結界と娘達と【ペット】を襲い灼いたのだ。
娘達と【ペット】はその炎のあまりの熱さに耳障りな汚らしい悲鳴を上げたかと思うと、そのまま娘達は【アヴァロン】へ【ペット】は子供達の【中】の奥へと逃げてしまった。
残された子供達は犯され続け身も心も疲れ果てた状態で、奴等の身に何が起こったのかも考えられず、そのままその場で意識が闇に落ちていった───。
いつまでつづくか分からないおまけ〜クイズにもならないクイズ〜
Q:娘達と【ペット】と森の結界を灼いた炎は誰が出したでしょうか?
A:答えは十三.五話を見てね!(見なくてもバレバレでしょうが)




