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【八話 湖の貴婦人⑤】

別タイ:こうして湖色は妖妃になった……

小さな小さな子どもたち


夜の『湖の森』に行ってはいけないよ


行ってしまえば湖の貴婦人【イグレイン】に


『湖の城』へ連れ去られてしまうから


連れ去られちゃった子どもたちは


二度と外には出られない


泡になって消えてなくなっちゃうまでずーっとね!


◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇


湖の美しき精霊は最愛の息子(ランスロット)を失った境に狂い始めた。

夜な夜な子供にしか聞こえない、いつもランスロットに歌っていた美しく甘い優しい子守唄で子供達を湖へと誘い、その場で攫っては自分の子として育てるようになった。

攫った子供達は十歳未満で男女問わずバラバラで親がいてもいなくても、彼女は息子の【色】に近い色をした子供達を攫い続けていた。勿論、全員ランスロットと名付けて……。

何故子供を攫い続けるのか、それは彼女が攫った子供達は全て最初のランスロットと同じ様に数年経つと泡となって消えてしまったからだった。

その度にイグレインは更に嘆き狂い、また新たな(ランスロット)に似た【色】を持つ子供を迎え入れるために歌で誘い出し『湖の城』へと攫っては嘗ての日々を取り戻すかのように子供が泡になって消えてしまうまでの繰り返し続けた……。


だが、彼女の夜の哀しい歌は長く続くことはなかった。この事態をこの自体を重く見た湖に隣接する国の王がイグレイン討伐の為に動いたのだ。しかも単身で。

『湖の城』へ襲撃してきた杉石色(スギライト)の王は結界の突破もイグレインの攻撃魔術も全て剣一本で両断し、逆に彼女のドレスを身体ごと切り裂いていく。

コツコツとブーツを鳴らし廊下を進み最後の扉を開ける杉石色(スギライト)の王。

その先には水の玉座があり、そこには力無く傷付いたイグレインが座わっていた。

王は玉座まであと一歩の距離まで近づき、睨みつける彼女を見下ろしながら言った。


「貴女の今までの森と湖の恵みそして、美しい花畑を与えてくれたこと、あの子達を助けてあげていた事にも感謝はするけれど、故意でないとも言えど子供の命を奪う行為は見逃せないわ。

これ以上はこの国の私達が救ってあげなくてはいけなかったの可哀想な子供達の為、醜く哀れな姿を晒し続ける貴女の為にも今此処で楽に■してあげる」


と処刑宣告をした杉石色(スギライト)の王はイグレイン目掛けて剣を振り下ろした───。


───イグレインはありったけの力を振り絞り、杉石色(スギライト)の王の刃から逃れ生き延びた……生き延びてしまった。

命からがら逃れて嘗て【アヴァロン】を追放されたときと同じ様に暫く彷徨い、安全な湖を見つけて傷を癒す為に奥底で深い眠りについた。───愛しい息子(ランスロット)と幸せな日々を過ごした思い出を夢見ながら……。


◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇


「ほし……いった…どう………すか?」


湖の底から子供の声が聞こえた。誰かと話しているみたいだけれどよく聞き取れない。

でもそんな事はどうでもいい。あの子が呼んでいる。早く迎えに行かなくちゃ……。

泣きながら何度も私を呼ぶあの子を迎えに!

私はあの王に受けた傷がまだ完全に癒えていない身体に鞭打って湖の底から上昇したわ。そして───


「───ランスロット?」


岸にいたのは灰色の髪と少し怖い蒼い夜空の瞳の男の子だった。

あの子とは姿も髪も瞳の色、声も全く違うけれどそんなのは別に気にならなかった。

だって外見が全く違うものであっても【色】───【色】だけは完全にあの子のものと完全に同じだったのだもの!


「ランスロット……」


私は泣きそうになるのをグッと堪えて愛しい息子の名を呼んだわ。

でも、名前を呼んだらランスロットは私を憐れむような目で見た気がしたけれど気の所為ね。

居ても立ってもいられず私はあの子のも元にスッと駆け寄りその場で思いっきり抱き締めた!


「嗚呼!やっと見つけた、ランスロット!(やっとやっと私の腕の中に戻ってきてくれた!)」

「にゅっ!?」


ちょっと変わったでも可愛らしい奇声を上げるランスロット。でも、この子は自分はランスロットじゃないと言って私から離れようとするの。

あらあらこの子ったら何を言っているのかしら?同じ【色】を持つ存在なんて存在しないのに、それは今まで色々な【色】を視てあの子似た【色】を持った子供達を育て同じ【色】にならなかったのを知っている私が言うんだから間違う筈なんてないわ。

それより何でそんなに慌てて離れようとするのかしら?


「(ハッ!まさかこれが「反抗期」というもの?いけないわ!離れている間にもうそんな悪いことを覚えてしまうなんて!これは城に帰ってからなんとかしないと!!)」


と、考えていた時だったわ。


「かはっ!?」

「ランスロット!?」


突然ランスロットの身体の動きがビクリと震え固まり動かなくなった次の瞬間、口から夥しい量の血を吐いたのっ!

ボタボタと口から溢れ出す血で私の顔も髪もドレスも真っ赤に濡れていくけれど、気にしてなんていられないしそれどころじゃないわ!!

早く!早く!この子を『湖の城』へ連れて行かないと!!


「ゴホッゴホッ!」

「ランスロット!?ランスロット!!嗚呼!早く『湖の城』で癒やさなくては!

嫌、消えないで───私の愛しい坊や……!」


もう二度と私の前から消えないで───!

いつまでつづくか分からないおまけ〜作者と【ナマモノ】のしょーもない会話・パート2〜


作者:「一度は書いてみたかったんだよね。こんな王様」


【ナマモノ】:「こんな王様ってどんな王様よ?」


作者:「今回セリフだけ出て来た杉石色のオネェさんの王様」


【ナマモノ】:「あの王様男だったのっ!?」


作者:「そだよ。性別書いてないけど男だよ。今後も出す予定」


【ナマモノ】:「それこんな後書きに書いちゃっていいの!?」


作者:「別にいいさ。てかもう名前出てるよ」


【ナマモノ】:「え?何処に??」


作者:「何処かなぁ〜?」(ニヤニヤ)


【ナマモノ】:「コノヤローー!」


おわり

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