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別れたい彼女が子供になりました  作者: 北神 かをる
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別れようと決意した日

 僕は今日決心した。


  好きな彼女と別れることを。

 

 僕は天野(あまの) (たける)。大学生2年生、これまで何不自由なく、そして何の問題もなく生きてきた。順風満帆だった。そう、(ひいらぎ) 千夏(ちなつ)との出会いまでは……


 バカノジョ(馬鹿な彼女)とは、去年友達の紹介で出会った。優しくて僕好みな顔だった。その時から仕事はしてなかったけども、企業をしたいとか、今の時代ネットワークビジネスがどうとか、僕には理解出来なくとも、何だか凄いことをしようとしている子だと思った……けれど、あれから一年経っても仕事をせずに、ネットワークビジネスという言葉は、いつしかネットゲームと変わっていった。

「課金しちゃったーぐへえ、生きてけないでござる」などと抜かすようになり、僕には知りえない世界だった。


  毎日毎日、ご飯を作る為にバカノジョの家へ行き、月に何回も倒れたと連絡が入り、渋々と病院代を言われるがまま払っていった。(課金した支払いだと、最近気付きだした)こんな最悪でだらしないバカとは、今日でお別れしようと決意した。僕の時間を無駄遣いして、僕のバイト代を無駄遣いして、本当くそくそくそくそ。


 でも別に嫌いになった訳じゃないんだけども、このままだと、僕がバカを見続けるのは見え切ってる話だし、学校の友達には数ヶ月前から「きっと大丈夫だよ! 彼女だって、これから頑張ってくれるんだから」という言葉から「そんなクソ女とは、さっさと別れなよ、クソ」と何故か、僕までクソの仲間入り発言をされ、白い目で見られる。そして何より彼女の為にならない。そんなのもう僕は耐え切れない! だから、今日別れをしっかりと切り出して僕は幸せになるんだ!


  学校が終わり彼女の家も見えてきて、間もなく彼女の家へ着く。緊張しつつも、言ってやる覚悟は出来ている。


  安定の鍵をしない彼女の家の扉を開き、夕方前だと言うのにまだ寝てるのか、もう寝出したのか、わからない彼女を起こす。


  布団を頭までかぶっているのはいつもの事。布団に手を掛け、捲り上げる。


「千夏! 話があるんだけど! ――って、ちょ、えっ……」


驚き過ぎてそれ以上、声が出なかった。そこには子供が寝ていたから。


 暫く僕は動けなくなった。全くもって意味がわからなかった。昨日まで居た彼女が、こんな子供と変わって居るなんて……まさか隠し子……? 顔が似すぎている。でも彼女は20歳だ、ここに寝ている子供は8歳くらいから10歳ぐらいだと思う。結論上、クソバカである彼女だが、小学校時代に子供の作り方知る脳味噌は、持ち合わせてないはず……あっ、甥っ子とか? いや、こいつ一人っ子だったよな……


 色々と頭の中で考えていたが、目の前の子供が動き始めた。むにゃむにゃと目を擦りながら起き上がった。


「なんだよ、健かーご飯か? はよ出せおー」


 かかか、かわいい! ってそうじゃない、あまりの可愛さに、鼻息を一瞬荒らげてしまったが、そうじゃない、うん、そうじゃない。でも、この少女が完全に千夏だと口調でわかってしまった。だが、確認の為に聞いてみよう。


「千夏だよね……?」


「あぁん? 馬鹿みたいな事、言ってんじゃねえ!ネトゲ課金すんぞ? こら? いいんか、こら?」


と言いつつも、千夏は喉に手を当て、咳払いをする。声が若干違うことに、少し違和感を感じてるようだ。


「あの、何で千夏は小さくなっちゃったの?」


「元々、そんな身長は高くないけどなんだよ? 馬鹿にしてんか」


 千夏は立ち上がり、鏡の前に立って固まった。動揺しているのは、わかるが僕も同じだ。


「うっひょー私可愛い幼女じゃん」


 やっぱり千夏だった。


 小さくなってもとんでもない異端児だ。


 小さくなった、千夏にご飯を作ってあげながら、小さくなった事情を聞くことにした。


「何で小さくなったか、身に覚えはあるのか?」


「んーなんだろう? そういえば昨日、うちのポストに錠剤の薬が入ってて、ちょうどお腹が痛かったから飲んだ!」


 何て頭の弱い彼女なんだ、もしも危ない薬だったら、どうするつもりだったのだろう。


「他に薬はなかったのか? 戻れる薬もあるんじゃないのか?」


「んーん! 一個しかなかった」


「え、じゃあどうするつもりなんだよ」


「そのうち戻れればいいかな! この体じゃ仕事も出来ないのは辛いなー」


 元々するつもりなかったし、してなかっただろう。


 ふと今日別れを告げる事を思い出した。俺が居なくなれば、仕事も始めて更生させられたらいいなとか、思っていたが、こんな体じゃ働く事もできないし、両親とはひきこもり過ぎて、追い出されたらしいし、このままじゃ千夏は、餓死してしまう……元に戻れる薬または元に戻れる方法を僕が見つけ出してやるか、それまでは今まで通り面倒見てやるか。


「ねぇねぇ、お兄ちゃん」


「お、おい、お兄ちゃんとはなんだ」


 物凄く新鮮だった。そしてこれが妹萌という言葉か……うん、たまらない。ありがとうございます。


「私一人っ子だったからさ、一度呼んでみたかったの」


 千夏は少し寂しげ顔を見せた、やはり喧嘩をして追い出されたとは言え家族を、思い出すのは当然のことかもしれない。そして僕は末っ子だったから、お兄ちゃん何て呼ばれたかったけども、それは夢のままで終わってしまった。でも、父さん……母さん……僕の夢叶ったよ。弟が欲しいとか、ワガママ言ってごめんなさい。


「まあ、わかったよ、元の大きさに戻れるまで呼べばいい」


「いぇーい! とにかくさ、戻りたくなったら、すぐ戻りたいから、戻れる方法探ししようよ」


「そうだな、妹よ」


「えーそれは、キモすぎ!」


 と、とにかく明日から探すことにしよう。

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