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【0:0:3】 同居犯

作者: 撲銃

同居犯                 


遠藤 

    引っ越してきたアパートで同居犯と遭遇する



同居犯 

    その存在はおもに声だけではあるが実体がないわけではない

    

   

警官

    遠藤に同居犯の相談をされる、ちなみに2日徹夜中



☆配役(0:0:3)


両 ○ 遠藤:

両 △ 同居犯:

両 □ 警官:


☆補足・備考


※1 配役及び台本中の『○△□』は、

   各配役の台詞を検索する際の検索対象にお使い下さい。

※2 放送等にもご自由にお使いください。

※3 著作権は放棄しておりませぬゆえすまぬ。


―――――――――――――――ここから本文―――――――――――――――



☆場所は遠藤の住むアパートから近くの交番


○遠藤「アレと出会ったのは私が引っ越して間もなくの事でした」


☆遠藤は引っ越しの片付けを一通りこなしやっと一息ついた所だった


○遠藤「ふぃー、やっと終わったー・・・・マジ疲れた!」


△同居犯「お疲れ様ですー飲み物ここに置いときますね!」


○遠藤「おっ、ありがとう!気がきくぅー、ゴキュゴキュ、ぷはーッ!!」


△同居犯「いい飲みっぷり!引っ越しソバも頼んでおきましたよ!」


○遠藤「マジで!?かゆい所に手が届くぅーー!!・・・・え?」


△同居犯「ん?どうかしました?」


○遠藤「な・・・誰?え、え?お前誰だよ・・・」


△同居犯「あーこんにちは!今日からこちらに住まわせてもらいます同居人です」


○遠藤「・・・は?同居人?そんなの聞いてないし、そもそも何で声だけなんだ」


△同居犯「え?声だけ?・・・あー!まだ見えてないんですね!」


○遠藤「何言ってるの?姿隠してたら見えないに決まってるでしょ?」


△同居犯「私を見る事が出来るのはもっと仲良くなったら、ですからね!」


○遠藤「見たくないし!そもそも同居人なんて欲しくないから!」


△同居犯「うーん?私は遠藤さんと契約をしたんですけど?」


○遠藤「意味が分からないからっ!?

    勝手に住み着くつもりならお前は同居人なんかじゃない!」


△同居犯「じゃあなんなんです?」


○遠藤「ん、・・同居・・犯罪・・ど、同居犯!!お前は同居犯だ!!!」


△同居犯「そんな!初めて聞きましたよ、まるで犯罪者じゃないですか!」


○遠藤「犯罪だよ!?いいからさっさと消えて!!通報するよ!?」


△同居犯「・・・・・ヒドイです、遠藤さんと仲良く暮らせると思ったのに」


○遠藤「・・・飲み物はありがと、でもそれ以外はs・・」


☆インターホンが鳴る


△同居犯「あっ!ソバ来た!!はーい!今開けますー!」


○遠藤「ちょオイッ!・・・・割り勘でねっ!?」


☆交番で警官に今までの経緯を話す遠藤


○遠藤「とまぁカクカクシカジカなんですよー」


□警官「・・・・仲いいね」


○遠藤「良くないですからっ!!

    前だって自分のシャンプー使いすぎて

    『なくなっちゃたー(てへぺろ』とかされて!!」


□警官「・・・・絶対に仲いいよね」


○遠藤「ありえません!!

    料理だって自分の味付けが気に入らなくて勝手に作っちゃうし、

     まぁ悔しいけど同居犯の料理めっちゃおいしいんですけどね

            ・・・でも酢豚は自分の方が上手いです!!」


□警官「・・・・・・で、その同居人との話を延々されても本官は困るんだけど」


○遠藤「同居人じゃなくて!同居犯ですっ!!」


□警官「はいはい、同居犯ね」


○遠藤「まったく、間違えないでくださいよ」


□警官「・・・・で、一体どうしてほしいんです?」


○遠藤「捕まえてください!」


□警官「姿も見えない声だけの存在を・・・ですか」


○遠藤「あ!それがなんですけど、最近所々のパーツは見えるんです」


□警官「パーツ?全体は見えない?」


○遠藤「はい、鍵を渡す時に手や自分が寝転がってる時に足だけとか見えますね」


□警官「へぇ、あなたは緑内障とかではないんですよね?眼科行ってますか?」


○遠藤「違いますし行ってないですけど視力は2・0あります!!」


□警官「無駄に目いいな、そういえば同居犯とどれだけ一緒なんです?」


○遠藤「7ヶ月ですね」


□警官「無駄に長いな!すべて本当だと仮定すると、まんま同居人だよそれ」


○遠藤「・・・・そこですよ」


□警官「はい?」


○遠藤「まるで同居人なんです」


□警官「バカなの?」


○遠藤「違います!だからつまりですね、同居犯は明らかにおかしい存在なのに

        同居人として認めざるを得ない存在にスルッとなってるんです」


□警官「だからさ、普通に同居人なんでしょ」


○遠藤「分かってない!!いいですか?

    名前も顔も知らない人間みたいのと暮らしてる状況が、

    当たり前になってる事に自分は違和感が無くなってるんです

                   ・・・恐怖しかありません」


□警官「・・・それで本官にどうしろと」


○遠藤「逮捕して監獄にぶち込んでください、

    そして二度と自分の目の前に現れないように!」


□警官「見えもしない相手を・・・逮捕か」


○遠藤「じゃあここに来るきっかけになった話をします。。。」


☆数時間前の遠藤のアパートにて


△同居犯「ふふ、よく寝てますね〜{ほっぺを}ツンツン」


○遠藤「ん?あぁ?・・・なっ!!なにするっ!?」


△同居犯「あっ、起きたーおはようございます!つんつんしてましたよ!」


○遠藤「つんつんすんなっ!てか今何時?」


△同居犯「えっと、3時ですよーおやつの時間!」


○遠藤「・・・外は暗い、つまり深夜3時!早すぎるっ!!」


△同居犯「でも今日は朝早いって言いましたよね?」


○遠藤「たしかに言った!

    でも、お前にじゃない!自分への確認で声に出しただけ!」


△同居犯「じゃあ独り言だったんですかーすいません」


○遠藤「うっ、そう言われると何か気まずい・・・

         あーっ!もうほんと出てって!!」


△同居犯「そう言われても、契約ですから」


○遠藤「なんなの、その契約って?同居犯と同居しますーって?するわけない!」


△同居犯「・・・ちょっと違いますね、遠藤さんは寂しくありませんでした?」


○遠藤「え?さみしいなんて、あなたがいるので感じる暇なかったですね!」


△同居犯「そういう事ですよ」


○遠藤「はい?・・・・さみしい気持ちがあったから?」


△同居犯「はい!私は遠藤さんが新生活で不安と、

     そして家族と離れる寂しさを埋めるために契約したんですよ」


○遠藤「さ、さみしくなんてなかったし!!

    仮にあんたが言ってる事が契約なんだとしたら、

    老人が独り身でさみしがっている所につけ込んで、高額の商品を

    売りつける代わりに、話し相手になっている悪徳商売人だよっ!!」


△同居犯「酷いっ!!

     それに私は一切高額商品なんて売りつけてないんですけどっ!

              タダで話し相手その他諸々ですけどっ!!」


○遠藤「ぐぬぬ、そ、そうかも知れないけども!始まりは一緒でしょ!?

    勝手に契約した事にされて、ズケズケと生活に入り込まれた

               自分は被害者です!はいっ!論破!!」


△同居犯「・・・・今まで私を、ずっとそう思ってたんですか?」


○遠藤「そ、そうだよ?呼んでもないのに欲しくもないのに同居人なんて

            ・・・いやっ同居犯なんて!嫌に決まってる!」


△同居犯「そっか、私はね遠藤さんがそう思ってるなら素直に出ていきますよ」


○遠藤「えっ?マジで?」


△同居犯「マジです、だって嫌われてるのに一緒にいる意味って

           ないじゃないですか?だから出ていきます」


○遠藤「はっ!?その、えっ?なんか・・・ごめん」


△同居犯「謝らないでください、遠藤さんは一人でも立派に生きていけます!

     それは私が一番分かってますから、7ヶ月くらいですかね? 

            一緒に過ごしてきたから自信を持って言えますよ」


○遠藤「・・・・行くなよ」


△同居犯「え?それって」


○遠藤「一緒に居ればいいよ、どうせ行くとこなんてないんでしょ?」


△同居犯「・・・え、遠藤さんっ!(泣」


○遠藤「泣くなって!?泣かせるつもりはなかったのに・・・・

                今までを一瞬で思い出してた」


△同居犯「いままで?」


☆遠藤と同居犯の回想に入る


○遠藤「はい!?おいしくないって?じゃお前が作ってみろー!」


△同居犯「だって美味しくないですもん!作りますよーーだ!」


☆出来上がった料理を食べる遠藤


○遠藤「ぱくっ・・・・うましっ!!」


△同居犯「ふふん、でしょー」


○遠藤「でも、酢豚はやっぱり自分の方が上手いな!」


△同居犯「あーそれは同意します、遠藤さんコツあるんですか?メモります!」


○遠藤「ふっ、そう簡単に教えはしない!秘伝だからねっ!」


△同居犯「うわっ、いけずー」


○遠藤「ふふふ、はははっはっはは!」


△同居犯「へへっ、ははっはははははっ!」


☆お風呂場にて


○遠藤「あれー?シャンプーでない」


△同居犯「すいませんっ!

     私がさっき使い切ってなくなっちゃいましたー(てへぺろ」


○遠藤「すぐに買ってきんしゃい!!」


△同居犯「自腹ですかぁ?」


○遠藤「家賃、光熱費、日々の買い物・・・

     ほとんど自分からなんですがっ!?」


△同居犯「ちぇ・・・あーい」


○遠藤「いま舌打ちした?・・・ダッシュで!いけっ!!」


△同居犯「ぴゅーん!」


○遠藤「まったく・・・あいつは」


△同居犯「買ってきましたん!!」


○遠藤「早っ!?ありがと・・・

    って、Dovuドブじゃなくてなんでデメリット!?」


△同居犯「え?安いから」


○遠藤「自腹だからって値段で決めるなっ!ファッキュー!!」


△同居犯「わっ激おこだー!てへぺろーん!」


☆そして回想の回想が終わる


○遠藤「ほんと色々あったよなー」


△同居犯「ですね」


○遠藤「そのさ、これからもよろしく」


△同居犯「はいっ、よろしくお願いしますっ!」


○遠藤「・・・・・・・・・なんでこうなる」一転して暗くなる


△同居犯「ん、どうしましたー?」


○遠藤「お前は、なんで心にまで住み着くんだ!?」


△同居犯「・・・・それが、契約ですよ?」


○遠藤「う、うぁ・・・わぁああああああああああああああ!!!」


☆アパートを叫びながら遠藤は出て行きそして交番に向かった


○遠藤「・・・分かりましたか?この恐怖が」


□警官「・・・・なんだろ、とんでもなく仲いいね」


○遠藤「だから!すべては同居犯がそう思わせてるんです!

    きっと知らず知らずの内に身内的な距離感を持たせる

    なんか薬的な洗脳的な!そんな事をされてるに決まってます!」


□警官「正直言わせてもらうけど、

    同居犯が仮にそう思わせていたとしてもだよ?

    本官は今のままで良いと思うんだ、なぜか分かるかな?」


○遠藤「なぜなんです?」


□警官「同居犯は何も悪いことをしていないんだ、

    もちろん日々の生活費は遠藤さんから搾取してるかも知れない

              けども、聞いている限り悪い人ではない」


○遠藤「人かどうかも分からないって何度も!」


□警官「いいかい?人でないとしても私は羨ましいと思ったよ、同居犯を」


○遠藤「何言ってるんですか?」


□警官「本官は、家に帰っても1人で

    誰も返事が返ってこない部屋にただいまって言ってるんだよ?

               おかえりの一言もないただの空間にね」


○遠藤「それは・・・でもっ!」


□警官「ないものねだり、隣の芝生は青い、酸っぱいブドウ・・・・

      遠藤さん、あなたは満たされている事を自覚していない」


○遠藤「不満だらけですよ、あんなのと毎日一緒で」


□警官「いつだって気づくのは失ってからなんです!あなたはまだ失っていない」


○遠藤「お巡りさん!!あなたはこの恐怖を!」


□警官「いい加減に自覚しろっ!!!お前は、恵まれてるんだ!!

    家に帰り、語らい、笑い、食べ、寝る、

    たったそれだけで人は満たされるのに・・・

         それが出来ない人のなんたる多き現代かっ!」


○遠藤「お巡りさん・・・?」


□警官「誰だって欲しいんですよ!?同居犯が!!

    あなたはそれを手に入れている!!羨ましい事この上ない!!」


○遠藤「あ・・・・はい」


□警官「手放さないでください、同居犯を」


○遠藤「え・・・・はぁ」


□警官「あっ今更なんだが、同居というより居候と言った方がしっくりくるな、

                   赤の他人が住み着いてるんだからさ」


○遠藤「あ!それは・・・でも!同居犯の方が言いやすいです!

    居候犯なんて漢字なら三文字ですが実際に読んだら7文字ですよ!!」


□警官「そのさ、同居犯も読んだら6文字でそんなに変わらないんだけど・・・

                 まぁどうでもいいかどっちみち羨ましい」


○遠藤「そう!どうでもいいんです!今更!」


□警官「しかしだ、たしか同居犯は同居人だと宣言していたと言う事はだ、

    そいつは遠藤さんを家族だと認識してるのではないかな?羨ましい」


○遠藤「は!?家族ですって?

    はっ馬鹿げてる、得体の知れないのを家族だなんて!

          そもそも人かどうかも怪しいんですよ?」


□警官「同居犯が居候だと言わなかった理由、

    それもこの事件のヒントなのかも知れないな、そして契約の詳細も・・・

                   って、そろそろ帰ってくれない?」


○遠藤「え!?なんかここから推理が始まって、同居犯とは!そしてその目的は!

    我々警察は目に見えぬ、人ならざるモノを逮捕出来るのか!それから

      霊能者とか探偵とか色々出てくる一番盛り上がる場面なんじゃ!?」


□警官「・・・・詰め込みすぎ、

    いいからさっさと帰って同居犯と仲良く生きてゆきなさいな」


○遠藤「そんなぁ、この事は上の方にも報告しますよ!」


□警官「そう・・じゃあ頑張ってね、

    本官はもうちょっとでやっと帰れるんだ、2日は徹夜してるんでね」


○遠藤「それはご苦労様です・・・が!それとコレとは!」


□警官「いいから・・・・・早う去ね(はよういね)」だいぶドスきかせて


○遠藤「ひっ!・・・はっはーい」


☆飛ぶように去っていった遠藤そして、警官は帰宅の途につく


□警官「しかし妙な話だったな・・・遠藤が作った創作いや妄想か?

    だとは思うが怖くもあり・・・そして羨ましかった、

    契約とは寂しさとの等価交換で、得られるものは得体はしれないが、

                 寂しさと無縁になれる同居人か。。。」


☆ふと警官は回想の合間に遠藤に質問していた回答を追想しながら歩く


○遠藤「え?どこまで姿を見たかですか?

    あー思いっきり全体像を見たこともありますよ」


□警官「そう、遠藤は同居犯をほぼ見れる程度には仲良くなっていた」


○遠藤「それは後ろ姿ですね、でもすごく曖昧なんですよー

    背丈は高いような低いような体型も同じく

    太いような細いような髪の長さもほんとにすべてが、

     あ!服は着てますよ!まぁどんなのか曖昧ですけど」


□警官「見えると言っても、記憶に維持できないほどに

    曖昧な存在である事は変わらない・・・つまり同居犯とは」


○遠藤「触れることは多分出来ます・・・けど触れたいとは思えません

          ・・・同居犯につんつんされた頬を見てくださいよ」


☆遠藤は頬に貼り付けていた絆創膏を剥がす


□警官「人ではあるが人ではない存在、遠藤の頬を見た時そう確信した」


○遠藤「はい、昔ドライアイスで火傷しちゃった感じと似てるんです・・・」


□警官「もちろん、遠藤の狂言と同時に説得性を増すための

    小細工の線も捨てられないが・・・そこまでする意味は?」


○遠藤「怖いんです・・・

    たしかに、楽しいこともあった!でも、アレは・・・」


☆警官は自宅マンションのドアの前で鍵を開け

   いつもの様にドアを開けながらこう言った。


□警官「ただいま」


△同居犯「おかえりー!」


□警官「なんだ、こんな時間まで待ってたの?」


△同居犯「へへっ、いい子でしょー」


○遠藤「顔は確かに見えないんです・・・けど、どことなく似てるんですよ」


□警官「!?・・・・・お前は?」


○遠藤「・・・自分に・・・」


□警官「誰だ?」


△同居犯「同居人ですっ」


☆薄暗い部屋の中に立つアレは、

 開いたドアから差し込む蛍光灯の光に照らされるも顔は暗く影を落とす。


□警官「顔は確かに見えないが、どことなくその顔は・・・・私に似ていた」


☆おわん☆



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