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弟代わりと化したユリウス

「ご...ごめんね? もう大丈夫だから...」


そう言ってメルは名残惜しそうにユリウスから

離れた。


「突然ごめんね? 抱きついたり泣いちゃったり

して...」


「あ、いや。 別に大丈夫ですよ。

代わりになるって言いましたし、いつでも

遠慮せずに言ってください」


「ほんとっ! それなら今すぐっ!」


両腕を広げてすぐさま抱きついてきたメルに、

ユリウスはいささか動揺しながらも、


(きっと...寂しかったんだろうな)


と思い、無意識の内に頭を撫で始めた。


「ふあぁぁ...気持ちぃ...」


言葉通り、メルは目を細めて気持ち良さ

そうにしていた。


頭を撫でていたユリウスは、ふと視線を感じ、

振り向くと...


「うぅ...」

「むー...」

「あはは...」


ジト目で睨むレミナとユーリ、そしてそれを

苦笑いしながら見ているミシェルが居た。


「えっと...何か?」


「...何でもないです」

「...鈍感だね」

「こればっかりは私も...ね」


結局何が言いたいのかわからなかったので、

考えていると、ユリウスが頭を撫でていたメルが

顔を上げた。


「ねぇ...?」


顔を上げたメルは、先程まで泣いていたので

顔が少し赤く、さらに上目遣いのため、

ユリウスには先程より可愛く見えた。


「な、なんですか?」


思わずユリウスも少し顔を赤くして答えると


「その...えっと、あの...ね? もっと...」


そう言いながらメルは顔を近付けて――


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

ユリウスくぅぅぅぅん! 駄目だよぉぉぉぉぉ!!」


「そういうのはまだユリウスには

早いですぅぅぅぅぅ!!」


「メルも落ち着いてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

というか弟に投影してるんじゃなかったのぉぉぉぉぉぉ!?

どうして恋愛感情そっちに目覚めてるのよぉぉぉぉぉぉ!!」


無理矢理三人がユリウスとメルを引き剥がした

ので、何事も無かった。


(危なかった...もし止めてくれなかったら...)


ユリウスはそう考えて安堵の息を吐き


(うぅ...なんであんなことしちゃいそうに

なっちゃったんだろ...)


メルは自分の行動を思い返して頬を染めていた。

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