再開した件
「あれ? 二人ともどうしたんです?
浮かない顔をしてますが」
ユリウスが戻ってくると、レミナとユーリは
深い思考に浸っていた。
二人ともユリウスに気がついていないようで
考え事に夢中だった。
「あの~...二人とも? 一体何がーーー」
「あー!! もしかしなくてもその制服って
うちの生徒だよね!?」
「え?」
ユリウスが後ろを振り向くと、ディヴァイス学園の
制服に身を包んだオレンジ色の髪の少女と
同じく制服に身を包んだ金髪の少女が居た。
「ああ、あのときのーーーじゃなくて、
どちら様でしょうか?」
「ああ、ごめんごめん。 いきなり
話しかけてごめんね」
最初に声を発したであろうオレンジ色の髪の
彼女は、一度頭を掻き、そのあと
両腕を腰にあてると
「私はメル! ディヴァイス学園高等部の
2年生なのだー!!」
胸を張りながらそういう彼女を、
金髪の少女は横目で一瞥したあと、
ユリウスを見て
「同じく、2年のミシェルよ。
見たところ新入生でしょう?
まあ、よろしくね?」
「ユリウスです。 よろしくお願いします。
でも、よく新入生だってわかりましたね」
「それはね、 制服でわかるように
なってるんだよ。 ほら、ここ見て」
メルが心臓の位置を指差したので
ユリウスがそこを見ると、七つの頭がある
竜のような刺繍がしてあるのがわかった。
「この刺繍、学年によって違うんだよ。
今の三年生は祖なる聖竜、
二年生は八つ又の凶暴邪竜
そして今の一年生は」
メルはユリウスの刺繍がある位置を
指で触り
「蹂躙の狂王竜。
ま、私的にはこの狂暴竜ちゃんが
一番お気に入りなんだけどなー」
そう言いながらメルは口を尖らせながら
ユリウスの制服の刺繍を指の腹で撫でていた。
「あの...ちょ...えと...そろそろっ...
やめていただけると...」
「え? もうちょっとだけ触らせてっ!」
触られること事態は別に問題はないのだが、
触っている場所が問題なのである。
が、メルはまったく気がつく様子が
なかったので、彼女の隣のミシェルに視線で
助けを請ってみたが、彼女は優しい視線を
ユリウスに向けると
「その子、ちょっと色々あってかなり
それが好きなの。 悪いんだけどもうちょっと
だけ我慢してあげてくれる?」
「ーーーーーはい」
男のこんな姿、一体誰得なんだろうか、
と思いながらユリウスが諦めかけたが
「ユリウス、一体何をしているんですか?」
二人が漸く意識を取り戻したようで、
ユリウスは希望を見いだし彼女達を
見つめた。
どうやらユーリは状況を多少理解したようで、
メルに近付き
「ああ、すみません。 そろそろやめて
もらえるとーーー」
「駄目!まだ この子を
離したくない!」
主語をちゃんと入れてくださいーーーと
ユリウスが言おうとしたが
「貴女が離れないなら私から
この人にくっつきます!」
そう言ってレミナはユリウスの腕に抱きつく
「僕だって!」
それに便乗してユーリももう片方の腕に
抱きついた。
(ああもう...最近本当に腕に抱きつかれる
ことが多くなったなぁ...)
少しずつ慣れてきたかもしれない。
そう考えるユリウスであった。




