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思い出した件

授業が終わり、休み時間になった。


ユリウスが少し休憩しようかと机にうつ伏せに

なると、周囲のクラスメイトの会話が

聞こえてきた。


「なあ知ってるか?謎の凄腕冒険者がいるって

いう話」


「おー! それ知ってる! ジオドラゴンが

瞬殺されたってやつだろ? でもそれって

本当なのか? あくまで噂だろ?」


「まあそうだけどさ、その噂によると

ジオドラゴンを風の魔法で(ひる)ませたあと

大量の氷の槍で瞬殺したらしいんだ」


身に覚えのある噂話に、ユリウスはそっと

耳を傾けた。


「ってことは二属性持ち(ダブル)なのか!?」


「いや、あくまでその二属性しか使わなかった

ってだけらしいし、もしかしたら

三属性持ち(トリプル)ってこともありえるぞ」


「おお! もし本当だったらすげぇな!」


「ま、そんなことあるわけないけどな、

三属性持ち(トリプル)なんて数百年に

一人って割合らしいし、氷と風を操る

氷刃のキルケさんだってやってないって

言ってたらしい。 ただの作り話が

見間違いだろうな。 それよりもさーーー」


関係の無い話に移りそうだったので

ユリウスは会話を聞くのをやめた。


「ーーウス」


(結構広まっちゃってるなぁ。

ま、噂は噂だし。 そのうちこの話も消えるか。

とはいえ...ギルドに一度にーーー)


「ーーーユリウス?」


「うおぅっ!?」


考えている最中に後ろからレミナに肩を掴まれ、

ユリウスは驚いてしまった。


「もう、酷いですよ?私、何度も呼んだのに

返事をしてくださらないんですもん」


そう言いつつレミナはよよよと座り崩れると、

泣きそうな顔で呟いた。


「あ、いや...それは...」


ユリウスが弁明しようとすると、レミナは

何事もなかったかのように立ち上がり


「ま、それは置いといて、今日は

冒険者ギルドに行きませんか?」


「切り替え早っ!? ...って、ギルドですか?

一体何故?」


「そりゃあ僕達が16歳、というか

高等部の一年生になったからだよ」


そう答えたのは近付いてきたユーリだった。


「高等部の一年生、なら正規登録出来るからね。

ユリウス君だってギルドに入るために

学校に入ったんじゃないかな?

レミナから君と会ったときの話を聞く限り

そう思ってたんだけど」


(あ、...すっかり忘れてた...)


ユリウスが思い出している間にも

ユーリは『あ、でも』と続け


「ギルド登録目当てで入学したなら

もう登録しちゃってるかな?」


「ぐふっ!」


登録どころかギルドの存在自体を忘れていた

ユリウスには少々心が痛い言葉であった。

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