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死ぬと大体は神様と会う件

一面が真っ白な世界。


その中心にポツンと一人で寝ている人物がいた。

言うまでもなく雄一である。


「ん...? 何だ...ここ...?」


目が覚めた雄一は辺りを見渡した。


「っ!? そういや傷は!?」


自分の身体を見てみるが、ナイフによる刺し傷が

無ければ、銃弾による傷もない。


「...あれ? もしかしてこれって...」


異世界転生ってやつじゃ...と言いかけた雄一の

目の前に突然一人の女性が現れた。


「そのとおーり!!」


「うわっ!?」


突然現れた女性に雄一は驚き、後ずさってしまった。


「うー...流石にそこまで引かれると私も傷つくん

だけどなぁ...」


その言いながら金髪で、15歳前後ほどの

女性...いや、女の子が雄一をジト目で見つめた。


「いやいやいや! 普通は突然目の前に人が

現れたらビビるからな!?

別に引いたわけじゃねぇし!」


「あ、そうなの? ならよかったぁ... 」


彼女は安堵の息を吐いたあと、人懐っこい笑顔を

浮かべ


「それじゃあ早速転生と行こうか!」


「待てい」


「えっ?」


何で? と言わんばかりの顔で彼女は雄一を見つめた。


「まず俺はここがどこで貴女が何者なのかも

聞いていない、大体は予想出来ているが一応

教えてくれると助かる」


「あ、そっか。そういえばなーんにも

説明してなかったね、ゴメンゴメン」


彼女は悪びれた様子も無く、テヘペロと舌を出した。


「うわぁ...」


「むぅ...何かな? その露骨にドン引きしたような

顔は...、まあいっか。とりあえず、説明するね」


「頼む」


コホンっとわざとらしい咳をしてから彼女は

話し始めた。



「まず、君...雄一君のことについて。

殺人鬼から女子高校生を救うことには成功したけど

君は心臓を銃弾に貫かれて死んじゃったんだ...」


「あー...やっぱりかぁ...」


「...あれ? 自分が死んだっていうのにまったく

取り乱さないね」


首をコテンっと傾げて口元に人指し指を添えながら

『何でかな?』と一人言を呟いた。


「さっきも言ったけど、大体は予想出来てる。

余程のことが無い限りは取り乱すようなことは

ないから安心してほしい」


とはいえ転生先がスライムとかゴブリンになったら

発狂するだろうけど...と雄一は考えていた。


「なるほどなるほど、それはこちらとしても

対処が楽になるから嬉しいよ。

んじゃ、私についての説明とこれからのことに

ついて説明するね。 私の正体は...!」


そう言うと彼女は両手を横に広げた。

その瞬間彼女の背中から2対の白銀の翼が生えた。


「ふふふ~、これを見ればもうわかると思うけど

実は私は女神様なんだよ~? どう? 驚いたかな?」


彼女は目をキラキラさせながら雄一に聞いたが...


(なにこの無邪気な笑顔!? 実は大体わかってた

とか言えねぇ...!!)


雄一はこの場をどう誤魔化そうが思索していた。


「んふふ~、驚きすぎて声も出ないようだねぇ、

こちらとしても驚かせた甲斐があったって

もんだよぉ~」


(あ、何か解決した)


雄一が安堵していると、彼女は『じゃあ改めて』と

言ったあとに


「私の名前はウルル! 創造神兼最高神兼全能神

なのだー!!」


(ただのチート女神様です本当に

ありがとうございました。)


「して、ウルル...様? 俺はこのあとどうすれば?」


「別に様付けなんてしなくていいよー、ウルル

って呼び捨てで大丈夫だよ!」


「そうか...で、俺はどうすれば?」


「本来なら天国に行ってもらうんだけど...

君の勇気ある行動に感動した私からのプレゼント!

特別に君を異世界に転生させてあげる!

あ、嫌なら別に構わないよ、私の自己満足だし」


「もちろん行かせてもらう」


「そう! やっぱりプレゼントを受け取って貰える

のって嬉し」


「いや、天国に」


「そんなぁ!?」


ガビーンという音と共にウルルのテンションが

下がるのが目に見えた。


「嘘だよ嘘、異世界に転生させてくれ」


「うぅー...なんか釈然としないんだけど...。

ま、とりあえず行くんだとしても今のままじゃ

死んじゃうから何か能力を上げるよ。

どんな能力がいい?」


「能力か...そうだな...」


雄一は一瞬、悩むとすぐに言った。


「他の人だけでなく、自分も一緒に守れるような、

そんな能力が欲しい」


「へぇ...」


ニィ...とウルルの口角が上がるのが見えた。


「ふふっ...君は変わってるね、私が見込んだだけ

あるよ!」


「いや、俺の死んだ原因を考えてみろ。

俺の力量不足であの男とは相討ちにしか

持っていけなかったんだ。

死んでから気がついたが俺の助けたあの女の子は

もしかしたら罪悪感を感じてるかもしれない。

自分が逃げることが出来ていればこの人が死なずに

済んだかもしれないのに...って。

だから、俺は自分を犠牲にして誰かを

助けるんじゃなくて、一緒に助かるような、

そんな能力が欲しい」


「確かに...雄一君の救った女の子は、雄一君が

死んでからもしばらくはずっと側にいて

お礼と謝罪を繰り返してた...」


「...なんか悪いことしたな...」


そう雄一が言うと、ウルルはハッとした顔になり、

こちらを向いて両手を顔の前でブンブン振りながら


「いやいやいやいや!! 君は何も悪くないんだよ!?

そういうつもりで言ったわけじゃないんだよ!?」


それに...とウルルは言い


「彼女は名前も知らない自分を助けてくれた

雄一君の死を無駄にしないように、今度は自分が

どんな人も助けるって決意して、強い女の人に

なったよ...彼女は雄一君のことを絶対に忘れないし、

雄一君の家族は、君を誇りに思ってる」


「そっか...」


「湿っぽくなっちゃったね...、さて!

じゃあ辛気臭い話はここまでにして...!」


ウルルは雄一を指差し


「雄一君...君には治癒魔法を授けます!!」

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