また会った件
「はぁ...疲れた...」
あのあと、レミナと入学式でまた会おうと約束し、
彼女と別れたユリウスは宿屋に戻ってベットに
寝転んでいた。
「なんで俺なんかに興味を持つんだか...。
女子と話すのだってそれなりに難易度高いのに
触ってくるとか最早殺しに来てるまである」
慣れないことをされて余分に疲れたユリウスは
今日は早く寝ようと思い、宿屋の店主に
夕食はいらないという旨を伝えてから、ベットに
ダイブした。
(...あれ? なんか眠れないな、ってか前にも
こんなことあったような...
まさか...!)
ユリウスがバッと体を起こし辺りを見渡すと
「やっぱりか...」
一面真っ白な世界にユリウスは一人ぽつんと
存在していた。
「久々にここにきたな、ってことは...」
ユリウスは周囲を見渡すと、後ろの方にウルルが
立っていた。
「おす、久しぶり」
「久しぶり~、いやぁ、また大きくなったねー」
そう言うとウルルはユリウスに近付き、
ユリウスを抱きしめた。
「おい!? ちょっ...」
「ん~...やっぱ温かいなぁ、人の温もりって
いいなぁ...」
「俺はカイロじゃないんだが...」
「いいじゃん、減るもんじゃないんだし。
それに、ユリウス君はこういうの慣れた方が
いいんじゃない?」
「え? 何で...」
「なんでだろうね~?」
ウルルはジト目でユリウスを見た。
「まさかレミナのスキンシップが
エスカレートしたらこうなるのか!?」
「いや、うん。 あのね、それもあるかも
しれないけど...、はぁ...無自覚に君はフラグを
建てるのが好きなんだね...」
「?」
ユリウスが意味がわからず首を傾げていると、
ウルルは悪戯っぽい笑顔を浮かべ
「ま、流石に気付けってのが無理があるけどね!
でも、君が向こうで生活してればそのうち
わかるかもよ~?」
「なんじゃそりゃ」
「精々苦労しやがれってね~。...でも」
「でも?」
ウルルは抱きしめる力を強め、ユリウスの耳元で
囁いた
「今だけは...私のものなんだからね?」
「え...?」
ユリウスは顔を真っ赤にしてウルルを見た。
「ぷっ...あははははははは!!
可愛いー!! 顔真っ赤だよー!」
「~っ!! おまっ! 純情な心を弄ぶ
なよ!?」
「ごめんごめん! 君が愛しくてつい...」
「理由になってんのかそれ!?
ってかいい加減離れろ!!」
「まだユリウス君エネルギーが充電出来て
ないの~!」
「なんだそのエネルギー!?」
ユリウスは口論(?)しながらもウルルを
引き剥がそうとするが、ウルルは、はっと
した顔をして
「もしかして私とくっつくの...嫌?」
ウルルは涙目になり上目遣いで恐る恐る
ユリウスに聞いた。
「う...、い...嫌じゃない...けど」
「そっか!」
ウルルは満面の笑みを浮かべると、ユリウスの顔に
頬ずりをしはじめた。
「ああ~、君とくっついてると癒されるな~。
もうずっとこのままでもいいくらいだよ~」
「それは勘弁してくれ」
「つれないな~」
その後ウルルはユリウスから離れた。
「さて、じゃあそろそろ終わりの時間かな...」
「そうなのか?」
ウルルの寂しそうな言葉にユリウスが自分の体を
確認すると、段々薄くなり始めていた。
「ユリウス君」
「ん?」
ウルルは親のような温かい目線をユリウスに向け
「あの子のこと、よろしくね」
どの子だよ、と聞こうとしたときには、
すでにユリウスは消えてしまっていた。