表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/35

適当に冒険者を助けた件

家を出て歩くユリウス、あと数十分もあるけば

森を抜けられ、そこからさらに数時間あるけば

この国の中心都市の"王都メイギス"に着くという

話をリシェルとニールから聞いていたユリウスは、

地図を片手に黙々と森を歩いていた。


「...ん?」


ユリウスは立ち止まり、左を向いた。


「こっちから何か聞こえたような...。

...時間には余裕があるし、ちょっくら確認がてら

寄り道するか...」


ユリウスは音が聞こえた方へと走って向かい始めた。


進むにつれてどんどんと音が大きくなっていった。

人の声のようなものも聞こえたので、より一層

ユリウスは向かう足を速めた。


そして、ようやくその現場近くに到着すると、

スキンヘッドでマッチョという見るからに屈強な

大振りな剣を持った男性と、軽めな装備で動きを

重視した格好で、弓を持った黄緑色の髪の男性。

それと、槍を持った金髪でストレートロングの

髪型をした女性、おそらく全員冒険者と

思われる者達と、その目の前には8mを越える

竜が立っていた。


そして、その竜の顔の前には、飛び上がって

剣を降り下ろそうとしているもう一人の

オレンジ色の髪の毛の女性冒険者がいた。


おそらく、4人でこの竜を倒そうとしていて、

飛び上がっている彼女は竜にトドメを刺そうと

しているのだろう。


だか竜は、彼女の一撃を顔を少しそらして

ヒョイと回避すると、彼女を丸呑みにした。


「...え?」


その声は竜の前にいた女性冒険者の声だった。


そのまま竜は一度も噛まずに彼女をゴクンと

呑み込んだ。


「メルを返しやがれぇぇぇぇ!!」


女性冒険者の隣に居た男性冒険者は大振りな剣を

構え、竜に突進して行こうとするが、








それよりも早く、圧縮された凄まじい威力の風の

竜巻が竜の腹部に打ち込まれた。


「グギュルェッ!?」


たまらず、竜は体の中からこみ上げてくる何かに

耐えきれず、血と同時に彼女を吐き出した。


「メル!」


口から吐き出されたメルと呼ばれる人物に、

女性冒険者はすばやく反応して、キャッチした。


「グルルルルル...」


怒っているのか、竜は先程魔法が打ち込まれた方向へ

顔を向けた。


その瞬間、竜の顔や翼、両手両足、心臓、腹部に

鋭利な氷の槍が打ち込まれた。


竜は、断末魔をあげることなく、何が起こったのか

理解できないまま絶命した。


(さて...特に重傷者は居ないし、あのメルとかいう

人も呑み込まれてすぐに助けたから治癒魔法の

出番はないな。 目立ちたくないし、見つからない

うちに逃げるか)


ユリウスはそう決めると、先程通ってきた道を

姿を見られないようにと急いで引き返した。







「メル、大丈夫?」


「ありがとミシェル...うへぇ...涎で身体中

ベトベトだよぉ...気持ち悪い...」


メルとミシェルが話している最中、二人の男は

竜の亡骸を見ていた。


「シルク、どう思う?」


シルクと呼ばれた弓使いの彼は、肩をすくめて

肘を曲げ、両手を上に向けながら首を振った。


「わかりません...風と氷の使い手でなおかつ

一流の冒険者なんて...僕の記憶には

"氷刃のキルケ"しかいませんね...でも、彼なら

こんなことをしたあとなら自慢気に僕達の目の前に

現れるでしょうし...。 それに...前に見た

彼の魔法よりも精度がかなり優れています。

恐らく、彼の仕業ではありませんね」


「あいつちょっぴりナルシスト入ってるからな...

しっかし...だとしたら一体誰が...」


とりあえずギルドに報告しておこうという

丸投げ結論に達した彼等は、後ろにいるメルと

ミシェルの元へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ