7
「はい、そのう。あなたの糸と私の糸が続いていまして」
「え?糸って、どこについているんですか?」そう言ってイケメンの彼は自分の服に糸がついていないかを確認し始めた。
「いいえ、いえいえ、ちがうんです、服についているんじゃなくてですね……それがその……きっと信じてもらえないと思うんですけど、私は小さい頃から小指に赤い糸が付いているのが見えていたんです」
「はぁ、赤い糸が?小指に?」
「そうなんです、左の小指に赤い糸がついていてその糸で小さい時は遊んだりしていたのですが、ある時それが私にだけしか見えないって事に気が付いたんです」
「へえ、赤い糸は聞いたことありますが、実際に見えるって人に初めて出逢いました」
「そうですよね、変ですよね。それが、小さい頃は何も考えていなかったんですけど、ある程度大きくなった時に自分の周りの人が結婚したりする度に、その夫婦となる人たちの左手小指に赤い糸がついていてその糸が繋がっているんです。それで、この赤い糸は運命の人と繋がる糸なんだ、という事に気がついたんです」
「え?それじゃあ僕の左小指にも?」
「そうなんです。その、信じてもらえませんよね……こんな話。自分でもなんて大胆な事をしているんだろうってビックリしていまして」
「僕は信じますよ。それに僕だって自分に驚いているんです」
「あ、ありがとうございます。そうな風に言っていただけるなんて。驚くって……なぜ驚いているんでしょうか?」と、言った後に少し考えてから
「あ、それはそうですよね、突然話しかけられて怪しい人と一緒に行動するなんて。すみません、本当に。あ、コーヒー代は勿論私が支払いますから」と言った。
「謝ってばかりですね(笑)いえ、僕が驚いたって言ったのは、普段は僕人見知りするんで、自分から喫茶店に行こうなんて誘ったりなんて絶対しないので、というそういう事が出来るタイプでは無いんです。だから自分でも驚いているって言うわけなんです」
「え、そうでなんですか。なんだか、モテそうなので慣れているのかなって。あ、すみません私ってば失礼なこと言ってしまって」
「また謝ってるし(笑)今も見えるんですか?その赤い糸が。僕とあなたの小指に今も繋がっているんですか?」
「はい、繋がっています」そう言いながら恥ずかしくなってしまい下を向いてしまった。
どうしよう、すごく恥ずかしい。
こんなにカッコイイ人と今まで二人きりで話したことないし、しかもこの赤い糸が見えない人の方が普通だからこんな話信じてもらえないような話に決まっているのに。
「という事は僕たち結婚するって事なんでしょうか?」イケメンは左手小指を見ながらそう言った。
「………」こんなイケメンに僕たち結婚するのかなって言われたら、もうきゅんきゅんして鼻血が出そうだ。
「でも、もしそうだとしたら嬉しいです」
「え?」それは期待していなかった言葉だった。これが嘘でも私は嬉しくて仕方がない。
「なんだか、貴女と会ったのが初めてじゃない気がして。それに僕貴女みたいな人がタイプなんです」タイプ?この私の事が?どうしよう、嘘だとしても、そんな事をこんなイケメンに言われたら本当にきゅん死してしまいそうだ。
そんな事を言ってもらえて今にも天に昇りそうなくらい、胸がキュンキュンする。




