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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第一章 はじまり
9/107

9

 台風のせいで外はすっかりと薄暗くなってしまい、それに加えて停電な上に更に追い詰める様に、もともと暗い感じの公民館はいつも以上に薄暗くて一人だと気持ちが悪かっただろうなと、他から聞こえる誰かの話声にいささか安心する。


 そして、和室の扉を開く(扉を開いて、靴を置ける玄関の様な感じになっていてその向こうに畳が広がっているのだ)。しかし、だれかが鍵をかけた様で開かない。


 ドンドンと右手で叩いて「佳代子です、開けてください」と言うが一向に誰からの返事もない。


 それを繰り返しても返事がないので、次第に声も大きくなりしまいには足まで出る始末で、そんな男勝りな事をしている私に気が付いてくれたのは二郎さんと鉄三さんだった。


「佳代子ちゃんどうしたんだ?締め出されたのか?」


「叩いても返事なくて。鍵もかかってるし」


「どれ?」そういうと鉄三さんはドアノブをカチャカチャと回したが、やはり鍵がかかっている。


 仕方がないので、裏の方に回り、ガラスを叩き割り障子を開けて中に入り込んだ。


 しかし、目の前に広がっていたのは、血の海、まるで地獄絵図の様な光景だった。

 全員の身体からは血が流れ出ている。壁にはいくつもの赤いシミがべったりとついている。


「みんなどうしたんだ、何があったんだ?」という物の、誰一人助かることなく既に息絶えていた。


「大変だ、すぐに皆をホールに集めて、絶対に一人で行動しないように」鉄三さんはそういうと、ドアの鍵を開けて調理場やトイレに行っている皆に声を掛けて、そのうちにみんながホールに集まってきた。


 そして鉄三さんは説明し始めた。


「皆、よく聴いてくれ。先ほど和室で、9人が何者かに殺害されてしまった。ここにいる人の安全を思いここで全員でいることにしようと思う。この島に何者かが侵入してきたようなので、一人で決して行動しないように」


「警察はまだこないのか?」

「電話はまだ繋がらねえのか」

「9人も殺されたって、一人でいなくても殺されたんじゃない」

色々な声が聴こえてくる。

「島の人じゃないって言ったけど、それじゃあ島以外の人みたか?って話をさっきしてたんだけど、そんな人がいれば既に噂になっているだろうしって話をしていたんだよ」

それを聞いた鉄三さんは、真っ赤な顔をしながら「それじゃあ、矢園のお母さんはこの島の人間がやったっていいたいのかい?」と激しく反論した。

島の人間というものに誇りをもっているし、信じ切っているのだ。


「いや、そういうわけでもないけど」矢園さんはそれ以上何も言い返すことはしなかった。

 

私はカバンから手帳を取り出し一枚ちぎってからペンを手に取り

「それじゃあ、だれがここにいるのか分からなくなるから一人ずつ名前を自分で書いて次の人に回してもらえる?言っとくけどね、私はこの中に犯人がいて犯人捜ししようって言うんじゃなくて、誰が迷子になったか明確にするためだからね」とまず自分の名前を書いて横に回した。


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