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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
運命の赤い糸
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     運命の赤い糸


 私には生まれた頃から左手の小指に赤い糸が見えていた。この赤い糸はとても長くてどこまでも続いている。

 自分の小指にだけついているわけではなかった。自分の両親にもきちんと赤い糸が小指に繋がれていた。


 その赤い糸は、母親の小指から父親の左手小指に繋がっていた。


 生まれた時からそれが見えていた為、それが当たり前で、他の皆の目にも自分と同じように見えているものだと思っていた。

 しかし、どうやら自分だけにしかそれが見えていないのだと言う事が小学生の頃にやっと分かった。


 その赤い糸は色々な所に複雑に絡まっていて、人によっては赤い糸が途中で切れていたり、いくつもの糸が絡まっていたりもした。

 そして、そのうちにやはりその糸は、結婚する相手と結ばれる糸なのだと言う事が分かった。


 いとこのお姉さんの結婚式の時には、やっぱり赤い糸が繋がっている人と結婚していた。それから隣の家のお兄さんが結婚式を挙げたときに、どうして赤い糸が途中で切れているのに結婚できたのだろうか?と不思議に思っていたら、やはりその後すぐにお兄さんは離婚をした。

 私はこの赤い糸はどんな占いよりも当たると思ったら嬉しくもなった。


 そこで、私は自分の小指についている赤い糸の人に会ってみたくなってしまった。自分はシンデレラとか白雪姫の童話が好きで、自分の結婚する相手は、かなりカッコイイ人がいいし、きっと誰もが認めるイケメンに違いないと信じて疑わなかった。


 だからこそまだ見ぬ赤い糸で結ばれた運命の人の顔を一目見たくて仕方がなかった。

 自分の小指を見ながら、その糸の先を追いかける事に決めた。


 赤い糸はどこまでも続いている。もう30分以上歩いているのだが、こんな距離では自分の王子様に会えないらしい。

 少し足も疲れてきたので、電車に乗ることにした。


 どこまで続いているのか分からないのでとりあえず、二つ先の駅まで乗る事にした。この赤い糸は不思議な事に、自分で切ろうとしても切れるものではなかった。


 何度かハサミで切ろうとしたことがあるが、赤い糸に刃が立たなかった。


 でも今考えて見ると切れなくて良かったと思う。もしあの時赤い糸がハサミで切れていたら私の赤い糸は途中で切れて、つまり離婚することになっていたのかもしれないのだから。


 二駅先に着いたが私の赤い糸はまだまだ先へと続いている。


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