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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第一章 はじまり
8/107

8

なるべくみんなが歩かなくて済むように車を回し、5人を車に乗せて走り出した。

「何でこんな事になったんよ」和夫さんが悔しそうに言う。


「……」和夫さんのその問いかけに誰も答えることは出来ずただ溜息をついている音だけが車中に響きわたっていた。

 その後も誰一人言葉を交わさないままに公民館に到着し、館内へと入って行った。


「ヨネコさん段差がありますから気をつけてくださいね」ヨネコさんの身体を支えながら奥へ奥へと進んで行く。


「わし、トイレ行くから先に和室の方に行っておいてくれ」和夫さんはそう言うと、余程我慢していたのか走ってトイレの方へと向かっていった。


 和室に入り、温かいお茶でもいれようとしたが、停電していることをわかっているはずなのに、そんなことはすっかり頭から消えてしまっていてポットのコンセントを入れても反応しないでいるポットを見て不思議に思ってしまっていたのだ。

 さっきまでの事を、私は自分が考える以上に驚いてしまったのかもしれない。


 諦めて冷たいお茶を冷蔵庫から拝借して、グラスについで皆に渡した。

 そうしている間に皆ぞくぞくと公民館へと集まってきたのだ。


 「ちょっと和室に全員は入るのは無理だから多目的ホールか調理室かに行ってもらった方がええと思うわ」と、私が言うと、「狭いもんなぁ」と言いながらそれぞれが行きたい場所に散らばった。


「なぁ佳代子ちゃん、和夫さんおそくねえかの?」玉緒さんが心配そうに訊いてくる。

「外で煙草でも吸っとるんじゃない?」

「そうかなあ、まぁ和夫さんは煙草が好きな人だけど」


「それにしたって、帰って来んけん佳代子ちゃん見て来てくれねぇか?」ヨネコさんもそうやって心配するので、仕方なく立ち上がりトイレの方に「和夫さ~ん」と叫んでみたが、トイレから返事はない。


 さっきあんなことがあったばかりだし、倒れていたりしたらいけない、入口にあった傘を手にしてなにかされたら、それで反撃できるように体制を整えてから中に入るが誰かが死んでいたり……なんてことはなく、和室トイレを覗いてもそこには誰の姿もなかった。


公民館の外を見てみるも、風が強さを増して木の葉を上に巻き上げながら凄いスピードで通り過ぎていくだけで、人っ子一人見当たらない。


 公民館のホールの方にも覗いてみるも、そこには和夫さんの姿は見当たらなかったので、調理室の方も確認してみる。しかし、和夫さんの姿はここにも見当たらない。


 もしかしたら入れ違いになっているのかもしれないと考え、和室の方に戻ってみることにした。


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