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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第五章 猛追
62/107

3

「誰だっ!?」

 押し入れのふすまがガラリと開き自分の姿があらわとなった。「な、なんでこんな所に?」

 そう言われた瞬間に思いっきり身体をガタガタと震えて見せた。


「助けを求めて家に入ったら、佳代子さんを目撃してしまって……。 それで怖くて必死に隠れたら日井さんを……」


「大丈夫か?怪我はないか?」

「はい大丈夫です。日井さんは、あ……自分が一緒に担いで押し入れに隠れていたら……」

「もう過ぎてしまった事はどうしようもないさ、それで佳代子ちゃんはどこに向かって走った?」


「向こうの方だと思います」


「そうか、勝手口から逃げたんだな」


「自分追いかけてきます」



「いや、俺が行く、ここにいて誰かが来るのを三人で待つんだ。分かったな?」


「はい。気をつけてください……」


 その後、自分は柳青さんが外に出たのを見送り、そしてハナさんと三子さんの頭を撃ち抜いた。


 そして、キンピラゴボウを食べながら、柳青さんが戻るのを待った。少し味が濃い気がするが、食べれん事もないか。



 その後、柳青さんが丁寧に玄関から入って来たのを笑顔で迎えいれ、廊下を歩いてこちらに来るところを銃で心臓を目掛けてトドメをさした。


 死体に近づき「外に佳代子さんは見つかりましたか?いなかってでしょう。今自分が柳青さんに打ち込んだものは残念賞でした、おめでとう」そう言って、その家を後にした。


 名簿を取り出し、


関石ハナ、篠栗三子、日井正、柳青正雄の名前を線で消す。 <残人口30名>



 強い風を自分の身体にまともに受けながら歩いていると、前の方からかなり多い人数がこちらに向かってやってきており、そして自分の名前を必死に呼んだ。


 その人たちと合流し、近くの寺野田きみの家へと入りそこで事情を聞くことにした。


「殺人鬼である佳代子ちゃんは死んだ。だが、他にも殺人鬼がいるかもしれない、それでなるべく救助隊が来たことも考えて皆で共に行動することになったんだ」


 それを聞いた瞬間に、自分の都合のいいように動いてくれる事に喜びが隠せなかった。つい顔までもほくそ笑んでしまいそうになるので、新聞で少し顔を隠すようにした。


 自分以外の他の皆はいかにも深刻そうに話をしている。その話し合う姿が自分には滑稽で今にも笑い転げてしまいそうだった。


 それから自分から動く時間が大幅に削れた事にも感謝したい気分であった。


蜘蛛の巣に勝手に獲物が巻き付いてくれるなんて、それ以上に幸せな事が他にあるだろうか?


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