表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第四章 遠い記憶2 1
57/107

7

              2


 学生時分、周囲の大人の声が非常に鬱陶しいと感じられる時があった。髪の毛を茶色く染めようものならば、不良は泥棒の始まりだと罵られ、要らぬ噂を流されたりしてしまった。


 夏休みの間位髪の毛を染めったって別にいいのではないだろうか、誰に一体迷惑を掛けているというのか、考えてもそこに答えはなかった。


 例えば、髪の毛を染めるということは、誰かの家の畑を荒らすと言うの事だというのだろうか?茶色く染めた髪の毛が、魔物と化し大きな髪の毛の手となり、そして畑のキャベツを荒らしにいくとでもいうのだろうか?


  まったく馬鹿らしい。そんなわけなんてないというのに、毛染めは不良で泥棒の始まりという意味が自分には到底理解することが出来なかった。


 学校の校則で茶髪禁止な事くらい自分だって、そんな事は知り得ている。だからこそ、夏休みという期間限定で髪の毛を染めているというのに。


例えば大人でも、自分の両親が毛染めをしている自分を見て怒ると言うのであれば、自分だって理解が出来る。現に自分は両親から近所の恥さらしだと罵られたのだから。


 しかし、両親でも親戚でもない、ただ自分の事をほんの少しだけ知っている、いやほんの少ししか知らない人たちが、茶色く髪の毛を染めた自分に対してあれやこれやと、とやかく言う権利はあるのだろうか?


 大体そんな事はどうでもよくて、単に大人である身として正義を貫き、人に注意をすることで自尊心を高めたいが為だけのことなのではないだろうかとさえ思ってしまう。


 大人と言うのは、色々と辻褄の合わないことが多すぎる。今悪口を散々言っていた人が近くにくれば、優しい笑顔を見せながら、優しい言葉や褒め言葉を掛けたりしているのを見て不思議で仕方がなかった。


 あれだけ人の事を陰では散々陰口をたたいていたはずなのに、本人目の前ではいい人ぶるようなそんな態度が信じられなかった。


  陰で悪口を言うのならば、付き合いを止めればいいだけの事ではないだろうか、自分はそんな風に冷ややかな目で周囲の大人たちを眺めた。


 他人の悪口をいう事で、自分の立場が上である事を確認し、少しでも優位な立場にいようとしているようにしか見えないのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ