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――― 酒井恵子、小高勉、吉岡貞子
「くわばら、くわばら、こんな事になってしまったのは閻魔祭をすることが出来なかった神の祟りじゃ」
「姉さん、その話はやめてくれって言っているだろう?」
「うちのお父さんが船に乗ったまま帰ってこないんだ、閻魔祭を行う事ができなかったし、私は不安で仕方がないんだ」
「だからこうして、僕が姉さんの所に来たんだろう?」
「勉の嫁さんが死んだときだって、閻魔祭を取りやめようかとしていたすぐ後だっただろう?」
「だから、あれは偶然だって」
「偶然なんかであるものか、島の人じゃなかったからまだ良かったものの見通しのいい道で車が横転してその下敷きになるなんてそれまで一度も起きた事がないんだから」
「だから、島の人じゃなかったから道が分からなかっただけでその上、免許取って間もない人だったんだから」
「随分と犯人を庇うんだね?」
「そうじゃないって、姉さんがいつまでも満子が亡くなったのは祟りだ祟りだ言って聞かないから」
「あの時にねえ、きちんとお供えでもしていたら、あんな事は起こらなかったんだよ」
「それはそうかもしれないけど、もう満子の話はやめよう」
「勉、閻魔祭をやれなかったからあれだけの死人が出たんだ」
「でも姉さん、あれは佳代子さんがやったことで」
「だから佳代子の中に悪魔が憑りついたんだよ。私は何もしないでジッと待っていることなんて出来ない」
「じゃあ、どうするんだよ?」
「そうだな、昔おばあちゃんから聞いたことがあるけど、誰か一人?そうだな貞子さんぐらい体重が軽くて細くていいかな」
「吉岡の貞子さん?」
「そうだよ他に貞子さんはいない、あの人がええ。ちょうどええ」
「ちょうどええ言って何がちょうどええん?」
「だからな、あの人を神に供えるんよ」
「何を言ってるん?神に供える言うても、どうやって備えるん?拝みにいくん?」
「いいや、まあそうだな私が今から貞子さんのところまで行って誘ってくるから、勉はそこの神社の所に行って、大きい穴開けてくれ?いいか?3メートルは掘らねえと」
「でも、この嵐の中そんな事して、危ねえしそれこそ罰当たりだしよ」
「いいか、これから多くの犠牲者を出さない為にも黙って見過ごす事はしたらいかん。今度は私が死ぬかもしれねえんだよ?」
「……わかったよ」
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「貞子さん、酒井ですけど、おりますか?」
「あんれえ、恵子さん、どうしたん?佳代子かと思って驚いた」
「ごめんな驚かしたりして。一緒に神社にお参りに行こう」
「こんな悪天候の中に外に出るなんて危険だし、佳代子がその辺さまよっているかもしれないが」
「そうだけども、貞子さんうちの弟の嫁の満子さんが亡くなった時と状況が似ているだろ?」




