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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
43/107

16

 駄目だ、完全に爆睡しているわ。

 仕方ない自分が行って確かめるしかない。

 スリッパを履き、外に出る。強い風が轟々と吹いている。

 すぐそこの銀ちゃんの家へと向かう。


「サクタ?」サクタが家の前で鎖に繋がれたままでワンワンと返事をした。

「なんだ、お前やっぱり中に入れてもらえてなかったのか」

 サクタは良く吠える柴犬で立派に番犬をしているが、自分は銀ちゃんと仲がいいせいかサクタは自分によく懐いていた。


 そしてサクタと家に戻った。

 その時、誰かが家の横を横切った気がした。

「銀ちゃん?」しかし、銀ちゃんからの返事はない?

 ん?なんだ?

 そう思い、玄関を通り過ぎサクタと一緒に歩いて行く。サクタはワンワンと吠えている。


 家の横の方には誰の姿も見えない。

 なんだ、気のせいか。

 気を取り直し中に入って行く。

 サクタ玄関先に繋ぎ、近くにあったタオルで身体を軽く拭いてやった。


  そして中にはいると、そこにはなんと、血だらけで包丁が刺さったままの銀ちゃんが横になっていた。


「銀ちゃんどうしたんだ?」わけもわからないまま銀ちゃんの身体を起こすが首はカクンと腕からまるで物が落ちるようにして落ちた。

しかし、すでに心臓は停止していており、脈を感じ取ることは出来なかった。


 ワンワンワンワンと、サクタは物凄い勢いで吠えはじめ、サクタと立ち上がった瞬間に、バンッと運動会の時に鳴らすような音が玄関の方から聞こえた。


「サクター」と急いでサクタの所に駆け寄るとサクタは悲しそうな顔をしながら苦しそうにしながらクゥーンと鳴いた。

「誰が一体」玄関の扉が開いたままの姿を見て、どうして鍵を締めなかったんだろうかと自分を責める。


 サクタを腕の中に抱き、どんどんと弱って行くサクタを見ながら、サクタをゆっくりとタオルの上に寝かせ、すぐ傍の倉庫入れからのこぎりを取り出し、外へと出た。


 しずかにゆっくりと、家の周りを右回りで回る。佳代子が来たに違いない。

 ちくしょう、佳代子のやつ、一体どこに隠れていやがる。


                 *


 なるほど、のこぎりを手に持ちこちらに向かって来ている、というわけか。

 さてどうするかな。


 玄関の方まで回り、車の後ろにしゃがみ、横萩一郎が来るのを銃に弾を補充しながら待った。

 すぐに横萩一郎はその姿を見せた。


 その時、もう一人何も知らずノコノコとこちらにやって来ている奴がいた。

 野西ヨシだった。野西ヨシの姿はこちらからは良く見えるが、横萩一郎からは全く見えないだろう。

 自分はそのまま何もせず二人が鉢合わせする瞬間を見届けることにした。

 そして二人は、出会ってしまった。

「横萩さん、の、のこぎり……?」そう言いながら玄関を見ると血だらけになったサクタを見て「ぎゃああああああああ」と言って、叫んだ。


「ち、違う人殺しなんかじゃない、誤解だ」そう言いながら、逃げようとしている野西ヨシに一歩二歩近づいていった。


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