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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
42/107

15

「わしがなんにも分からんとおもっとるんだろ?」

「……」

「酒なら外の冷蔵庫にしっかりあるけん、遠慮することないで?全部持って行きんさい」

「さすが! 多山のお母さん。茂さんに頼まれたんですけど、いきなり酒下さいとは言いにくいので、その後の成り行きでお願いしようと思っていたんです」


「だろうで。茂はいっつもうちの爺さんと酒交わしよったけん、酒無くなったらいつもうちに来るけんな分かるわい」

「すみません。それじゃあお言葉に甘えまして。ところでこの家には他に誰か来ました?」

「いいや、わし一人で、今色々と忙しゅうしよったところよ」


「そうですか、それはご苦労様です」そう言った後すぐに銃で大山フミの頭に弾を入れた。

「人生ご苦労様でした」そう言って、玄関まで靴を履きに行き、その家を後にした。

 外の風は以前として強い勢力を保っている。

 名簿を取り出し多山フミの名前を線で消す。  <残人口44名>


 ――― 横萩一郎、遠山銀二


 「しかし偉いことになって。どうしたもんかなあ」


「そうですな。しかし、もう起きてしまって、外にも救助が出来んのだけん、いつまでいつまでもその話をしても仕方がないよ」


「しかし、女房があの船に乗っとるんです、助けてあげんわけにはいかんのんです」

「横萩さん、それは自分も一緒ですけん、心配したところで今自分らに出来ることはないんですけん」


「それじゃああいつらを見殺しにすれと言うのか?」


「いやそうじゃないよ、でも今、船に乗る事なんかできんのは、銀ちゃんだってわかるだろう?」


「それは分かるけど」


「信じよう、みんなどこかに避難しとって嵐が収まるまで待っとるかもしれんよ?」

「……」

「銀ちゃん、一杯飲もう?」

そしてそのうちに銀ちゃんは、酔っ払ってすっかり寝てしまった。


 自分も眠くなったが、今自分まで寝てしまっては何かが起きてしまった時に、逃げようがない。

 佳代子ちゃんがここまでやってきて、佳代子ちゃんに殺される様な事はないだろうが、あそこまでの人数を公民館で殺したんだから絶対ないとも言い切れない。


 さっきから銀ちゃん家のサクタがワンワン吠えているが、銀ちゃん家の中に入れてあげなかったのかな?と心配になった。


「銀ちゃん、銀ちゃんってば、起きてサクタがさっきから吠えてるんだ。中に入れてあげた?」


「ん……んぐぐっ……ガガガッ」


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