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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
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14

こりゃあ、見事なまでに銭が懐に沢山入ってくるじゃねえかよ。この島に嫁にきてわしは苦労しかせなんだが、最後に爺さんがこんなご褒美をくれるとは思わなんだ。


これだけ銭があれば、宝石だって買えるだろうしな。

毛皮なんていうものを一度着てみたかったしよ。

後は、テレビで見るホストクラブっていうところで豪遊してみるで。昔は、お見合い結婚ばっかりで相手さ選ぶ言うても、両親が勝手に選んだりしてな、だから爺さんともお見合いだったし、一度でいいけんなイケメンと呼ばれる人と手を繋いだり、キスをしたりしてみてえと思っていたんだよ。


金がありさえすれば、パツキンっていうのか?金色の頭した人が好きさ、好きさ言ってくれるんだろうからな。


 一千万円くらいは好きに使って残りの金と、この家を売った金と僅かながらの貯金で、老人ホーム施設に入って後は楽するべ。


 通帳やら印鑑やら、しっかり管理していつでも持ち出せれるようにしとかんとな。

 それから、この家の整理整頓もして、捨てる準備をしないといけねえな。

 この穴の開いて何度も糸で縫った靴下さ、やっと捨てることが出来る。


 しかし、船に爺さん乗って海の中でまだ生きてるかもしんねえから、もし佳代子がここに来た時には、遠慮なくおじいさんを仏にしてやってくれと頼むしかねえな。

 佳代子だってこの島の人間じゃ。わしゃー、佳代子の味方になる。


 佳代子の味方さしてな、この島を二人で抜け出す。

             


         *


玄関の扉を右に引く。

玄関の鍵はしまっていない。

勝手に中に入り中を覗き込む、しかし、ここからでは中が見えない。



「ごめんんください」そう言って大山フミが中から出てこないかを確認する。

「佳代子かー?中に入れ―」

靴を脱ぎ、中へと入っていく、廊下を歩き声のする方へ進み、奥の部屋のドアを開ける。


 虫眼鏡を右手で持って右目に当てながらこちらをジロッと見た。


「なんだー佳代子かと思ってわしはー」

「え?佳代子さんを中に入れと呼んだんですか?」

「いや、まあ……そういうわけでもないが、色々あるんだよ、ここに何しに来た?まさか爺さんが戻って来たって言うんじゃないだろうね?」少し興奮気味に多山フミは行った。


「いいえ、そうではなくて、尾下さんの所に行こうとして車を走らせてたら、車のランプが切れてるのが分かって」


「お前、嘘をついておるな?」

「えっ?」


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