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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
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13

 一体いつになったら、警察とかヘリとかで助けてくれるのよ。

 もう一度受話器を手に取り、外線ボタンを押してみるが、全く繋がるような気配はない。

 こんなことなら誰かと一緒にいるべきだったかしら?


 でも、もうすぐ救助隊が来てくれるだろうし。それにこの島の人と一緒の部屋にいると思うだけで虫唾が走るわ。

 目の前の人のどんな言葉も信じることができないもの。


 大丈夫よ、私は口が堅いからの言葉に何度騙された事か。悪口で絆を深めているようなそんな人たちの何を信じれと?


 例えこの島の人が全員死んでしまったとしても、私一人は必ず生き延びて見せるわ。

 この嵐が過ぎ去って、天候が落ち着くまでの辛抱よ。

 佳代子に大事な命を奪われてたまるものですか。

         

         *


  ドンドンと袋山八重子の家のドアを叩く。しかし返事がない。


 家の横の細い道を通り、小さな小窓を開くか試してみるが、どうやら鍵がかかっているようだ。

 更に先に進み、障子の見える窓を「ドンドン」と叩く。


 しかし、中からの応答はない。

 もう一つ先の勝手口の前まで来た時に、その扉は突然開いて「助けて、救急者を……」と言って血だらけの袋山八重子はその場に力尽きた。


 呼吸を確認するが、既に息はない。

 その遺体をそこに置いたまま、勝手口から中に入って行く。血はまるでヘンゼルとグレーテルが帰り道を忘れない為に落としたパン屑の様にして血が行先を教えてくれるようにして、その血を追っていく。


 ガラス戸のレールの方には紐が付いた包丁がブランと垂れ下がっており、その付近には大量の血が付着している。

 それを見て自分は腹を抱えて笑った。

 つまり、自分が敵を倒すためにやった小細工に自分が引っかかってしまいそのまま死んだ、とそういうことか。


 ガラス戸に包丁を上手く挟んで、殺人鬼がそこを通るとギロチンにさせようと考えていたってわけか。

 考えは良かったが、それに自分で引っかかるようでは。


名簿を開き袋山八重子の名前を線で消す。  <残人口45名>



――― 多山フミ


おかしい、確かこの辺に置いていたと思ったのだが。あった、あった、こんな所に入れておいたか。

早く仏さまになって欲しいと思ってはいたが、まさかこんなに早く実現するなんて。

リーフレットを開き、虫眼鏡でその内容を確認する。

死亡は、と。どれだ。病気じゃねーしな。

不慮の事故か?

で、その金額は4千万円か。


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