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「まあ絶対とはいえませんが。自分は怖いので確認する事なんて出来ませんでしたが」そう言ってわざと身体を震わせた。
「俺が確認しに行く。ここで待っていてくれ」
「待ってください、置いていかないでください」いかにも不安そうにしてヨネコさんの家に行こうとする石赤勇の右腕を掴んだ。
「それじゃあ一緒に行こう。10分以内でここに戻るようにしようじゃないと残り二人が心配する」
「残り二人とは誰ですか?何かあった時の為に自分にも教えてください」
「崎谷さんと嶋岸さんだ。行くぞ」
しっかりとその名前を頭に刻みこむ。
石赤勇の数歩後ろをついて走り、公民館を出て、少し先にある自動販売機の前まで言った時、上着開きそして、銃の引き金を引いた。
どんどんと先を掛ける石赤さんに「石赤さんあそこ」とそう言って「なに?」と立ち止まり掛けたところでバンと石赤さんの胸に銃弾を発射する。
そのまま銃弾を仕舞い込み、そして駆け足で公民館へと戻った。
「誰かー誰かいませんか?」と大袈裟に息を切らしながら叫ぶ。
しかし、二人とも出てこない。
「佳代子さんが石赤さんを撃って逃げたんです。助けてください」そう言いながら放送室へと向かう。
ガチャガチャとドアノブを回したその時!
右肩に誰かが手を置いた。ゆっくりと首を右に回す。
「大丈夫か?」嶋岸秀雄だった。
「驚いた……」そう言って全身の力が抜けたようにしてその場に座り込んで見せた。
「怖がらせてすまない」
「自分はてっきり殺人鬼が来たのかと……。そんな事よりも大変なんです。か、佳代子さんが石赤さんを撃って走って逃げる姿をみてしまったんです」
「本当なのか?」
「誰かと一緒にいてもらおうとして車を走らせていたら、銃声が聞こえたんです。すぐに目をやると女の人が走って行く後ろ姿が見えたんです。何事かと思いゆっくりと近づいて行ったら、石赤さんが……もう」そう言って力なく首を左右にゆっくりと振った。
「銃まで持っているというのか?何故佳代子さんだと分かったんだ?」
「他に誰がそんな事をするんですか?早くこんな所にいないで隠れないと……」
「クソッ何故石丸さんまで。あんな女一人に負けてたまるもんか」
「良かった、誰もいないかと思ったんですけど、ホールの方から誰かが出るのが見えて、気が付いたらここにいたってわけです」




