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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
31/107

4

「冗談だよ」

「一つでもいいから聞きたいな」

藤石隆は立ち上がり、下駄箱に向かい何か白い物を取り出し、そして皿の上にそれを置いた。

「ろうそく?」

「そう、懐中電灯よりは雰囲気でるだろう?」

「それじゃあカーテン閉めて真っ暗にしないと」そう言ってカーテンを閉めて回った。


「思ったより暗くなったな」そう言ってマッチに火を点け、ろうそくに火を灯しろうそくを傾けたまま皿の上に蝋を一滴流し、ろうそくをその上に立てる。

 

「それじゃあ島の怖い話をしようじゃないか」そう言って藤石隆が話始めた。

「この島では、時々夜中になると、赤ん坊の泣き声が聞こえるらしいんだ。おぎゃーおぎゃーって。でもこの島では最近赤ちゃんなんて生まれていない。それなのに、かすかに聞こえるらしいんだ。それも怖いのが、赤ん坊を抱っこした着物を着た女の人が歩いている人を数人が見たって言う」


「その話なら知ってるし、よくある話。でも、もっと怖い話を教えてあげようか?」

「そんなこと言って、ビビッてたりしない?」


「大丈夫、ほら究極に怖い話を教えてあげるから、まずは口を開けてごらん。もっと大きく。虫歯になっている奥歯が見えるぐらいに」


「なんだよそれ、ほうは?」こうか?と言ったのだろう。素直に口を大きく開いた藤石隆はきちんとした言葉になってはいなかった。


「それじゃあ始める。それは昔じゃなくて今のこと……」少し間を置いた後にすぐさま用意していた銃を口の中に入れ、そしてすぐに撃ち込んだ。


驚いたようなそして怯えているようなそんな目をしながら、藤石隆は死んだ。

<残人口53名>



 そのまますぐに家を出て隣の家の尾下茂の家をドンドンと激しく叩いた。

「尾下さん、助けてください大変です」そう言ってまたドンドンドンドンとドアを激しく叩く。

「どうしたんだ?」玄関からではなく窓から顔を出し尾下茂が言った。


「殺人鬼が来て藤石隆を拳銃で撃ったんです、早く中に入れて下さい、助けて下さい殺される」

「やはり今の銃声はそうだったのか、よし中に入れ。玄関からじゃなくてここから中に入れ」尾下茂はそう言って自分を中に招き入れた。


「靴は脱いでくれな。佳代子がやったのか?」

「そうだと思います。必死に逃げたので顔を見る余裕なんてありませんでした」

「そうか。ここにも来るだろうな。包丁を持ってはいるが銃を持ってこられたらな」

「茂さんは力が強いし、元自衛隊だったんだからきっと殺人鬼だって逃げ出すと思いますよ」


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