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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第三章窮追
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2

しかし、チェーンが掛けられていて、榎山一郎の姿は半分以上隠れている。

「すみません一人心細くなったんです。仲間に入れてもらってもいいですか?」

「こんな所まで歩いてきたのか?」そう言いながら榎山一郎はチェーンを外しドアを開けた。


「いいえ、車でなんとかここまで来れたんです。すみませんお邪魔します」そう言って靴を脱ぎ、中に入る。


 仏間を通り、居間に行くと、猪島良子がテレビの前の座椅子に座っており、心配そうな顔をしてこちらを見ている。


「あら、こんにちは。あなただったの。私はもしかして血迷った佳代子ちゃんが来たのかと思ったのよ……、公民館であんなことするなんて信じられないわ。あなたも座りなさいよ。私もね一人じゃとてもじゃないけどいられなくてね、それで一郎さんのところにお邪魔させてもらう事にしたのよ。女一人じゃね勝ち目ないけど、佳代子ちゃんは女性だから男の人の力には敵わないだろうしね?仲間が増えて心強いわ」そういう猪田良子の反対側に座り込み、榎山一郎が持ってきたイカの塩辛をみんなでつついた。


「熱燗がありゃ、最高だったけど、IHコンロが使えないんじゃな、君たちもウイスキーで勘弁してくれ」

「ウイスキーは飲めないんです」と断ると猪田良子が「一郎さん一人で飲めばいいじゃないの」と、そう言った。

榎山一郎はウイスキーを飲み始めるなり、段々と陽気になり始めたがグラス半分まで呑んだところで、そのまま寝転げた。


「普段飲むところあまり見かけないけど、弱いのね」そう言って猪田良子は「一郎さん、一郎さん起きて」と声を掛けたが鼾をたてるばかりだった。


着ている上着を左手で開き、上着に小細工してあるチャックを右に開けそして銃を持ち、そして静かに右手で引き金を引く。


「そこにある今日の新聞取ってもらえないかしら?」そういう猪田良子の頭を目掛けて銃で打ち殺す。


 猪田良子は目を開いたまま倒れ込み、そしてもう一度引き金を引き榎山一郎の頸椎に銃弾を打つ。

 そして、頭をブルブルッと振るいイカの塩辛を口の中に入れ、そしてお茶をゴクリと飲んで喉を潤し、そして名簿を開き、榎山一郎と猪田良子の名前に線を引く。

 そして、テーブルの上に投げてある榎山一郎の家の鍵を手に持ち、そして靴を履き玄関を出るとしっかりと鍵を締めてその場を後にした。<残人口55名>


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