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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第二章 遠い記憶1
20/107

3

 真実なんて、第三者から見れば芝生は青く見えるだけで隠し通そうという気持ちを徹底していけば、嘘も本当に見えてしまう。


 上辺だけの関係が、神秘的に見え誰かが感動し崇め讃える。

すなわち、自分のその感性からして見れば、仲が良いほどに疑うべきだとそう感じてしまうのだ。第三者には決してなにも分かり得ない秘密がそこには隠されている。


 自分も大人になる連れ、次第にこの世の生き辛さというものを痛感しはじめた。


自分の事を他人が見れば、何を考えているのかわからないようで、それが故に自分は誤解される事も多かった。


 自分の気持ちを隠しているつもりは無いが、自分の生い立ちからか、自分の本心を隠すのがこの身に沁みついているようで、面白い話なのに何でそんな話がつまらないような顔をしているのかと言われた事も少なくない。

 無論自分の中では楽しいと思っていたのだが、周りからみればそんな風に見えなかったらしい。


        2


 ある日、両親は二人揃って自分の前から永遠と姿を消した。

 一酸化炭素中毒だった。

 それが発見されたのは明け方で車の中には遺書なんていうものはなく、そして、警察が色々と取り調べた結果は事故死という見解であった。


 発表された時には、やはり真実なんていくらでも、隠し通す事が出来きるし、当たり前のようにしてそれがまかり通るのだと感じた。


 両親が亡くなる数日前から母は大量に炭を購入していた。そして、車の前には、わざとらしくとしか考えられない程に、バーベキューセットが並べられていた。


 その日、母からは二人で久しぶりに外食してくると言われ、風邪気味だった自分も誘われたが身体が怠く断った。

 心配しすぎる母に楽しんできて欲しいと送り出した。


 そして、そのまま還らぬ人となってしまった。


 外食に行くと言いながら、車の前にはバーベキューセットが丁寧に並べてあったにも関わらず、警察はバーベキューをして酔っ払ってしまった父が風邪を引いてしまわないように運転技術もしらない母がエンジンをかけて暖房を効かせることが出来ず、代わりに臼を車の中に運び入れ炭に火を点けてそして暖をとったのだろう、そしてそのまま一酸化炭素が車中に蔓延しそのまま……。


 近所の人たちは、あのオシドリ夫婦が亡くなるなんてと嘆き悲しむようなフリをするばかりで、その事件が他殺である可能性を更に打ち消してしまった。


 自分以外あれは事故でなく父を母が殺害しようとしたのだと疑う者は誰一人いなかった。

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