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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第一章 はじまり
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2

 同窓会では、真奈美がやたら私と千田賢吾をくっつけようとするので参った。確かに私は昔賢吾が好きだったけど、彼は結婚してしまったし。


 そう言うと真奈美が


「奥さんはもうこの世にいないんだから、いいじゃない素直になれば」とそう言って、賢吾の隣にわざと私を座らせてみたり、私と賢吾のコップにビールを沢山ついでみたり、蘭子いい子よ~なんて私をすごく褒め称えて進めてみたり。


  賢吾が結婚することを聞いた時には、ものすごいショックをうけたけれど、でもあんまりにも幸せそうな賢吾を見ていたら、賢吾が幸せになってくれればそれでいいと自分でも驚いてしまう程、ごくごく自然に祝杯気分になれたのだ。それに奥さんは他県の人でこんな小さな島へとわざわざ嫁に来るなんて事は、賢吾の事を余程愛していないと出来ない事だと私は感じた。


 現にこの島は出て行く人の方が比にならないくらい多いのだから。


 それなのに、結婚式を挙げて僅か7か月後には、彼女の奥さんはガス爆発に巻き込まれて亡くなってしまったのだ。


 彼はその後、沈みがちで一時期ものすごく痩せて心配だったけれど、少しずつ元気を取り戻してきたみたいで、この前の同窓会では笑顔も見れて安心した。


 真奈美は「狙うなら今」なんて言っていたけれど、賢吾のスマフォ画面は奥さんの画像だったし、賢吾はきっとこの先も奥さんをずっと忘れないと思う。


 まだ新婚でこれからという時に亡くなってしまって、そんなのいい思い出しか残らないと思うから。

 

  冷蔵庫を開けビールを一本取り出しタブに人差し指を掛けブシュッと開けて、ゴクリゴクリといい音を鳴らして飲む。


 この頃、毎日二本はビールを飲んでしまう。隣のおばさんが一人でいる私を心配してくれておかずを分けてくれるので、何か作らなくてもビールのアテがあるのだ。

 

 ビールで喉を潤しながら、窓を開けて振り続ける雨を手で掬う。いつもは家の縁側でビールを呑むのだがこんだけ強い雨が降り注ぐとさすがに縁側では呑めない。


 窓を閉めてテレビをつけて、オカズをつまみながら再びビールを飲む。


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