表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第一章 はじまり
12/107

12

「これは一体どういう事だ!」


「市長から汚い金受け取ったから静雄さんはあんなに反対していた市との合併に賛成を始めたということか」


「静雄さんがいい車に急に乗りだしたから、おら聞いたんだよ。なんでお前はさそんないい車乗ってるのかよってさ。そしたら静雄さん娘が買ってくれたって言い張ったけど、娘のヨリコちゃん、うちの娘が島から出た時に見かけたって言ってたけど、専門学校の制服着てたってうちの娘が言ってたもんだから、何かあるぞと思ってたんだよ」


「この町のままで来たんだから、今更合併何てしたくないとか言っていたのが、ある日突然、この島も高齢化が進んでいて市の力がないとこの先困るのはわしらだ。とかいいだしてわしはてっきり静雄さんが色々わしたちの為に調べてくれて考え方が変わったんだと思っていたが違っていたんか」


 静雄さんがねぇ……そんな事をするような人には見えはしないけれど、そういう人間こそ裏があるって言うしね。


 ホールの中が荒れ行く中でそんな事を思っていた。


 しかし、次の瞬間私の背中は一瞬にして凍りついた。

 そう、映像の中には私が一人暗闇の中で立っている姿が映りだされたのだ。

 マズイ。


 大量に全身から冷や汗が出てくる。


映像の中の私は周囲を見渡して誰もいないのを確認してから玉緒さんの家の軽トラックの前に立った。

 もう一度周囲を確認した後に、軽トラックのタイヤ辺りを何度も何度も蹴り始めたのだ。

「まぁ」

「佳代子ちゃんお前一体なにやってんだ」

「……」返す言葉がない。何を言っても言い訳になってしまうだろう。下を向いたまま黙り込む。


二郎さんが思い出した様にして「佳代子が殺したんだろう?玉緒さんやヨネコさん達を」と責め立てるようにして言ってくる。

 周囲はザワザワとして、一斉にみんなの冷ややかな視線が私に向けられる。


「違う、それは私じゃない……私が殺してなんかいない」

「そうだ、和室にはこれ以上入れないって言ったのは佳代子ちゃんだ」


「鍵がかかって中に入れないって言っていたのは、あれは自分で鍵を締めたのか?」鉄三さんが殺人犯でも見る様な眼差しでそう言った。

「ちがう……そんなんじゃない」私は何もやってなんかいない。


「名前を確認したり島の人口を聞いてきたのはあれは、誰を殺したか確認するためか?」二郎さんは容赦なく鋭い言葉の刃で私の心を追いつめる。

「誤解よ……違う…」


映像はまた流れ始めると、血だらけになって横たわる九人の姿が映りだされていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ