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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
運命の赤い糸
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 テレビを見ていると、蓮が買い物から戻ってきて机の上に買い物袋を置いてくれた。

「今日は僕も一緒に手伝うよ」そう言って、蓮は自分専用のエプロンを身に着けた。

 紺色のエプロンをしている左手小指の赤い糸が見えて、本当に幸せを感じる。

 私の方の小指の赤い糸も勿論切れたりなんてしていない。


「エプロン姿も本当に似合うね」

「そうかな?自分ではよく分からなくてさ。ところで僕は何をすればいい?」

「そうねえ、買って来てもらった玉ねぎをみじん切りにしてもらおうかな。でも涙が出ちゃうかな?玉ねぎはやっぱり私が切るから蓮は人参をみじん切りにしてくれる?」


「うん分かった、まな板と包丁、ここにあるんだっけ?もう一つないと一緒に切れないよね?」

「そこの流しの引き出しに三枚ぐらい入っていない?包丁はここにあるよ。ここじゃ二人で切るには狭いから、テーブルで一緒に切ろうか?」


「うん、そうしよう。みじん切りってどうやって切るのか分からないし」


 そしてテーブルにまな板を並べてその上に包丁を置き、蓮のまな板の前には人参が入ったボウルがあって、私のまな板の前には玉ねぎが入ったボウルが置いてある。二人でこんな風にテーブルで一緒に料理をするなんて事は初めてで、なんだかワクワクした。


「じゃあ人参はこういう風に切ってね?」

「え?ああ、みじん切りって小さい粒みたいに切る事だっけ、てっきり三角みたいに切る奴かと思ってた」

「それはいちょう切りだね。指を切らないように気をつけてね」

「うん大丈夫、僕手先は器用だから」

「私は玉ねぎ横で切るけど、目がいたくならないかな?」


 そういうと蓮は引き出しから、スイミング用のゴーグルを持ってきて、それを掛けた。いきなりそんな恰好をするものだから、私はおかしくてつい大笑いしてしまった。

「そんなに笑わなくてもいいじゃんか」

「ごめんね、蓮がそんな事すると思わなくってさ」


 私が玉ねぎをみじん切りしている横で蓮は人参をみじん切りしていて、そうじゃなくてこうやって切るんだよなんて教えていると、まるで自宅が料理教室になった様な気分だった。


 蓮と一緒にすることならどんな事だって楽しいんだな、と思った。

「蓮が切ってくれた人参と私が切った玉ねぎはバターで炒めるんだけど、どうする?蓮が炒めてみる?」

「うーん、やっぱり僕少し疲れたから後は可憐にお願いしてもいい?」

そうやって正直に話してくれる蓮にまた可愛いと、トメキイテしまう。


玉ねぎを炒めてからそれが冷めるのを待ちながら、ひき肉をしっかりと手でこねた。こねるのが足りないと、焼いた時に割れちゃうからしっかりこねないと、と思っていると、蓮がテレビをつけた。


「ねえ可憐、ご飯食べたらさ、たまには一緒にゲームでもしない?」

「えゲーム?でも私ゲームとか苦手で」

「やっぱり駄目?」蓮は悲しそうな目をしながら私の顔を見る。

 ゲームは得意じゃないけど、こんな顔で見つめられたら……。


「少しだけならいいよ」蓮が望むなら私はその期待に応えたい。


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