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理想の島/運命の赤い糸  作者: 大和香織子
第一章 はじまり
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1

_____小島蘭子(28)


この島はとても小さい島で、求めていない以上の情報がお節介にも耳に入ってきてしまう。


 あそこの家の人がそうしたこうしただの、あいつはよそ者だなどと、下らない話で盛り上がって、噂ばかりがどんどんと一人歩きしてしまう。


 私の両親は、そんな排他的で陰湿で閉鎖的な人間関係の煩わしさに嫌気が差して東京に行ってしまった。


 私も東京にいる両親のもとに行きたいのだけれど、なにせ勤め先が会社をなかなか辞めさせてくれないものだから、私一人この家に残っている。


 両親としては私がこの家を出たら、この家を売却したいと考えているようで、催促の電話がかかってきたりするけれど、そんな電話で辞めれるものならばとっくに辞めている。


 いい年して突然会社に行かなくなるなんて事は出来ないし、社長が辞めてもいいと言ってくれるのをただ待つ事しか出来ないでいるのだ。


 梅雨時期にさしかかり、庭のあじさいにカタツムリが乗っているのが見える。どうでもいい噂とか監視されてる様に感じることがなけれさえすれば、すごくいい家だというのに。


 そもそも、家を早く出て欲しいという催促の電話は単純に家の売却目的だけでなく、家を早く出て欲しいイコール嫁にいってくれという意味合いを含んでいるのだ。


 私だって、早く結婚したいけど、こんなに小さな島じゃそもそも出会いなんて期待できないのだ。ここで生まれ育っても、高校を卒業したらみんな島から出てしまう。

 そして、みんな一度島を離れたら出たままで戻っては来ない。


 その理由は前述したとおり、窮屈な環境である事の他にもこの島では買い物するところも限られているし、空気がいいこと以外にはもしかすると何の魅力もないのかもしれない。


 この前同窓会をした時に、大阪から帰ってきた親友の大豆真奈美に「こっちに帰ってきてよ」と言ってみたら今の暮らしがすっかり馴染んで抜けれないし、抜けるつもりもないという返事に加えて早く島を出て垢抜けなさいよと返されてしまったのだ。






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