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サイバー・バウンダリー  作者: りょーじぃ
第一章 リレイズの世界
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第七話 美しき暴君

2015/12/16 文構成を修正実施

 ここは、イスバール王国に隣接するアイリス王国。


 イスバール王国と隣接するこの国は常にイスバールの攻撃に対して警戒をしていて、それは相手国のイスバールも同様であるが、ここアイリスはイスバール以上に警戒心が強く、他国の進行する宗教や文学は王国入り口の守衛兵に没収され、万一国内で発見された場合は、その場で打ち首・業火の刑になる程の重罪だ。


 その物々しい雰囲気を醸し出す、アイリス王国入り口に、守衛のボディチェックを済ませた二人の冒険者が、ここまで来るまでの道のりには必需品である日よけ用のローブを全身に覆い颯爽と歩き去るが、一人の背中から浮き出る巨大な剣は、その冒険者が只者では無い事を語っている。

 アイリスの町に入り、覆っていたローブのフード部分を捲ると、顔が露になったその二人は、盗賊シーフの川上と戦士の清水だ。


 アイリスに来た目的は、川上は情報収集で、清水はアイリス王からの護衛の依頼を受けており、王に会いに来ていた。


「とりあえずアイリスに来たけど、俺はこれから情報収集に行くよ」

「はいよぉ。私はこのまま城へ行って来るよ」

「清水お前、本当にこの仕事受けるのかよ」

「さぁー、まだ話も聞いていなしいね」

「アイリス王は、あまりいい噂は聞かない。アイリス教のみ信じ、異教徒の教えや書物は全て破棄する徹底振りだ。とても常人に思えない鎖国的な人間だぞ」

「元々、護衛のクエストを受けたのは私だし、行かないとケジメもあるしね」

「そんなもんかね・・・」


 清水は、リレイズの世界での主業務に護衛を選んでいて、普段はイスバールでの勤務が多いが、その評判を聞きつけて、アイリス国より清水へ直接クエストの依頼が来たのだ。


 清水は途中で川上と別れ、一番奥にあるアイリス城へ一人向かう。

 イスバール同様、巨大な城壁の前にそびえる城門の前で、再び守衛に荷物チェックと現代であれば、セクハラで訴えられるレベルのボディーチェックで受けようやく守衛より入城の許可を得た清水は、面倒臭そうにため息をつき、上がりきる城門を見つめている。


 城内は、平屋の建物が規則正しく並ぶが、それは、万が一敵の潜入を許した際にその建物が障害になるように建屋の下にはレールが敷かれていて、左右にある建屋が動き、左右で合わさると立派な障害物に変身する。

 各建物の屋根には巨大な十字架が立てられているその光景は、初めて宗教派の国へ来た事を実感させる。


 ようやく着いた城は、正面の壁に無数の十字架が飾られていて、入り口の守衛も先程までの鎧姿と違い、白い生地に大きな青い十字架が描かれた法衣を着て、アイリス教に乗っ取り、手に持つ武器は聖水で清められた槍と決められた装備をした、見た目高貴な兵士が守っている。

 そこで再度、チェックと受付を済ませると、ようやく城内へ入る事が出来た。


 コンシェルジュに応接室に案内されると、暫くして一人の男が入室して来た。


「わざわざ遠路はるばる、良くぞ来て下さった。私は、アイリス国の王アイリス三世だ」


 国王自らの応対に、さすがの清水も驚きを隠せず、今まで数多くの護衛をこなして来たが、ここまでの大物が直接会いに来るのは無かった。


「国王自らの応対感謝します。今回は、ご依頼ありがとうございました」


 ゲームに慣れている清水は、貴族の挨拶をそつなくこなす。ここは、さすが現代世界では主任として活躍する社会人と言った所だ。


 テーブルを挟み、清水と対面同士で座るアイリス三世は、清水の容姿を確認するかのように上から下まで目で確認した後、話を始める。


「依頼を出した護衛の件だが、我が娘の護衛を頼みたい」

「王の姫君を、ですか・・・」


 リレイズのクエストシステムは、大きく二つに分かれており、一つはスポンサーが宣伝目的として大会形式で公表する場合と、製作側がストーリーを作る為に、直接クエストを配布する場合で、清水が受けた今回のクエストは、後者であるパターンで、製作者側が何かの意図で清水へ直接クエストを配布した。


 アイリス三世の依頼を受けた清水は、宮殿という事もあるのか何時もと違う緊張した表情で、玉座に座り清水の答えを待つ王に何かを探るように話す。


「確か、姫は剣の腕が立つお方と耳にした事がありますが。なぜ私のような冒険者をお付けになると?」


 清水は、川上にアイリス国の事を事前に聞いていて、アイリス三世の娘『リシタニア』は王族切っての剣の使い手と聞いていたからだ。


 護衛であれば、魔法使い等で自身の苦手分野を補うのであれば理解出来るが、剣術に長けた者が戦士を護衛につけるのはおかしいと考え、アイリス教の数々の悪評を聞いている清水は、相手の手の内を知る為に、護衛の対象であるリシタニアに関しての情報をアイリス三世に話した。


「・・・ほう。お主はアイリスの民ではない筈なのに、よくその話を知っておるな」

「はい、リシタニア姫のお噂はアズバールでも常々耳にしておりますので」

「では、そこまで知るのであればリシタニアの性格も知っておろう」

「性格・・・ですか?」

「リシタニアは、少々手が早い傾向があってな。少しでも気に食わない事があれば簡単に人を切り捨てる、傍若無人な性格だ。お主の実力は常々噂で聞いておる。あのハヌマーンを倒した実力の持ち主であれば、娘の性格を変えられるかも知れぬと期待しておるのだ」


 アイリス三世の話を聞いた清水は、このクエストは護衛ではなく『人格を直せるか』と言う趣旨のクエストだと理解する。

 そう言ったクエストは、ゲームの世界では多々存在し、そのクエストの達成次第で国の存亡が変わる程の重要なクエストも存在し、今の状況を踏まえると今回のクエストはケルベロス討伐に少なからず影響を与えると考えた清水は、目の前で仁王立ちし返答を待つアイリス三世へ顔を向け話す。


「かしこまりました。ですが、先程のお話を聞きますと護衛と言うより、教育とお考えてしてよろしいのですか」

「今身内には、リシタニアを抑えられる人物はおらんの実情だ。お主なら、私達が試していない解決策を持っていると期待しておる」


 アイリス三世が話した言葉に、今回のクエストの重要性が垣間見える。

 人を容赦なく切りつけられる程の性格である、リシタニアの教育次第では、隣同士のイスバールとの戦争の可能性も示唆していて、清水の対応次第で国間の戦争を起こし兼ねない危険性はあるが、ケルベロス討伐の件も考慮しクエストを受ける事を決めた。


 宮殿の外にある通路は、各部屋へ通じていて、壁を煌びやかに飾る装飾は少なくシンプルで唯一の装飾品である窓のステンドガラスが、城と言うよりも教会に近い雰囲気を醸し出している。


 清水は、コンシェルジュにリシタニアの居る部屋へまで案内され扉の前へ着くと、異様な雰囲気を感じてか、コンシェルジュは声を震わせ恐れるかのようにその場から去って行き、その姿を見ながら清水は扉の正面に立つ扉に目を向けドアをノックする。


「・・・誰だ!」


 ドア越しに聞こえた声は、細く透き通った美しい声だったがその声は非常に大きく、ドア一枚を挟んだ程度ではその周波数を防ぎきれない程、生声をなんの抵抗も無く清水の所まで届けられる程であった。


「清水と申します。国王より、姫の護衛を承り参上しました」


 清水が話し終えると扉の奥は静まり返り、誰も居なくなったような雰囲気になったが、近づくにつれ聞こえて来る、かすかな靴の音で扉の向こうから、何者かがこちらへ接近してくるのが分かった。


 目の前の扉が開くと同時に二枚の扉の隙間から風を切り猛スピードで向かって来るサーベルを、清水は上体を横に捻り攻撃を避け即座に後ろに背負う長剣に手を伸ばし、扉から再び現れたサーベルとそれを持つ女性が繰り出す突きに長剣を合わせた。


「そなた、なかなかやるではないか。大体の人間が、今の一撃で串刺しになるのに、な!」


 サーベルの刃先が長剣の溝に嵌り、互いに力比べを始める。

 女性は、清水の刀さばきを褒め称えた後即座にその力を抜き、長剣に突いていたサーベルを跳ね返させると、そのまま上段の構えに移し、清水目掛けて振り下ろした。


 清水はその動きをおおよそ予想していて、女性が力を抜いた事で勢い良く振り抜かれたしまった長剣を逆手に持ち変え、女性が振り下ろしたサーベル目掛けて、長剣を振り上げると、再び二つの剣は乾いた音を立て互いの剣を弾き返した。


 ほぼ同時に二人が着地をすると、先程までの戦いが嘘のように静まり返り暫くすると、女性は構えていたサーベルを下げ腰に付いている鞘に収める。


「父上もそのような行動に出たか・・・。そなた、なかなかの腕だな」


 戦士としての清水の腕はゲーム内ではトップクラスに入り、必殺技の攻撃力は、世界でも五本の指に入る実力者だ。

 剣を交えた事で実力を理解した女性は、清水に向かって話す。


 その姿は、腰まで伸びたブロンドの髪をなびかせ、宮殿だからであろうか、体に纏う鎧は皮製の胸当てと肩パット程度だが、その鎧から見える素肌は透き通るような白い肌で、凛として立つその姿は、まるで聖女のように見える。

 

 この女性こそ、王宮では『美しき暴君』と呼ばれているアイリス三世の娘、リシタニアだ。


「そなた、名前は?」

「清水と申します」

「では清水、私には護衛など必要ない!」

「そう仰られましても、これは国王より配布されたクエストでありまして」

「そんなもの、破棄してしまえばいいではないか!」

「しかしながら姫、私共はクエストで生計を建てております。それを破棄する事は、労働の怠慢に当たります故、そのような事をしたのであれば、今後仕事を与えられなくなります」

「そなたは、面倒な人間だな!」


 こう言った力でねじ伏せるタイプは、力ずくでは解決出来ないと感じる清水は、ならばこちらは相手の苦手な分野であろう正論をぶつけると考えリシタニアの暴言に言葉で反抗する。

 これは、清水が現実世界で学んだ大人の喧嘩術で、その攻撃にリシタニアは、面倒臭そうに口を歪ませ清水を睨みつけたが、正論に対する反論を出す能力を持ち合わせていないのか苛々した表情をしたが、やがて後ろを向き元来た扉へ向かう。


「好きにするがいい。だが父がどう言おうが、私には戦士の護衛は不必要だ」

「それに関しては、私も賛成致しかねます所です」

「そなた、話が分かるではないか。なら、その事を父へ申し出て断って来い」

「そんな滅相も無い、せっかく姫とお近づきになれる機会ですので、クエストが完了するまで是非とも居させて頂きたいと思っております」

「そなた、かなりの面倒臭い人間だな」


 口争いでは勝てないと感じたリシタニアは背中越しで見えないが、その顔は呆れた表情で、清水が入れるように部屋の扉を開けっ放しにし座っていたソファーへ戻ると、後を惹かれるように清水も部屋へ入り、ソファーに座るリシタニアの前に立っている。


「そなたは、ネロの洞窟でハヌマーンを討伐したと聞いたが、ヤツの皮膚は鋼鉄に近い強度があると聞いている。あの皮膚を貫いたのは、そなたの剣か?」

「はい。通常の攻撃では、傷程度しか付きませんでしたので顔面に突きを入れ、相手の顔を貫きました」

「なるほど、そなたの剣の受けが強いのはその為か。そうであれば、そなたは突きの攻撃力は想像出来る」


 頭に血が上り易いタイプで普段勘違いされ易いが、ソファーに座り片手を口に当てながら話すリシタニアの戦闘分析能力は、先程の戦闘で既に清水の特徴を掴んでいて、自身の突きを抑えた力と突きと言う攻撃から、清水の強力な背筋力に裏付けられた物だと理解した。


「父のおおよそ考えている事は理解してる。恐らく、私を次の戦場へ赴かせる為の訓練としてそなたを寄こしたのだろう。私は所詮、王位を継げぬ女性であり王室には邪魔な存在だ」

 

 アイリス三世の娘と生まれたリシタニアは王位に付く権利を持たない女性の為、戦闘要員として幼い頃より剣術を叩き込まれた。

 10歳の時の初めての戦闘は、幼少にも関わらず前衛を任され数々の敵兵の屍を築き上げ英雄となったが、その性格故にいつしか周りから暴君として腫れ物扱いされて来た。


「私も、環境こそは違いますが同様の疎外感を受けて育っております。ですが、周りから妬まれ、腫れ物扱いされるのは自身にも原因がございますと思われます」

「・・・ほう、そなたは私に物申すと言うのか」


 リシタニアの表情は、明らかに不機嫌そうで、もしこれが戦いであれば、誰が相手でも問題はなく目の前の相手に突進していたが、目の前にいる小さな体に似合わない長剣を背負う目の前の小さな女性にリシタニアは今も、言葉の格闘で後手を踏み続けている。

 だが、いつものようなイラつきや怒りは込み上げて来ず、どちらかと言うと愉快で楽しい中間達との語らいのような気の休まる空間をリシタニアは、僅かだが感じていた。


「私の家は、領主ではございませんでしたが先祖代々で医者の家系でございました。私は出来の悪い子で、しかも家系を継げない女性の為、幼少より親に期待されず育ちました」


 清水の家系は、代々医者で、子孫としては医者になるのは当然の流れであった。


 だが、他兄弟と比べ勉強が出来なかった清水は、両親より将来を期待されておらず、自由教育と言えば聞こえが良いが、好きな事をやって良かったが、何をするにも親は興味を示さない。

 清水は、そんな孤独な幼少時代を過ごした。


 清水はその孤独をばねに変え自身で道を切り開き、今は実家とはライバル関係の病院で看護士として主任を任される程出世した。

 清水の家系を知っている病院関係者は多く、時々その事を突いて来る人間もいて、最初は戸惑った事もあったが、今はそれさえも己の成長の糧にして生きている。


 その境遇を経験している清水は、目の前にいるリシタニアが自分と同様で、両親に期待されず己が進む道を迷っているように見えた。


「子供は親に期待されると嬉しいものですが、何をしても褒められず放任されていれば己の進む道を見失うのは至極当然の事でしょう。何をして良いのか悪いのか、善悪の判断が出来ないからこそ、余計に疎外感を感じてしまいます。私から見た姫は、その様に感じられます」

「善悪の判断か。確かに私は、人を殺める事に躊躇は無いが、それは、この戦国の世では至極当然の事ではないか」

「はい、それは仰る通りです。ですが、力で抑える政治では民が動かないのも事実で姫の度を過ぎた暴力は、周りを押さえ付けているだけで、側から見れば弱い者虐めで真の力ではございません」

「そなたは、私の行動をその様に見るのか」


 今のリシタニアは、善悪のつかない大きな子供にしか見えない。

 それは、アイリス三世やその周りが彼女に興味を示さず、戦争という目の前にあった丁度いい言い訳を彼女へ与え、責任を逃げた事で、人間としての善悪の判断を教えて上げられなかった事にあると思っている。


 この時代で暴君と呼ばれる人間は、二つのタイプが居る。

 

 己の思想を押し付ける計算的な独裁者と、生まれ持った孤独の持ち主だ。


 リシタニアは後者のタイプで、この時代で女性として生まれてしまった悲壮な運命の影響で王宮から疎外されて孤独に育ち、善悪の判断基準を教えてもらっていない為に、人と違った感覚が周りから恐れられ、さらに疎外感を生む悪循環を作り上げている。


 だが、話が分からない程の人間ではないのは、これまでの会話で分かっているので、清水は近い境遇であった経験を話し、リシタニアの考えを正しい方向へ導く為に説諭せつゆした。


「王宮内の使いの方々や、アイリス国の民の人々が居てこそアイリス王国は成り立つのです。姫の力は、民を抑える為にあるではなく民の平和の為にあり、その平和を守るのが他国の侵略から守る戦争で、その時初めて姫の力が必要になるのです」


 清水の話に、リシタニアは押し黙り続ける。

 その姿は、初めて親に教えを請う子供のように、彼女は、貪るような瞳で清水の話を聞いていた。


「神は民に為にあり、か・・・」

「それは?」

「ああ、これはアイリス教の教えでな。神とは絶対の存在だが、それは民あっての事であって、上に立つものは常に民を見なければならないとの教えだ。そなたが話した言葉でこの教えを思い出した」


 リシタニアが呟くように吐き出した言葉は、アイリス教の一説で、その言葉を口にした後、頬杖をついたまま清水へ話しかける。


「そなたは、ケルベロス討伐のクエストは受けるのか?」

「はい、そのつもりでおります」


 リシタニアは、巷で有名になっているケルベロスのクエストを話すると、座っていたソファーから立ち上がり清水を見た。


「・・・分かった、私もそなたのクエストのパーティーに参加しよう!」

「ええ!?」

「私も、この国のくだらない争いには飽き飽きしていた所だ。そなた達の冒険の方が、間違いなく面白いに決まっておる」

「ですが・・・」

「ええい、じれったいヤツだのう!先程そなたは、私と一緒に居たいと申したし、私もそなたを気に入ったと言っておるのだから、互いの意見は一致しておろう。そなたと私は、これで同等になったのだから敬語など使うでないぞ」

 

 リシタニアの要望に、清水は一旦混乱するが一つの考えが浮かぶ。

 ムルティプルパーティーに必要な人員は三人で、上村は彼の性格上恐らく魔法使いを連れて来ると想像出来る。


 川上の予想は見えないが、多分自分に求められている人材は戦士で、二人の意見が分かれたリレイザーでないリシタニアであれば、パーティーを組む上では障害が無く、なおかつ戦士であれば、リシタニアをパーティーに誘うのは悪くない選択だと清水は感じた。


 清水は唯一気にしている点は、リシタニアはゲーム上のキャラクターでありプレイヤーではない事で、戦死した場合は間違いなく死ぬ筈だし、そもそもパーティーに取り入れる事なんで出来るのかと不安もある。


 それよりも清水は、自分の話に心動かされた人間がいた事に感動し、パーティー編成などの言い訳をしてはいるが、心の中では一人の人間の道標みちしるべになれた嬉しさが勝っていて、仲間に入れたいと思いリシタニアの顔を見る。


「分かりました。実際にパーティーに参加出来るか分かりませんし仲間達の承認も必要にはなりますが、紹介させて頂きます」

「そなたは、また敬語を使う!同じ仲間なのだから、普通に話せ。とりあえず、そなたの仲間に会いに行くぞ!」


 アイリス三世にリシタニアのパーティー参加の件を話すと、特に抵抗も無く外へ出る事を許可した。

 王の様子からも、リシタニアが腫れ物扱いされているのは感じられ、彼女の話はまんざら嘘ではないのが分かった。


 こうして、国王の娘の護衛のクエストを受けた筈の清水は、いつのの間にかムルティプルパーティー要員として、アイリス王国最強の剣士リシタニアを仲間に迎え入れる事になった。

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