第一話 新時代
2015/12/15 文構成を修正実施
時代は2030年。
この年に、2000年代の歴史上最高と言われる技術が開発された。
現実世界と違う空間を作る事の出来るアーキテクチャーが電子部品ショーで発表され、それは擬似空間創作構造『アシンメトリー』と名付けられる。
そのアーキテクチャーは、グラフィックボードの超進化版で、数年後その回路を使用したヘッドマウントディスプレイが製作され、その製品より投影されゲームの世界は、よくあるモニター越しで見るオンラインでゲームはなく、ヘッドマウントディスプレイから写し出される信号は目から脳に直接接続される事で、使用者自身が、その世界の物に触れる感触さえも再現でき、実際にその世界を体験しながらゲームを楽しめた。
ヘッドマウントディスプレイは日本2社で製作され、ゲームメーカ各社がリアルティのあるゲームを次々と発表し鎬を削っていたが、その均衡は突如表れた一本のゲームの大ヒットにより崩れ去り、そのゲームは世界中で大会が行われる程の知名度を得る。
そのゲームの名は『リレイズ』
5つの大陸からなる物語で、タイトル名のリレイズと呼ばれ、伝説の魔法を求めて、剣と魔法が支配する世界を冒険するゲームで、ヘッドマウントディスプレイを使いプレイヤーが実際にその世界を体験出来る、現実世界に近いファンタジーの世界で、プレイヤーは実際の戦闘で自身の能力を見極める事で職業を決め、仲間のプレイヤーを集め、各地に存在するモンスターを倒していく。
そのゲームの世界で死亡した場合、その衝撃は実際に近い経験を味わえ、2日間はそのゲームに参加出来ない仕組みになっており、実際にプレーを続ければ、その運動量などに応じてプレイヤーにも同様の疲労が溜まるなど、ゲームの世界をより実際に近付けるような工夫もなされていた。
最終目的であるリレイズの場所は、既に大方の参加者は知っていたが、その魔法がある場所は地下10階の巨大な地下迷宮になっていて、その場所へ辿りつき、その魔法を習得した者は噂でしか語られていなかった。
世界中でユーザが存在するゲームに、広告目当てで各企業は手ごろなクエストを多数配布し、それを成し遂げる順位を競う大会を多数開催し、それにより、さらにユーザ数を大きく増やした事と『リレイザー』なる、ファンタジーなこの世界でリアルな生活を送るユーザーが多数存在した事が、リレイズを世界中で大ヒットした作品となる要因になった。
現実に近く、現実で無い非現実世界。
擬似空間装置とリレイズは、瞬く間に世界を席巻していった。
だが、それは後に異世界という別世界を生み、世界中のユーザーを混乱に陥れる恐怖の世界の始まりだった。




