剣闘士
『プレーヌス・コロシアム・裏・闘技場』
そこは、プレーヌス・コロシアムで戦うことを余儀なくされたもの達の唯一の庭である
真ん中には丸く半径100mほどの地面があり、そこを中心として東西南北に階段があってすり鉢上になってあった
闘技場の一番上の周りは板や柵で覆われているが、覗き穴があり周りの闘技場を見渡せる
全部で三つの闘技場が見える。唯一北の広大に広がる大地と山岳、林と小さいが村も見える。北には景色を遮る板はない。あったのは手すりだけだった
闘技場の所々に露店も場を開いてるのが見えた
それに、なんといっても警備の監視役なのか四・五人の兵がいた
そこに付きまとうかのように、隣には犬のような魔物を携えていた
また、闘技場の周りには甲冑の象がそれぞれ盾に剣を突き刺している。時計の1から12の所に各一体ずつ置かれ、今にも動きそうな印象を与えてくれる
興奮も収まらぬまま、レンは闘技場を見渡す
東の闘技場では、同じ奴隷の服を着ているものがスライムと戦っていた
彼は、木の槍を見つけスライムに飛び掛かっていく
西の闘技場では、集団の騎士達が華麗に統率された動きで複数の魔物と闘いあっている
一人の指揮官が声を張り上げ闘いの流れを見通し、兵士達が一死乱れ動きで魔物を追い込んでゆく
そして、一番豪勢な南の闘技場をレンはしっかりっと見物していた
闘技場の剣闘士は、右手にグラディウスを掲げ、左手にバックラーを装着し、堅そうな革のジャケットにレザーパンツを着ていた
しかし、頭には何も付けずにしてあった。剣闘士としての誇りなのだろうかと、そうレンは考える
剣闘士の前に立ちはだかっていたのはオーガと呼ばれる魔獣だった
『鬼』オーガを見た瞬間に思いついた言葉がそれだった
ガタイの良い剣闘士の前に佇むオーガは剣闘士の頭五つ分はゆうにあり、体格は遠くから見ても三メートルはあるように見える。体は赤黒く筋肉が盛り上がり岩をも連想させる巨体にレンは唾を飲む
腰には、獣の皮で出来た腰巻きを付け、鋭利な爪を生やした大きい手には二メートルぐらいの石斧を地面にゴリゴリと音を立て引き吊りながら剣闘士と距離を詰め歩く
残り一歩で石斧が剣闘士に届くとなった瞬間
「ぐおぉぉあぁぉあおぉ」
天にも届くほどの声を張り上げ、オーガが剣闘士に走り掛かる
大きい石斧を両手で持ち、右から左に力任せに振るう
それを、剣闘士はバックステップで華麗に避ける
左から右、右から左に石斧がブンブンと振られる度に大量の砂塵が舞い上がる
オーガの猛攻に対して、冷静にひらひらとテンポ良く躍る様にして攻撃をかわしていく
砂塵がオーガと剣闘士を隠すかのように舞う中で、オーガが石斧を真っ直ぐに振り上げ渾身の力を入れ剣闘士の脳天を狙い振り下ろす
それを待ってたかのように、剣闘士は急に間合いを詰めオーガの足を斬りつけた
切れ味の鋭いグラディウスがオーガの肉を斬り血をしたたせる
ズドンっと地面を割るかのような音が先ほどまで剣闘士のいた所に響き、石斧が突き刺ささる
剣闘士はすかさずオーガの右足を連続で斬りつけた
そのまま、右足の周りに張り付くように場所を取り足にダメージを与えてく
オーガは巨躯な腕で剣闘士を殴ろうとするが、それをひらりと避け足に一太刀いれてく
オーガは拳や石斧で攻撃するが、オーガの足を盾にする剣闘士には当たらず地面をただ殴るだけだった
蹴るのにも常に動き続ける剣闘士を視界に捉えられず空を切る
剣闘士は足を盾にまたは、股を潜り抜けオーガの攻撃をかわすと同時にグラディウスで斬る
観客も剣闘士がこのままオーガの命を刈る瞬間をいまかいまかと待ちわびていた
その誰もがそう思っていた瞬間、オーガが血にまみれた右足を上げて踏み潰そうと動いた
「あっ」
オーガの動きに驚き、レンが声を漏らす
しかし、剣闘士は違っていた
傷ついた右足を浮いたのを視るや否や左足に全身の力で飛びかかる
グラディウスが白い光で覆われる
「スラッシュ」
強烈な一撃が左足を斜めに切り裂く
切り抜くと、オーガの巨体が地面にドスンと倒れ込んだ
観客の不安を一気に取り除き歓声があがる
さらに追い討ちを掛けるように、オーガの顔に切りかかる
同じくグラディウスが白く輝き、顔に深い傷をつける
オーガが最後の力を振り絞って剣闘士を殴るより早くグラディウスがオーガの首を切り倒していた
ぐったりっと倒れるオーガを見終えた剣闘士は、グラディウスを天高く振り上げる
大きい歓声があがる
おおぉっとレンも叫びたい衝動に駆られた
(すげぇすげぇよあいつ)
レンは剣闘士の戦いに魅せられていた
(俺もあんな風に、気高く戦ってみたい)
胸が高揚していくのを感じた
強い想いを描きながらギュッと拳を握っていた
その時に、トントンっと肩を叩かれる
「では、いいでしょうか?」
ミツキがそう言うと、修練場の説明をしてくれた
露店を開いている小さい雑貨屋
商品は全て自分の目利きで対応しなければならない
鐘が五回なる前に牢屋に戻らないと行けないこと
鐘は一時間に一回鳴るみたいと教えてくれた
修練場に持ち込んだ所有物が盗まれようと壊れようと二度と戻ってこないこと
そして、お金を稼ぐのと欲しいものを手に入れられる方法
ミツキはそしてレンに言うのだった
「私と闘ってもらいます」
レンは一気に目を見開いた
「え、本気か」
「本気ですよ。でも、殺し合いではありませんよ、模擬戦ですから」
レンはホッと胸を撫で下ろした
「でも、一つ条件があります」
「何だ?」
ミツキは軽い柔軟体操をして言う
「アンティバトルです」
「え!アンティって賭けだよな。賭ける物なんて俺は持ってないぞ」
「それが、ありますよ」
ミツキはレンの腰に指を差して言った
レンは、奴隷のズボンのポッケットにあった。ナナシから貰ったプレーヌス・ガルンを出した
「それでは、1ガルン賭けて闘ってみましょう」
そういうと近くにいた兵を呼び、レンたちは両者の同意の下にアンティバトルをすることになった
ミツキはトーン、トーンとリズム良くジャンプしている
レンも軽く体を動かしながら、ミツキを見る
そして、さっきミツキに言われたアンティバトルの注意点を思い出す
賭けは両者の同意の元おこなう
相手を選ぶこと。殺し合いになる可能性がある
(相手を選ぶここで生きていくには一番これを気をつける必要があるとミツキは注意深く言っているのが印象に残ったな)
そんな事を考えているとミツキと闘う時がきた
修練場の所々に正方形で縦・横10mぐらいに白いラインが描かれてあった
修練場の隅にある場所を選びその真ん中に、レンとミツキは向かいあっていた
兵がラインの外で見守る中で闘いが始まろうとしてた
「用意はいいですか?」
「いつでもいいぜ」
二人の目と目が合い
そして、二人の体が同時に動くのだった