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軌跡  作者: 小唄柘尾
6/9

余韻

スライムたちとの死闘が終わった俺は牢屋の中で大の字で仰向けに倒れていた



たっぷりの疲労感っと拳の皮が剥がれ、ヒリヒリする手、スライムに叩かれた痛みがほんの少しだけ残る体



先ほどの、闘いを思い出そうとも青いものをぶん殴り、ぶよんぶよんぶるるんっと動いてる生物の記憶しか思い出せなかった



しかし、体は熱く火照り充実感に溢れていた



スライムの核を砕いた感触が残る拳を上に掲げグッパッと握っては開くを続けている



胸の鼓動は速く、自分の心臓の音がよく聞こえる



(勝った・・俺は・・生き残った・いや、生き・抜いたんだ)



へへっと顔がにやける



そして、いまはお喋りをしない盾を見る



最後のスライムを丸呑みにした奇妙で恐ろしい盾


なぜ、話すのか、食べるのか、自我があるのか、呪われているのか、盾なのか知りたいことは山ほどあるが、こいつに助けられたのは確かなことだ


(後ろからだったが、スライムが吸い込まれるように盾に吸収されたな)


レンには、盾がスライムを喰らったのではなく、吸収したように見えた



(全く考えても分かんねえよ、まぁ、とりあえずってことで、助けられたら感謝の言葉だよな)



「盾、さっ・・・」



レンが話すの同時に、聞き覚えがあるコツコツっとリズムよく鳴る音が聞こえる



(ナナシか)



近づく音を耳にしながら、体をゆっくり起こした



「いやはや、お見事でしたよレンさん。まさに、有言実行ってやつですかなフハハッ」



ナナシが乾いた拍手をしてくる



「あぁ、少し無様だったがな」



「いえいえ、そんな事はありませんよ」



手を前に出して大きく左右に振る



「戦ってない者が戦う者を笑う、な〜んて、無知蒙昧ですよ」



(いつ、殺されても可笑しくありませんからね)


フフッとナナシは笑う



(全く、いつ見ても胡散臭い笑顔だな)



「それは、良かった。少しは楽しんでくれたか」


はい、もちろんっとナナシに返された



「レンさんの闘いは見ていて人を惹きつけますからね」



「ただ、真っ正面から闘っただけだけどな」



「いやいや、一般人が真っ正面から魔物を倒しにいく、なんて、普通は出来ませんよ」



「そりゃあ、どうも」



「これからも、私にたくさん見せて下さいね」



「あぁ、いつでも魅てくれ」



そして、思い出したようにレンは言う



「では、やくそくど「その前に、ご褒美ですよ」



話しを切り出す前に、声を被さられた



(まぁ、良いだろう。後々、聞けばいいし)



そして、いつの間にか用意された棚があり、その両隣に右にルベルと左にメランがいた



バサッと棚の布が取れる


(武器だ!武器、武器が欲しい。剣でも槍でも斧でも何でもいい)



ヒリヒリする手を握りながら思った



そして、レンはまじまじと棚の中身を見据える



(全体的に袋しかないな)



視線を左に動かす



黒びやかな可愛い猫のお耳ちゃんが、み〜ぎ、ひだ〜り、まぁ〜たみぎっとゆさゆさ動き、こちらを呼ぶようにピョコピョコっと動いてるではないか



視線を右に動かす



細い足が、若くて元気いっぱいの張りとつやを出しながら太ももが揺れてるぜ、眩しいぜ



視線を正面に戻す



(くそ、健全な男子の心を弄びやがって、くそ、くそ、くそ)


三度、瞳が左へ移る



(お、これは、一際大きい袋が・・・でもだ、ピコッピコッと動く猫耳がこちらを誘っているではないか)



チラ、チラリ、チラッ



(猫耳か袋か、くそっ、そろそろ、時間じゃないか)



チラ、チラリ、チラッ



(これで最後、いや、次で最後、本当に最後、最後が最後・・)



チラ、チラリ、チラッ



「時間ですよぉ〜」



ナナシがメランの前に出る



(猫耳、大きい袋、大きい、猫、耳、袋、猫、耳、猫、耳、猫・・)



バサッと、布で棚が隠される



「あ、え!もう、なのか!?」


はい、そうですよっと砂時計を振りながら言う



「あ、じゃあ、そうだな、A2の大きい猫耳ぶくっゴッホン」



レンは大きく咳払いをした



「A2で、あ、はい、ただのA2でお願いする」


「畏まりました」



ナナシは、レンの狙い通りの一際大きいただの本当にただの袋を棚から出して投げ渡した



「後、これはボーナスですよ」



そういい、小さい袋を投げ渡された



受け取ると、チャリっと音がした



袋を開けると、灰色のメダルが四枚入っていた



灰メダル⇒1ガルン

白メダル⇒10G

銅メダル⇒100G

銀メダル⇒1000G

金メダル⇒10000G

白金メダル⇒100000G



「今回のあなたの討伐時間は、10分2秒でしたよ」



それとこれをと言い、冊子を渡してきた



パラパラっとめくると食料品・飲み物・消耗品・日用品・小物類の名称が書かれ、横に単価が記載されていた



(酒が300PGか)



「今回のは、なんなんだ?」



冊子を持って問いかけた


「いずれ分かりますよ。運が良いレンさんならね」


八重歯をキラリっと見せて言う



(自分で考えろってことか、やっぱり、そんなにお優しくはないか)



「まあ、くれるものは、有り難く頂くぜ」



どういたしましてっと帽子を取って笑う



一度、一段落した所でレンは話を戻そうとする



「ナナシ、先ほど約束した件をそろそろ聞きたいな」



「約束といいますと」



う〜んっとナナシが悩むように首を左右に振る



「俺たちを闘わせる理由をだよ」



「あれ、そうでしたっけ?」



そうだっと素っ気なく返す



「俺たちを見せ物にして何がしたい。じゃ、ありませんでしたかな?」



レンの口調を真似て言い放つ



「え、うーん、ああ、そうだったな。てか、一字一句覚えてんじゃねぇか」



「はい、記憶力は良いんですよ」



フハハッとナナシは笑う



「で、教えてくれるのか?」



「ダメですねぇ〜。まぁ、まだってことですけどね」



レンはナナシを無言で見つめる



「私は、レンさんのことを、まだ、信頼出来てませんからね」



まだまだ、頑張って貰えないとダメですねっと加えた



「なんだ、そういうことなら、仕方たがないな」


レンは笑顔で返した



「そうですね。レンさんとは長い付き合いに成りそうですからね」



「ああ、いずれだな。それじゃあ、これからも生きて魅せる」



「はい、私も見てみたいですからね、ここで、輝くレンさんをね」



「わかったよ、ナナシの小さい期待と信頼に答えてやるよ」



「フハハッいいですね。いいですよ。それですよ、私をもっと楽しませて下さいよ」



「ああ、楽しませてやるよ」



「それでは、これからも期待しますよ。私の少ない期待と信頼を得るために期待させて下さいね」


そして、私を倒せるくらいにねっとその場の誰にも聞こえない声で呟く



「ではでは、レンさん今度はこちらの約束通りのお食事の時間ですよ」



カタカタと大きい台車を押して白猫が来た



それとは反対にナナシたちは帰っていくのだった



白猫は、白い猫耳、白い髪、白い肌、金の鈴がついた首輪を付け純白のワンピースを着て裸足だった



美しい顔だちで金色の瞳がよく見栄える



こんな、小汚い所にいても汚れが見えなく、通路の少ない光に当たると白い肌がなお輝いて見えた


白猫は、各牢屋に台車に乗っている食事を置いてレンがいる牢屋まで近づいてくるのだった

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