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軌跡  作者: 小唄柘尾
1/9

始まり

真っ暗闇の中


私はいる


前と後ろの扉に挟まれた中


私はいる


沢山の人の息づかいを感じる中


私はいる


鉄の檻の中


私はいる


手と足に枷を付けた中


私はいる



扉の方から微かに太鼓を叩く音、人の声、楽器の音色が聞こえてくる


私はここに来る度、毎度嫌気が差す



重たい気持ちと体を軽く叩き、その時を来るのを待つ


ドンどんドンどんっと太鼓の音が大きくなってゆき、ギチッギリギチっと鈍い音がなり、扉がゆっくりと軋みながら開いていく


私の瞳に光が射して来るのを感じた。温かい日の光を浴びながら、徐々に慣れてきた眼で青空を映していた瞳を正面に向けた



檻の鍵が外れ私は一時的に開いた扉に向かい外に出るため歩いた



扉、いや門といったほうが正しいだろう



門から続々と数十名の人が全て放たれた



役目が終えた用に門は先ほどのように重厚の音を立てて門は閉まっていく


外に出た私たちは、また檻で囲われていた



そんな中で、門の中にいた時に聞こえてた人々の声が鮮明に聞こえてきた


ある人は罵声、また、ある人は歓声をあげてけたたましく鳴る太鼓に出迎えられた



その状況に檻にいる私意外の人が、それは、困惑した顔で声をあげる



私はそんな状況に目もくれないで目の前にある環境を冷静に把握しようとしていた


縦・横・半径200m位ある円形の闘技場


回りは岩でできた壁で仕切られ高さは15m位あり聳えたっている


闘技場はすり鉢上に造られてあり、壁の上から私たちを見下ろすように人々が椅子に座り、また、興奮気味に一番前にある手摺りに寄りかかり騒ぐものが見られた



また、闘技場の中には小石が散りばめてれてあり中心の位置に台座の上に子供の騎士の石像が一台


そこから、上下左右50mほどの等間隔に同じ騎士の銅像が一台ずつ置いてあった



全部で五台の石像が置いてあり、すべての石像が何かを持ち合わせていた。大人の男なら素手でも覚悟を決めれば一体ぐらいは仕留めれるだろう。問題はあっちだ)



歯を噛み締め、赤いボブゴブリンを見た



体格は大人の男と大差なく小鬼よりもおぞましい顔で笑みを作り上げ頭には一本の曲がった角が生えている。また、両手には木の棍棒を持ち、皮でできている胸当てと毛皮の腰巻きを着けていた


それを視認した私は一番南側にあった石像を見た後、すぐさま中央の銅像に向かって駆け出した


外野と後ろにいる人々が騒いでいるが、私は目的の為に動きを止めない



生きるために私は生きていくために動きを止めない



すぐさま、中央の石像に到着した私は騎士の銅像が持っていた剣を取り台にあがり全体を一度確認する



最初の地点にいて後ろの門を叩くのが2人、上に助けと罵声を吐いてるのが南西に6人、南の石像にいるのが3人、右か左の石像に向かうのが3人、その場に倒れうずくまっているのが1人、祈るものが1人、右端の壁に走るものが1人を確認した



闘技場にいる人は、みな同じ奴隷の服をしている


その中で皮の靴を履いているのは私だけだった



北にいる、ゴブリンとは後50mほどで接触するだろう



ボブゴブリンは先にゴブリンを仕掛け最初の地点から動かず高みの見物をしている



(いつもですが、信じるものは自分しかいないか)



一つ溜め息を吐き、ゴブリンを見定め一番右端にいるゴブリンに向かい走り出した


「キッキキィキーキ」


奇声をあげて襲い掛かってくるゴブリンに私は剣を下から上に切り上げ腕の一本を切り取ばし、悲痛の顔を浮かべ、奇声を叫ぶゴブリンに容赦なく胴体を一刀両断した


緑色の血を出し、倒れてくゴブリンを尻目にボブゴブリンが動いていないのを視認する



直ぐさま、まだ近くにいるゴブリンに向かい突撃する


こちらに気付いたゴブリンが腕を振り上げて掛かってくる



ゴブリンが両腕を振り下ろすと同時に私は左にステップでひらりと避ける


拳が空を切り地面に勢いよく叩きつけられる


地面には、くっきりっと拳の跡が残っていた



私を一撃で仕留められなかったゴブリンが顔を上げた瞬間に横一線に剣を振り抜き顔を切り裂いた


(後、四体)



心の中で呟いた時に、複数の男の悲鳴が聞こえる



西の石像に3人の男が見られたが2体のゴブリンによって1人は腕が折れ体の隅々を噛まれて倒れ込んでいた



もう二人が、西の石像に合ったと思われるヒノキの棒を一人が持ち、もう一人はそれを包んでた布袋を持って対峙していた


南の石像には洋銃があったが固定されていて人の力では取れないように仕組まれてるのにも、4人の男が協力して取ろうとした時に1体のゴブリンに襲われ2人の男が殺されていた


それに懲りずに逃げ出さず洋銃を取ろうと必死に足掻いていた



(南は全員死ぬだろう、西は一体ぐらい倒してくれれば十分ですかね)



「オオォーオォォオッ」


耳をつんざく大声が場内に響き渡った



ボブゴブリンが走りながら威圧と人を襲う高揚感を卑屈の顔にだしながら叫び、南西にたくさんいる人間に向かって飛び出していた


それを見た私は全力で北の石像に向かい走り出す


後ろでは、ゴブリンとボブゴブリンに襲われ悲鳴があがる中、場内の上にいる観客が奇声と歓声を叫んでいる


北の石像にいち早く着いた私は早速周りを物色する



そして、石像の騎士が持っていた袋を見つけ開けると拳ぐらいある丸いガラス玉に油が入っている物を入手した


全ての確認を終えた私は現状を見た



西にいた二人は自分の命をかけゴブリン1体を倒していた



もう一体いたゴブリンはヒノキの棒を奪い二人を食している最中だった



南の方はボブゴブリンが振るう棍棒により頭を潰され、体があらぬ方向に曲がって数人が死に、傷を負って逃げる者をゆったりと疲れるのを待つように南の石像にいたゴブリンと一緒に追いかけていた


私はこみ上げてくる殺意を覚えながら西にいるゴブリンに駆け寄り後ろから首を突き刺した



先ほどまで、人だったものを見て気持ちが少し悪くなりながらも現在殺すべき対象を注視する


(もう私と彼しかいないのか)



闘技場内には、東の石像に向かっていた盾を持っている青年と私しか人はいなくなっていた



「ウオォォッーオォゥー」


またしても、耳をつんざく大声を叫びながらボブゴブリンとゴブリンが向かってくる


私も南に向かい駆け出した



走りながらボブゴブリンを見ると木の棍棒にはべっとりと血がつき所々で棍棒が凹んでいた、外傷はやはり見られなかった


「それでも、私が勝つんだ」


自分に言い聞かせるように叫び南の石像の場所で私たちの戦いが始まった


先手は、私がゴブリンを剣の腹で顔を叩きよろめかせる



(このまま、ゴブリンを盾にしていけばいい)



ブンッドカっと前から音がした



ボブゴブリンの棍棒によってゴブリンが潰されたのだった


突然のことと、予期していなかった行動に思考がついて行けなかったが体が無防備に振り出されていた腕を剣で斬りつけていた



「はあぁ」



自然と声が唸り、一太刀入れた腕から緑色の血が溢れるのを見て距離をとる


(傷は浅いか)


痛みと先ほどまで無残に殺していた人間に傷をつけられたボブゴブリンは怒りにまかせ棍棒を縦横無尽に振るう



振り下ろされる棍棒を横っ飛びして避ける、さらに追撃されるのを南の石像に転がりボブゴブリンと私の間に挟み盾にして防いだ


ずしんと石像の反対側から聞こえてくる


(石像から奴が顔をだしたら勝負)


棍棒を振り回しながら出てきたボブゴブリンの手を剣をひるがえして突いた


痛みに耐えた、ボブゴブリンは横なぎに振るわれた棍棒から私は身を屈ませかわした



その体制のまま、両手で刃こぼれとゴブリンの血でいつの間にか切れなくなっていた剣で足を思いっきり叩く


少しよろけた所を狙って油が入ったガラス玉を顔面にぶつける


油とガラスが目に入り前が見えなくなっているボブゴブリンの攻撃が単調で踊るようにその場で何度も空を切っている



私は石像に滑り込みながらボブゴブリンを石像の裏、私は石像の前に距離をとり、目が見えない奴の為に私は石像の台に体を屈ませ精一杯に吠えた


「こ、こんなの全然どうって事ないんだからね!!」


その声の方向に、棍棒を勢いよく叩きつけ何度も何度も叩き、ついには石像を破壊した


石像が砕けた瞬間に、剣をボブゴブリンに投擲し、洋銃に手を伸ばし掴んだ



石の破片が私の体にぶつかるが気にはしてられない


体の所々にすり傷、切り傷から血が出るが私の心は折れない


「あいつを殺すんだ」



早速、西のゴブリンを倒した時に探って出てきたヒノキの袋から見つけた一発の弾を装填する



(銃を取っても弾がない、なんて意地汚い所でしょう)



装填を終えた私は、ボブゴブリンの頭を狙い付け洋銃をぶっ放した



声を上げる隙もなく頭を爆散させ燃え上がるホブゴブリンが悶え苦しむ


両手に持つ棍棒を落として、手で頭を抑え地面を転げ回る


なんとか火を消したが顔は焦げ、手は火傷を負い石像を何度も叩いたダメージが目に見え、私が投げた剣が肩に浅く刺さり、ボブゴブリンの目の焦点があっていない様子だがドタドタ歩き、その途中で肩の剣が抜け私に向かって腕を振ってきた


呻き声を上げながら掛かってくるボブゴブリン



「あなたも良くやりましたよ。ですけど、いい加減終わりです。ハロー/グッバイ(こんにちはそしてさようなら)」



右手に光ながら出てくる剣でボブゴブリンの胴体を切り飛ばした



切り終えた後には場内で歓声があがる



私は、ボブゴブリンの皮の胸当てを外し、少し自分に大きいが装備した



いつの間にか、近づいてきた青年がいた


軽く声を掛け、南の門にいき、そして、手と足に重たい枷をつける。盾の青年にも同じようにするように指示を出し付け終わると南の門が開き門の中にトボトボっと歩きだした



ついに、闘技場には誰もいなくなっていた

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