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第六章

次の日も、朝早くから出かけた俺たちは街中を歩いていくが、昨日と違う所が一つだけある



「なぁ、何でそれを持ってきた?」



そう、ミカの背には俺のギターを納めたケースが背負われていた。



「あぁ。これか、今は気にするな」



そう言いミカは歩いていく。俺もそれに続くが



「んぁ?霧人、何してんだ?」



背後から聞き覚えのある声がした。俺は吐きたくもないため息を吐く厄介な奴に見つかったものだ。






 渉に見つかり、そこから薫と空に電話が飛び現在、カラオケの中に居る訳だが



「で、どうなんだよ?」



「何が」



「決まってんだろ、あの娘は誰だよ?休みの原因もあの娘か?」



現在、渉に尋問されてる訳だ。



「理由は聞かないんじゃなかったのか」



「いや、だって何か面白そうな事になってそうだしさ」



「妙な所で勘が鋭いな」



俺は吐きたくもない溜息を吐いた。






「と、言う訳だ。」



和真との話を抜かし説明を終えたが、渉達は沈黙していたが口を開く



「マジで凄い事に巻き込まれてるな。」



「一生分の運気を使った機がする」



何度目か分らない溜息を吐きながら俺は呟く



「まぁ、貸せるなら力を貸そうと思ったけど貸せそうな事がないな」



「気にするな」



俺と渉が話していると



「三人は日々之とバンドを組んでいるんだよな?」



ミカがそう尋ねてきた



「まぁ、そうだが」



この後のミカの言いたい事が俺にはなんとなく予想できた。







 「悪かったな」



そう言い渉達三人を俺は見渡した



「別にいいって、これくらい」



俺達はミカの演奏が聞きたいという願いを聞き先程まで軽く演奏していた



「やっぱり、凄いなミカには出来そうに無い」



そういうミカに渉は笑いながら返す



「こういうのは慣れだって、ちゃんと練習すれば君にも出来るって」



そう言われたミカはそうかと言い笑いながら頑張ってみようかなと言っていた。



しかしミカの秘密を知る俺はそれを聞き、唇を噛み締めた。







「で、何やってんのよあんたは?ひょっとして私が思ってる以上に馬鹿だった訳?」



「返す言葉もございません」



ミカの事を渉と薫に任せ俺は空と話していた。




「なんで私とあそこまでシリアスな話をしといてこんな早くに皆にバレてんのよ?」



「いや、あの…ミカが出かけるぞって言ってだな?」



「ならもういっそのこと遠出とかしなさいよ」



「いや、しようと思ったんだが…」



「思ったけど?」



「駅とか県道付近はびっしりといかにもな黒服さんによって固められてました。」



「……なるほど」




そう和馬の言うとおり追っ手はいなくなりはしたが、どうやらそれが限界だったらしく和馬にも電話して聞いてみたところ俺達二人を期限まで自由にする代わりにこの町から一歩も出さない、という条件が出されたそうで結果としてこの町で人の集まるようなところにしかいけなくなってしまったわけで



「ある意味、必然って訳ね」



「そうなる」



その言葉を聞き空はというと額を押さえていた








SIDE SORA



はぁ、全く…ため息をつくしかないわよ。

こいつから色々と話を聞いたときは正直半信半疑だったけど、今朝に私自身も駅の近くでその黒服達を見ているのだから、あの話は虚偽偽りのない事実なのだろう。

……本っ当に今回ばかりはマジで厄介な事に巻き込まれてるのね、こいつは。なのに本人にそういった自覚は殆どというか全くない、むしろ何だろう…生き生きとしてる昔みたいに


何時からだろう?昔は事あるごとに泣いて騒いで笑っていたこいつが何処か昔の私のように物事を冷めた目で見つめるようになったのは?その大きな原因のひとつはやっぱりこいつがお兄さんにギターを背負わされたときからだろうけど


それでも、その前から少しずつ、ほんの少しずつだけど物事に熱中しなくなっていった。それの理由もなんとなく分かってる。今思えば、こいつには夢や理想といった物が殆どなかったのだ。

何時も只ひたすらに前だけ見て突っ走ってきた。だけど中学生になって皆が夢や未来を語り始めるのにあいつにはそれがなかった。だから、こいつは立ち止まってしまったんだ。


でも、こいつはまた歩き始めようとしてる。はじめは背負わされたものだったかもしれない。でも今はそれをちゃんと自分自身の夢として音楽と真剣に向き合って歩き始めようとしてる。それはうれしい事なのだが…私がその切っ掛けになれなかった事が悔しい。


霧人、私は、貴方のことが……




「おい、どうした?」




「ん?」



「いやさっきから黙り込んで、どうしたよ?」




横から覗き込むように私の顔を覗き込んできた幼馴染の心配そうな顔を見て私は笑いながら、こいつが変わる切っ掛けを作ってくれた彼女「ミカ」の方へと歩き出す



「べっつに~?ほら行くわよ?」



「ん?あぁ。」



そういうと霧人も私の後ろをついてくる、そう…今はまだ、私は幼馴染で、いい。

















机の上に置かれた携帯の日付と時刻は機械的に残酷に時を刻んでいく。






………タイムリミットまでは、後一日。




時間は、もう…残されていなかった…


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