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第五章

 結局、何の答えも出せずに翌日となってしまった訳だ



このままではいけないということだけは分かる。



恐らくあの和真とかいう奴がわざわざ、俺に接触してきたのも本当に時間がないからなのだろう。しかし…




「霧人、浮かない顔をしているな、腹が減っているのか?」



目の前にいるミカは笑いながらおにぎりにかぶりついていた。



黙々と食事を続けるあいつを見ていると昨日、和真に言われたことが嘘であるように感じてしまう。







 「で、俺は何をしている。」



俺がこう言うのも仕方が無い事だと思うあの食事の後いきなり「散歩に行くぞ」と言いミカに連れ出された事はまぁ許容範囲内だとしてもだ。



「散歩の行き先がどうなったら此処になる」



今、俺がいるのはミカの希望により家電製品売り場な訳だが



「おぉ、テレビが薄い」



先程から、最新鋭技術の塊である筈の、というか此処にある機械と対比しても比べ物にならないはずの存在である筈のロボットであるミカが、だ。



「一般家電に驚いているという状況…シュールだ。」


そう、機械技術の結晶ともいえるロボットがテレビや冷蔵庫に驚いている。




これ程までにシュールな図はそうそうにある事じゃないんじゃないか?






「お前、仮にも最新鋭技術の塊が一般技術の塊に驚いていてどうするんだよ」



俺の質問に対するミカの答えは絶句するものだった



「何?これが一般技術なのか?研究所の中では見たことも無い物ばかりだ」



これには絶句するしかなかった。あの和真とかいう奴は本当に一体どんな研究をしているんだ?



「あぁ、そういえばお前、自販機も知らなかったな。」



こいつとの出会いを思い出し妙に納得した。



「…あれも一般的な技術なのか?」



「少なくとも俺が生まれた頃には既にあった筈だ。」



ミカの真剣な表情をした質問に俺は髪を掻きながら答える。






「そうか…あ。」



突然、俺の後ろを見て固まったミカの視線の先を振り返って見てみると



「あ。」



俺も一瞬固まったが、直ぐにミカとその場を離れた。



急いで家電売り場から出るとミカの手を引き走りながら携帯を取り出す。



昨日渡された名刺をポケットから探ろうとすると携帯に誰かがかけてきた。



「もしもし!?」



『やぁ、少年どうした?何か悪い事でもあったのかい?』



携帯に出ると今一番文句を言ってやりたい奴の軽い口調が聞こえてきた



「過去形じゃなくて現在進行形だ!」



話をしながら後ろを振り向くとこの間、ミカを追っていた二人がこちらを追いかけていた






『あー注意しようと思って掛けただけど遅かったみたいだな』



悪いねと言うあいつに言いたい事を俺はぶつけた



「何でまだあいつら追ってくんだよ!ミカの事は俺に任せたんじゃないのか!?」



俺の大声に五月蝿いなと言い和真は訳を話し始める



『いやー俺はそのつもりだったんだけど、上の人がさっさと回収したいらしくてねー』



いやー大人の世界は世知辛いねぇと笑いながら言うあいつに俺は再び怒鳴る



「どうすりゃいいんだよ!」



『まぁ、いえるのは一つだけだ…逃げろ。』



「それだけかよ!」



あまりにも単純すぎる答えに俺は呆れた



『それだけだ。まぁ後数時間逃げ切れば何とかなるだろ。以上だ。頑張れ、少年。』



そう言うとあいつは一方的に電話を切った。






「ふざけんなよ!」



俺はそう叫ぶと携帯をしまうが、俺に手を引かれるミカはと言うと



「ハハハ、楽しいな、日々之」



何故か呑気に笑ってやがった。



「何が楽しいんだよ!?」



俺は前を向き走ったままミカに尋ねる。



「言っただろう?ミカの夢は後悔しないくらい一日を楽しんで生きていたいと。」



そういえばそんな事を聞いた気がする。



「こんな事、研究所の中では体験出来なかった。だから、ミカは日々之に感謝している。」



それを聞いた俺は苦笑して、そうかと言うと足を早めるのだった。




…で、巻くために人が多い場所に逃げ込んだ訳だが



「おぁ、凄いな」



最新鋭ロボットは電化製品売り場の一般家電の次はゲームセンターの筐体に興味を引かれていた。



「何かやるか?」



俺の問いにミカは一つの機械を指差す



「あれがいい。」



そう言って指差したのは、所謂、音ゲーといわれる物の一つでギター型の物だった。



「日々之の部屋で見た時から興味があってな、一度やってみたい。」



なるほどと思い俺は機械に百円硬貨を入れ設定してやる。


「お、お、おぉ。」



と四苦八苦しながら挑戦し…結果はまぁ、散々だった訳だ、それを見て俺は百円硬貨を入れミカに



「見ていろ」



そう言い本物ではなく単純化されたギター型のコントローラーを操る。



結果は言うまでもない。ゲームセンターを出て帰路に着いた俺達だが、ミカはまだ先程の事が忘れられない様でギターを弾く真似をしている。



俺はそんなミカを見ながら、携帯を取り出し日付を見る。





………残された時間は、後二日。


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