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第四章



SIDE・???




「……こちら、ご注文のクリームソーダになります」



いつもどおりの日常を送りつついつもどおりのバイトに精をだしていた私は突然来店して来た客の2人の内の1人に注文の品を届けた





 「やぁやぁ、悪いね、ミカが迷惑かけて」



そう言う俺を喫茶店に連れてきた和真は軽い口調で話す。



「はぁ」



目の前でメロンクリームソーダを食べながら言われているので緊迫感は0だ。それなのに俺だけは緊張している。



「あぁ、安心していい、警察沙汰とかにはならないし、君にはこれ以上迷惑は出来る限りはかけない」



アイスを黙々と食べながら和真は俺の不安を見抜いたかのように話す



「じゃあ、俺に話って何ですか?」



「あぁ、それなんだけどさ。」



和真が手を止める



「ミカさ、このままだと死ぬんだよね」






「は?」



俺はいきなりの言葉に混乱した



「死ぬって、え!?ミカはロボットなんじゃ」



「違う、俺が作るのはロボットじゃない人間だ」



俺は和真の言葉が分らなかった



「俺は人に近いではなく人そのものである存在を作り出すために研究してるんだ、んで、ミカはその形だ」



「…よく分かんないけど、納得しとく。」



「ありがと、まぁ、ミカは俺の夢の結晶って本当は言いたいんだけどなぁ、今のままじゃ」



「!そうだ、死ぬってどういう事ですか!?」



俺は焦りを隠せずに言う






「んー、ミカを見てたら分るだろうけどさ、ミカは外に出た事が無い、っていうか出せなかったんだよね。殺さないために。」



「どう言う事ですか?」



「んー、分りやすくいったら、ミカは限りなく俺の夢そのものに近い。でも、ここだけは未完成なんだよ」



和真は自身の額をつつく。それってつまり



「一定量以上の記憶をもてない。だから余計な記憶を持たせない為に研究所から出せなかった」



「そんな」



俺はうつむき声を絞り出す



「まぁ、それをミカ本人に言ってなかったから、逃げちゃったんだけどね、ミカ。」






和真が軽い口調で言った事に俺は怒りを隠せなかった



「なんで隠したんだよ!」



「言ったろ?俺が作るのは人間だって、んな、人間じゃありませんなんて、自分の家族みたいな未ミカに言えるか。」



俺はその言葉に押し黙ってしまう。



「夢っていうのは残酷だよ?少年。叶えたと思ったら、すぐに別の夢が出来る。叶えられなければ苦痛になる。科学者にとっては夢っていうのは一種の『麻薬』だ。」



俺は俯いたまま何も言えなかった。そして和真は立ち上がる



「いいか、残された時間は殆どない。期限は後、三日だ。どうするかはお前が決めろ。」



そう言って和真は一枚の名刺を机の上に置いて帰っていった。






「帰るか…」



俺は和馬が残した名刺を掴むとそう呟き力なく立ち上がりミカの待つ家へと帰ろうとしたのだが



「ちょっと、お客さん」



「あ。」



やばい、すっかり忘れていた。さっきは雰囲気から察して何も聞かずにテーブルを離れてくれたのだが、あいつから俺が何かあってバンドの練習を休んだということはもう既にこいつの耳には届いていることだろう。


「ちょーっと、店の奥まで来てもらいましょうか?……嫌とは言わせないわよ?」



そう、此処は俺の知り合いが経営者をしている為に付き合いのある俺『達』は好条件でバイトしている。詰まるところが、目の前にいる俺の幼馴染も此処でバイトをしているわけで



「おら、来い。バンドの練習サボったのに此処にお茶しに来るとはいい度胸じゃない。」



「痛い痛い痛い、ちょっ分かったから引っ張るなって」




此処に勤めている人達はバイトも含めて俺たちの事を知っているので、クスクスと笑いながら俺たち二人のことを見ている。そんな視線の中で俺は幼馴染である「八神 空」に引っ張られて店の奥へと入っていった。





「で?」



「はぁ」



「はぁ、じゃない!!」



店の奥の休憩所で俺は椅子に座らされ机を挟んだ向かい側に空の奴は陣取っており、さながら俺は刑事に取調べを受ける犯人だ。



「どういうことになってるのかちゃっちゃと説明しろっつてんのよ!!」



「いや、まぁ色々あってだな…黙秘権を使い」



「んなもんはない!!」



「ひでぇなぁ!おい!!」



こいつこと「八神 空」の事を軽く紹介しておこう。

まぁこいつとは所謂、幼馴染というか腐れ縁というかそんな感じだ。幼稚園に始まり現在の大学に至るまでに何故かすべて俺と同じクラスになっている。


あぁ、そういえば不思議な事がひとつだけある。こいつの成績なら高校に限らず大学ももっと上のレベルを狙えただろうに何故か俺と同じところを受けたんだ。一度何故かと聞いたら「この…馬鹿ぁあ!!!」という叫びと共に顔面に鉄拳がクリーンヒットした。


後日に渉に話したらあきれられた。なぜだろう、あいつにあきれられるのは癪だがこの件に関しては何故か怒る事が出来ない。不思議だ。



あぁ、怒りはしなかったがむしゃくしゃしたので当然、渉の奴には鉄拳五連打をくれてやった。




「なるほどねぇ…」



「ちっ、この暴力女め」



「何か言った?」



「イエナニモ」



くそう、結局騙し通すことが出来なかった。

こいつはガキの頃から何故か勘が人一倍いや百倍はよくてこいつに隠し事が出来た事は一度もない。

さらに付け加えるなら喧嘩で勝った事もない。

………因みに言っておくが俺が弱いってわけじゃないぞ?いやマジで。

だからといってこいつが男より凄い筋力を持っている訳でもない、こう力の入れ具合が妙に上手いのだ。


関節技に始まり、終いには指三本で頚動脈を的確に圧迫してくるのだ。

この最強技の前に俺は今回も敗北し先ほど和馬が言った事意外全てを暴露せざるを得なかった。



「で、どうすんの?あんたは」



「取り合えず、暫くはバンド休んでミカの面倒みるさ。一度かかわっちまったのに途中で放り出したくないし……それに」



「それに?」



「夢を持ってるならそいつを大事にしてやんないと、な?」



「霧人…そっか、そうよね。」



幼馴染ってのはこういうときには便利だ。

こいつも、俺の兄貴の事は知ってる。それどころか、俺の心のつらさに唯一気づいてくれた。そしてそのすぐあとに自分もバンドを始めた。こいつには、本当に感謝してる。



「困った事がおきたら、すぐに言いなさいよ?」



「あぁ、分かったよ…何時も本当にありがとな、感謝してる。」




あいつの言葉を背に受け俺は今度こそ家への帰路についた。






――――SIDE SORA



「たっく、あいつは…いっつも何時も厄介事に巻き込まれるんだから」



あいつが出て行った扉から視線を移すと私はため息をはき苦笑した。

あいつは何時もそうだ、自分にはどれだけ関係のない事だろうと、自分にどんあ仕打ちをしてきた奴だろうと…目の前で困っていたなら手をさし伸ばさずにはいられない。



「ありがとう…感謝してる、か。そりゃこっちの台詞だっつーの…馬―鹿。」




幼い頃から私は周囲と違っていた女の子らしくないっていう訳じゃない、でも女の子らしいって訳でもなかった。その結果が幼稚園に小学校時代での孤立だ、当時の私は冷めててそれでもいいって思ってたのに、あいつは…




『お前は俺の幼馴染にって奴になるんだろ?』


『女にはやさしくしねぇと母さんがうるさいんだよ』


『つか、俺の隣にお前がいるのは「当たり前」だろ?』



たっく、小さい頃はあんな事ばかり言ってたくせに、大人になったらなったで、何も考えずにキザったらしいこと言って私以外の女子にも優しくなって密かにファンクラブまで出来たと思ったら、今度は同棲?



「ふっざけんなぁああああ!!!霧人の馬っ鹿野郎ぉおおおお!!!!!」









「……何だ?今、背筋に何かこう冷たいものが…」




あのあと、家への帰路へついたが足取りは重くやっとついたとなると今度はドアをあけづらくドアの前で立ち尽くしていると何か体に悪寒が走った。



「まぁ、いつまでもこうしてるわけにもいかないか」




そう呟き俺は意を決してドアをあけた。






「遅かったな」



俺が帰ってくると当たり前のようにミカが待っていた。



「ミカは空腹だ」



そう言って笑いながら椅子に座っている未夏を見るのが…



こいつの秘密を知った俺にはこれ以上にない苦痛だった。



和真の言葉が頭の中によぎる。あいつの言っていた死というのは、要するに記憶が崩壊してミカがミカでなくなるという事だろう。



そして、それをミカ自身は知らない。あの和真とかいう奴の言いたいことも分る…



しかし本当にそれでいいのだろうか?俺には何もわからない…



…いや分かる事が出来なかった、分かろうとしなかったんだ。



それを分かってしまったら…この『非日常』が終わってしまう気がして俺は無意識の内にそれ拒否してしまったのだろう。


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