第三章
「さて、どうしたものか。」
朝である。飽きた俺は椅子に座りながら腕を組み考えていた。昨日のことを思い出しながら。
逃げる中、ミカは脱走者な訳でいく当てなど無い。
オマケに自販機の一件で分る様に金もろくに無い。
……結果として「居候が出来た」つまり、俺の家にあがりこんだ訳である。
「まぁ、暫く厄介になる」
そう言いながら自称から昨日の事を考えるに真実である事を納得しざるを得ないロボット且つ居候と化したミカがおにぎりを食べていた。この非日常に頭を抱えていると
「なぁ、これは何だ?」
人が悩んでいるというのにその原因を作った本人…
…機械だから違うか?まぁいい本人であるミカは俺のギターを指差し
「あ」
そのギターを見て思い出した俺は携帯を取り出し渉に電話を掛ける
『ほいほい、俺だけど、どうした?』
何時も通りのあいつの声を聞きふとほっとしてしまう。
◇
『どうした?』
「いや、なんでもない」
おそらく首を傾げているだろうあいつに用件を伝える
「悪い、今日、練習いけないわ」
『は?』
「ちょっと立て込んでてな」
俺が言葉を濁しながら言うとあいつは。
『……そっか、分った』
「…何も聞かないのか?」
昨日とは打って変わった真剣な声が聞こえた
『なんか、大事な事があるんだろ?なら聞かないさ』
こいつは、本当に…
「そか、ありがとな、親友」
『おう』
あいつに感謝しながら俺は電話を切った。
「…すまないな、迷惑を掛けたみたいだな」
電話を切るとミカが申し訳なさそうに話しかけてきた。
◇
「気にするな、こうなったら最後までかかわるさ」
俺はそんなミカに苦笑しながら答えた
「そうか、ありがとう…ところで、これは何だ?」
そう言ってミカはギターケースを指差す。
「あぁ、それは…挫折せざるを得なかった夢と託された夢…だな」
「?」
首を傾げるミカの前を通り過ぎケースを開けギターを取り出し意味もなく弦を弾き始め語り始める
「おぉ、これは、ギターだったか?」
「あぁ、これさ、元々は兄貴のだったんだけどさ…兄貴、事故で指をやっちゃったんだよ。」
「……」
俺の話をミカは黙って聞く俺はギターを引き続けながら話す
「泣いてたよ、兄貴、だからさ…俺が弾き始めたんだけどさ、そしたら兄貴は教え甲斐があるって喜んで俺に夢を託してくれた…でも」
俺は弾くのを止める
◇
「兄貴はさ、教える方に回って頑張ってるけど、それでも、自分の夢を叶えられなくなった事を後悔し続けてる、まるで呪いみたいにな。」
俺はギターケースにギターをしまいながら話し続ける
「俺はさそれ以来、夢ってのが嫌いになった。呪いみたいに感じてさ」
「そうか?ミカはそうは思わないぞ?」
振り返ると何やら自信満々に立つミカが居た
「ミカは今日という日が忘れられないくらい楽しかったって、明日の自分に
自慢できるように精一杯、後悔をしないように生きていたい。それがミカの夢だからだ。」
そう言うとロボットらしくないがな、とミカは苦笑する。
「いいんじゃないか?お前らしくてさ」
そう言うと俺は立ち上がる。
◇
「ちょっとコンビニ行ってくるが外出るなよ。」
頷くミカを見て俺はそう言って歩いていった。
俺はコンビニでミカが気に入ったおにぎりを買い込み来た道を戻っていた。
「にしても、ロボットねぇ、本当なのかね。」
この時、俺はそう思っていた。昨日の事からそれが真実でないにしてもなにかしらある事は確かだ。
なら、ミカが自信満々に言った事もあながち間違いではないだろう。
「ま、俺も変わってるか」
考えた末にそんなミカに関わる俺もあながち普通じゃないと思え呟くと
「確かに、君も変わっているな。」
突然聞こえた声に振り向くと
「やぁ、日々之霧人君…始めまして神楽和真だ」
そう言い俺の方に黒いコートを着た男が歩いてきた。そしてその和真という名前に俺は心当たりがあった。
「ミカの、開発者…?」
「それは少し違うかな、さて少し話でもしないか?」
そう言うあいつに俺は従うしかなかった。




