論理 1
切れかけの蛍光灯。紺色の制服、指定カバン、黒板。茶色の机、椅子。そして、私達。これだけでこの一年六組は成り立っている。ちゃんと立っているのかは知らない。三連休は前の事もあってか一度も編集室には行かなかった。ちっとも退屈では無かった。幽霊部員の身としては暇かなと思ったけど、友人と愚痴を言い合ったり塾通いであっさりと三連休は終わった。楽しかった。こんな隔離空間から逃げられて。義務教育とか気にせずに。
世の中の中学生は三種類だと思う。学校が好きで行ってる人。学校に行けない人。学校は嫌いだけど行かないと将来や世間体に影響するのでいやいや行ってる人。最後が一番あやふやで宜しくない立場だが、当の私がそこにいるので何も言えない。週末と帰り道が何よりの楽しみです。
前振りはここまでにして学校紹介と行きたい所だが、特に書くことも無い。全校生徒が1000人以上でこの学年だけ人数がやたらと少ないとか担任が授業崩壊させるわ暴力は振るうわ挙句の果てには成績を偽造するわの最低教師だとかそんな事は皆さんはどうでもいいだろう。
それに、紹介するほど私は学校に詳しくない。
でも、なんとなく、皆共感されたがっているみたいだ。だって聞こえるから。無い物ねだりの歌が。
何かまた来てしまった。創さんはこの前の事なんて忘れたように見える。何も変わって無かった。
いつも通り編集長は男前で怖くて、真樹さんは心も体もひろくて麗美さんは可愛くて創さんは本を読んでいた。今度借りよう。
「創、どうしてタートルネックなんて着てきたの?」
「いや、もう冬じゃないですか」
「おかしいじゃないの。あんた、編集室で一番暑がりでしょ?」
「生まれつき喉が弱いんです。だから首元は覆わないと」
そんな編集長と創さんの会話を聞いていたが、たしかにおかしいと思った。私は暑がりだ。だから十一月の今でも薄い長そでで済む。創さんはもっと暑がりだ。先週は半袖と私のあてにならない記憶に残っていた。あてにならない記憶に。
編集長は創さんの首元を何か探すような目で眺めていたが、すぐにいつも通り今日の予定を確認し始めていた。失礼、記述ミス。今は土曜日の午前10時。
「この後11時から正午まで1月号についての編集長会議があるから。真樹は取材。麗美はデザイナーさんとの打ち合わせで、創は12月号の企画書全員分まとめて来週中に出すように。じゃあ、動いて」
最近他の人が外で手に入れた情報を創さんがまとめるというパターンが多い。何でだろう。
何となくお邪魔虫っぽいので隅の方にあるソファーに座らせていただく事にした。編集長が海外にオーダーメイドで頼んだ物らしい。さすがソファーすらない七瀬家とは違う。
昨日の夜日付が変わる頃まで動画サイトを回っていたツケが出てきた。それでいて今日は両親に付き合わされて七時に起こされたのだ。信じられない。
重力が心地よくなってきた。不思議な感じだ。底なし沼に落ちた時なんかも、こんな感じなのだろうか。
ごめんなさい編集長。ごめんなさい真樹さん。ごめんなさい創さん。ごめんなさい麗美さん。
ちなみに、皆さんの年齢順に謝ってみた。土下座しろ私。




