第4章 妖力使用可の体力測定?!
強さは、比べられることで明らかになる。
誰が上で、誰が下か。
その差は、容赦なく突きつけられる。
だが――それでも、止まるわけにはいかない。
これは、自分の現在地を知る物語。
その後、僕たちは先生や駆けつけた妖忍師たちに、こっぴどく叱られた。
だが――後悔はしていなかった。
僕も、そして剣も。
「ちょっと来い」
呪角先生に呼ばれ、僕たちは覚悟を決めて向かった。どうせまた怒られるのだろう、と。
――だが、違った。
「よくやった」
一言だった。
それだけで、胸の奥が一気に軽くなる。
「はい!」
思わず、二人そろって笑顔で返事をしていた。
そのまま先生に見守られながら、僕たちは家へと帰った。
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二ヶ月後。
「もう二ヶ月か……」
そんなことを考えながら、剣と並んで校舎の階段を上っていた。
「あ、俺の親父のことなんだけど……」
剣が何かを言いかけた、その瞬間。
ドンッ。
「あ、ごめんなさい」
小さな声。
ぶつかってきたのは、同じクラスの楽璃音葉だった。
彼女はそのまま足早に教室へと入っていく。
「それで、親父さんがどうしたの?」
「……やっぱり、なんでもねぇ」
どこか引っかかるものを残したまま、チャイムが鳴る。
僕たちは急いで教室に入り、それぞれの席についた。
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「今日は、一人ひとりの現時点での実力を測るために――体力測定をする」
その一言で、静かだった教室が一気にざわついた。
普通の学校なら嫌がる声も出るだろう。だがここは違う。
妖体術の使用が認められているこの学校では、むしろ“見せ場”だ。
僕も剣も、自然と胸が高鳴っていた。
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測定場に移動し、授業が始まる。
「最初は50メートル走だ」
来た。僕の得意種目だ。
「ちぇ、俺の妖体術には不向きだな」
剣がぼやく。
最初に名前を呼ばれたのは、1年B組の弾本凛。
「私の脚力に勝てる者などいない!」
自信満々だ。
「よーい……パン!」
「“バネ”――弾丸!!」
弾けるように地面を蹴る。
計測器「3秒87」
「速すぎんだろ……」
ざわめきが広がる。
その後も次々と記録が更新されていくが、凛の記録は抜かれないままだった。
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そして、剣の番。
「よーい……パン!」
「“炎”――爆炎弾!!」
慣れていないはずの技。それでも――
計測器「3秒96」
「……できた……?」
本人が一番驚いていた。
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そして最後。
僕の番だ。
「よーい……パン!」
「“迅雷”――“風” 雷牙風流!!」
地面を蹴った瞬間、身体が軽くなる。
視界が流れ、風を裂く。
計測器「3秒66」
「マジかよ……」
「何者だ、あいつ……」
周囲の視線が一斉に集まる。
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「次はボール投げだ」
「“バネ”――シューター!」
凛の投球。
計測器「577m」
続いて、波伐想。
「“波動”――波乱天開!」
轟音とともに放たれる一投。
計測器「708m」
「バケモンかよ……」
場がさらに盛り上がる。
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剣の番。
「“刀”――“炎” 投刀流星群!!」
炎をまとった軌道が、美しく空を切る。
計測器「709m」
新記録。
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そして僕。
「投げるのは、あんまり得意じゃないんだけど……」
「“迅雷”――“炎” 雷震砲火!」
計測器「600m」
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「最後は立ち幅跳びだ」
「“バネ”――ジャンピングホッパー!!」
凛の記録は651cm。
だが、それをさらに超える者が現れる。
「“爆撃”――爆風プロミネス」
泊熱瞬伍。
計測器「803cm」
「さすが実力推薦……」
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剣。
「“炎”――炎出風」
計測器「613cm」
そして僕。
「“迅雷”――渦雷飛脚」
計測器「670cm」
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「よし、これで全員終了だ」
呪角先生が言う。
「後日、順位発表をする。楽しみにしておけ」
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――夜。
「計画は順調か?」
「はい」
闇の中で、声が交差した。
第4章を読んでいただき、ありがとうございました。
体力測定を通して、それぞれの実力や個性が見えてきたと思います。
火龍や剣だけでなく、周りの強さも少しずつ明らかになってきました。
そして最後に現れた、意味深な会話。
物語は少しずつ、裏側へと動き始めています。
次章もぜひ、お楽しみください。




