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妖焔羅  作者: 神代 白夜
3/6

第3章 友情

その一歩が、運命を分ける。


進むか、止まるか。

救うか、見捨てるか。


選ばなければならない時は、突然やってくる。


これは、覚悟を試される物語。

 燃え盛る炎の剣が、目の前の大きな岩を――


 一刀両断した。


 次の瞬間、教室に歓声が広がる。


「おおっ!」

「すげぇ……!」


 剣は少し戸惑ったように周囲を見渡し、頬を赤く染めた。


「あまり褒められたことがないが……悪くねぇな」


 呪角が腕を組みながらうなずく。


「おー、よくやったな。この調子で、全員自分の妖体術を使って岩を破壊してくれ」



 四十分後。


 授業は終了し、生徒たちはそれぞれ教室へと戻っていく。


「今日はこれで終了だ。最近、不審者被害が多発しているらしい。気をつけて帰るように」


 その一言が、妙に引っかかった。



 帰り道。


 家が近い火龍と剣は、並んで歩いていた。


「それにしても、さっきの技すごかったな。どこで学んだの?」


 火龍が無邪気に尋ねる。


 剣は少しだけ視線を落とした。


「……親父だ」


 短い言葉。


 だが、その目には影が差していた。


「へぇ、どんな人?今何してるの?」


 何も知らない火龍は、軽い調子で聞く。


 次の瞬間。


「……死んだ」


 空気が凍った。



 ――ドンッ!!


 突如、目の前のビルが爆発する。


 衝撃音とともに、黒煙が空へと立ち上った。


「な……っ」


 二人は言葉を失う。


 妖忍師を目指しているとはいえ、まだ高校に入ったばかりだ。

 現実の“事件”を前に、体が動かない。


 周囲に大人の気配はない。


 ――その時。


「ここで、目の前の人が死ぬなんて……そんなの、あっていいわけないだろ!」


 火龍が叫ぶ。


「お、おい――!」


 制止の声も届かず、火龍はすでにビルの中へ駆け込んでいた。



「くそ……なんでだよ……!」


 剣はその場に立ち尽くす。


「なんで足が動かねぇ……!」


 拳を握る。だが、震えが止まらない。


「……俺、ビビってんのか……?」


 自分の弱さに気づいた瞬間、胸の奥が冷たくなる。



 一方、火龍。


 崩れかけた階段を駆け上がる。


「爆発は……八階」


 息が荒くなる。


「被害者は何人だ……?敵は……?」


 考えるたびに、足が重くなる。


「……違う!」


 火龍は首を振った。


「考えるな……進め!」



 そして、八階。


 そこには――


 敵が二人。

 そして、倒れている人間が三人。


「……一対二、か」


 火龍は拳を握る。


 妖力を込める。


「体術――“炎”」


 熱が、拳に宿る。


「火炎爆誕!」


 渾身の一撃が敵の急所に叩き込まれ、相手は大きく吹き飛んだ。


「あと一人――」


 そう思った瞬間。


 足首を、強く掴まれる。


「っ!?」


 さっき倒したはずの敵が、執念でしがみついていた。


「このガキ……!」


 黒い気配が広がる。


「体術――“闇” ダークバインド」


「か、体が……!」


 動かない。


 もう一人の敵が、ゆっくりと近づく。


「抑えてろよ。体術――“空気” 送撃」


 見えない圧力が迫る。


 ――その時。


 ガラスを突き破り、炎をまとった剣が飛び込んできた。


「なっ!?」


 敵が振り向く。


「遅れて悪ぃな」


 そこに立っていたのは――剣だった。


 その目に、迷いはない。


「体術――“刀” 悪凶殿雷!」


 雷のような一閃。


 二人の敵を、一瞬で切り伏せる。


 ――だが、致命傷は避けている。


 敵はその場に崩れ落ち、意識を失った。



 静寂。


 剣は火龍の方へ歩み寄る。


「……遅れてすまねぇ」


 そして、少しだけ笑った。


「それと……勇気、もらった」


 火龍も、息を整えながら笑い返す。



 この日。


 二人の間に、確かな何かが生まれた。


第3章を読んでいただき、ありがとうございました。


初めての実戦の中で、火龍と剣、それぞれの弱さと強さが見えてきたと思います。

恐怖に立ち止まるか、それでも前に進むのか――その選択が、二人の関係を大きく変えました。


ここから物語はさらに加速していきます。

ぜひ、次章も見届けてください。

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