第1章 始まる日常
刃は、人に向けられる。
正しさも、理由も、まだ分からないまま――
それでも俺は、戦うことを選ぶ。
これは、桜木火龍という一人の少年が、
戦いの中で答えを探していく物語である。
登場人物
主人公 桜木 火龍
ライバル 薬師 剣
⸻
――目を覚ました。
ぼやけた視界の中、時計の針が目に入る。
午前七時三十分。
嫌な予感が、背筋を走った。
「寝坊だ!やっと高校に入学できたっていうのに!」
布団を蹴飛ばし、火龍は勢いよく立ち上がる。
そう――これは、桜木火龍という一人の妖忍師の物語である。
「遅刻だ!遅刻だ!」
制服を適当に整えながら、家を飛び出す。
朝の空気を切り裂くように、火龍は全力で走り出した。
――その時だった。
「ドン!」
前方不注意のまま走っていた火龍は、誰かと激しくぶつかった。
「……っ!」
相手はびくともせず、火龍の方がよろめく。
目の前に立っていたのは、一人の少年。
鋭い目つきに、腰には刀。
薬師 剣――名のある剣師だった。
だが火龍には、そんなことを気にしている余裕はない。
「やば……!」
謝る暇も惜しみ、すり抜けようとした――その瞬間。
ヒュン、と風を切る音。
火龍の顔面めがけ、刀が飛来する。
だが。
火龍は反射的に身をひねり、その一撃を紙一重で回避した。
「てめぇ!どこ見て歩いてんだ!」
剣の怒声が飛ぶ。
「ごめん……!」
短く謝る火龍。だが剣の怒りは収まらない。
電線に突き刺さっていた刀を引き抜き、ゆっくりと構える。
「てめぇ、もう一度口を開けてみろ」
「あーー」
「クソ野郎!そういう意味じゃねぇんだよ!」
次の瞬間、剣は迷いなく刀を振り下ろした。
しかし――
その軌道の先に、小さな子供がいる。
子供は状況に気づいていない。
それでも、剣の刃は止まらない。
空気を裂き、刀が振り抜かれる――
その時。
「――雷鳴速龍!」
閃光。
雷のような何かが、剣の横を駆け抜けた。
第1章を読んでいただき、ありがとうございました。
ここから桜木火龍の物語が本格的に動き出していきます。
彼が何を選び、何と戦うのか、これから見届けてもらえたら嬉しいです。




